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第29話:バグったスキルがチートに変わる

いつも応援ありがとうございます!白石ソラです。

残留思念が魔界で再構築…100%無形化、ただし赤い絆以外。バグがチートになる瞬間です。39.20%です。Xもやってます→ @Sora_no_TENKAI

私はその日の残りを、新しい感覚の限界を試すことに費やした。


ケイルは自分の服に戻り(マントはついに正しい持ち主を取り戻して満足したのか、敵対的な存在として振る舞うのをやめていた)、バルコニーの椅子から観察していた。彼は焦げた唐辛子のようなかすかな匂いのする湯気の立つ何かを食べながら、私が彼の私有の中庭の空中で、実体と部分的な半透明状態を交互に切り替える実験をするのを眺めていた。


「もう一回だ」彼は十回目となる要求をした。


私は体の力を抜き、自分自身から滑り出るようなあの馴染みのある感覚を感じた。今回はもっと上手く制御を保つことができ、インクが水に溶けるように、胸からゆっくりと半透明化が広がっていった。やがて私の姿全体が半透明になり、目には見えるが実体は全くない状態になった。


「信じられないな」ケイルが呟いた。「文字通り再び幽霊になるわけだが、それはお前自身の選択によるものだ」


「『幽霊』とは少し違うわ。もっと……残留思念に近いけれど、その逆ね。以前は、実体を持つには私の存在度が低すぎた。でも今は、実体を持つのに十分なほど存在しているのに、実体を持たないことを選んでいるの」


「この時間帯にするには、少々哲学的に複雑すぎる話だな」


私は実体に戻り、通常の体の重みが再び主張し始めるのを感じながら、彼の隣に座った。それは、自分自身の存在について何か新しいことを学んだ時にしか得られないような、満足感を伴う心地よい疲労感だった。


画面が現れる時のあの馴染みのある悪寒を感じたのは、その瞬間だった。今回の画面はいつもより精巧で、まるでシステム自体がその情報を処理する前に、より慎重に考えるために立ち止まったかのようだった。


`[適合性分析を実行中...]`

`[起源スキル:残留思念(天界)]`

`[現在の環境:魔界(まかい)(地獄)]`

`[非適合性を検知 — 代替解決策が必要]`


「どうした?」私の表情が変わるのを見て、ケイルが尋ねた。


「システムが、私をどう扱うべきか見つけ出そうとしているみたい」


`[解決策:スキルの再構築]`

`[残留思念 → 100%無形化(条件付き)]`

`効果:自身の体の実体化を完全に制御。随意に物理的物質を透過可能。ただし、アクティブな赤い絆に繋がれた対象(例:ケイル、ケルベロス、ピイ)を除く。`

`条件:非天界の領土においてのみ、スキルが完全に機能する。`


私はメッセージをゆっくりと声に出して読み上げ、一行一行を処理しようとした。それを聞いていたケイルは笑い始めた。それは純粋な笑いで、彼が私以上に明らかに楽しんでいる皮肉に満ちていた。


「俺に起きたことと全く同じだな」彼はまだ笑いながら言った。「俺はチート持ちの天使になるはずだっただろう? だがシステムは俺を本来の運命から拒絶してここに放り込み、その過程で、俺が持っていた特別なものはすべて、俺を含め誰にも予想できない形で再構築された。今度はお前の番だ。普通の天界のスキルが、間違った環境に放り込まれて、チートに変わったんだ」


「それは……不穏な意味で、面白いわね」


「システム全体が不穏なんだよ、タリエル。俺たちはただ、システムに利用されるのではなく、ようやくそれを自分たちに有利に使う方法を見つけ出しているだけさ」


私は新しいスキルをもう数回試した。バルコニーの石のテーブルを通り抜け(表面にわずかな波紋が起きただけで、他には何も起こらなかった)、装飾の柱を通り抜け、最後に条件の部分を確認するためだけに、ケイル自身を通り抜けようとした。


私の手は彼の実体のある胸に阻まれ、通り抜けることができずに止まった。


「赤い絆」私は呟いた。「本当にあなたを通り抜けることはできないのね」


「奇妙な意味で、安心するな」ケイルは、彼の胸にまだ当てられている私の手を見つめながら認めた。「俺自身の……バグでさえ無視できない何かが存在すると知ることは」


私たちはしばらくそこに留まった。いかなる言葉よりも重みのある沈黙が流れていた。しかし、近くの柱で居眠りしていたピイが、この状況はすでに哲学的に過ぎると判断したのか、彼にしかできない方法で雰囲気を壊す、とびきり大きなイビキをかいた。


私たちは二人とも笑い出し、その瞬間は再び軽やかなものへと溶けていった。


「それで」気を取り直してケイルが言った。「今、お前は本当に制御可能で、使える無形化を手に入れた。これでかなり状況が変わるぞ」


「どう変わるの?」


「次に俺たちが何か危険なことをする必要がある時――そして俺たちの最近の経歴を考えれば、次は必ずある――お前にはただの運や頑固さではなく、本物の武器があるということだ」


`[存在度:38.40% → 39.20%]`

`[新スキル確認:100%無形化(条件付き)]`


私は自分の手を見つめ、この新しい確信の周りに存在の重みが落ち着いていくのを感じた。そして、ここに来てから初めて考えた。もしかすると、この旅のすべて――恐怖、官僚主義、アイデンティティの探求――が、ゆっくりと、前で待ち受けているものが何であれ立ち向かうための本物の力、本物の道具を得る旅へと変わり始めているのかもしれないと。


「ありがとう」私は小声でケイルに言った。


「どうして?」


「私がもっと……能力があると感じさせてくれたから。ただ存在するだけじゃなく、何かができるって」


彼は微笑んだ。いつものような無頓着さはなく、ただ純粋な優しさだけを伴った、素朴な笑顔だった。


「必要な時はいつでも言ってくれ、タリエル。文字通り、いつだって」


第29話 終 ― 存在度39.20% ― バグったスキル、チートの獲得


お読みいただきありがとうございました!

朝と夜、1日2回の加速連載もいよいよ佳境に入ってまいりました。

タリエルのレベル0からの大逆転劇(ざまぁ予定)、ここからさらに熱い展開が待っています。


「毎日更新を楽しみにしている!」「この先が早く読みたい!」という方は、ぜひ【ブックマークに追加】や評価での応援をお願いいたします。

皆様の温かい応援ポイントが、ランキングを駆け上がる命綱になります。次回もお楽しみに!


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