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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
4.アミ編
95/111

95.襲撃の犯人

〜前回のあらすじ〜

ウェツギに観光に行ったら、アーヴェキニスアに訪れる予定の国王が襲撃に遭いました。その犯人は、アミの知人だった。

「なんで先輩たちが……?」


私は問いかける。だが、逃げられた。

彼らが向かうのは、スイウのところ。

混乱の最中、剣を持って走っていった。


「あ、危ない!」


追いかけようとしたところで、ふと立ち止まる。


ここで殺されれば後味が悪い。


……何がだろう。


スイウを助ける意味はあるのか。

私は、スイウに会わなければ、今に至ることはなかった。それが意味することは何か。


もし彼に会っていなかったのならば、私はきっと。

きっと、あそこの孤児院で、職員に文句は言いながらも、ラゼイと一緒に暮らしてたのかな。

そして、職員になってたりして……文句を言われる立場になってたのかも。それもそれで、友達となら悪くなかったんじゃないかな。


でも、彼に会っていなかったら、私はシンにも、リゼにも、そしてタウにも会えなかっただろう。


……たしかに、出会いを私は彼からもらった。

だからといって、これからの彼の未来を助けようと思うことにはつながらない……?


私は、追いかける足を止めた。


もうすでに、ウリイもミコリアも、スイウの前に着こうとしている。ミコリアは周囲の足止めのために闇の魔法陣を描き、ウリイは剣をスイウに振ろうとしている。

その間わずか3秒。止められる人は、私以外にいなかったと思われる。


思われていた。


『〈闇縛〉』


タウの声が聞こえた、その瞬間に、ウリイとミコリアは黒いモヤモヤとしたものに捕らわれた。身動きは取れなくなっている。

シンは驚いたように剣をしまってから、魔法陣を消しに走る。

周囲の人々は、何が起こったのかわからずに逃げ出した。


『タウ、なんで!』


私は見捨てたというのに、彼は見捨てなかった。

人殺しすら厭わないであろう、彼が。


『俺には、王との密約がある。それだけだ』


みつ、やく……?

疑問に思い、いくら聞いても、彼が答えてくれることはなかった。





「アミ、よくやったよ!まあ、僕も止められたけど」


魔法陣を消し終わったシンは、私のところにやってきた。この時、スイウはすでにアーヴェキニスアに向かって歩き出していた。

「いやぁ、驚きましたね」とか言いながら。この国の王様は腰を抜かしていたが。


「シン、私は……」


言ったほうが良いのだろうか。

今回、私は王を見捨てようとした。

……必要ないか。


「なんでもない。それよりさ、観光の続きに行こうよ」


私はシンを動くように促すが、彼はウリイたちの方向へと歩いていく。

闇による呪縛は、解けていない。


「ねぇ、なんで君たちは強襲を?」


シンは、転がされている彼らに問う。


「……言わない」


ミコリアが、答えた。

すると、シンの周りの空気が一気に重くなる。

殺気、だろうか。魔力を使った威圧だ。


「「っ……!!」」


ウリイとミコリアは固まった。

その顔には怯えすら浮かんでいる。


「いい?君たちは反逆者。僕に捕まった以上、抗う余地はないよ。さぁ、答えて」


先に諦めたのは、ウリイだった。


「……国王は、魔王様との密約を…守らなかった。だから強襲しようと…」


また出た。密約。

タウは教えてくれなかったが、この人たちなら教えてくれるだろうか。


「密約って何なんですか?」


私が口を挟むと思っていなかったのか、少しばかりウリイは驚いた顔をしてから、答えようとする。


「みつや……っ!」


その言葉が最後まで紡がれることはなかった。

闇の縛りはさらに力を増し、シンはウリイの首筋に剣を当てた。


「言う事は許さない。…まあ、僕も内容は知らないけど。でも、ろくでもないものだ、ということだけは知っている。だから、言うな」


ウリイは顔面蒼白で頷く。


「わかったならいいや。ま、処分は王にお任せしよう。呪いを使って精神干渉、そこから情報を引き出すもよし、殺すならそれでもいいし」


精神干渉って、後遺症が大きいからあまり使われないはずでは…?しかも、殺すって……。

私は焦って止めに入る。


「シン、一応この人たちは、私の先輩で……だから、ちょっとだけ、慈悲をさ…」


すでに人殺しの私が言うことではないだろうか。

ないだろうな。でも、それを決めるのは誰かであって、私には関係ない。私は、彼らと楽しいひとときを過ごした。それが事実だ。


「アミ、それは甘いよ。……ただ、多少ならいいかな。どうせ、こいつらは捨て駒だろうし。本当の目的は知らないけど、裏に誰かいる気がする。密約を知っているのは一握りだからね」


その後、まぁいろいろあり、なんとか情報を聞き出した。私の知っている名前が出てきた、その情報を。

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