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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
4.アミ編
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96.国境門にて

〜前回のあらすじ〜

襲撃の犯人であった先輩たちから伝えられた今回の黒幕をアミは知っていた。でもまぁ、会えなさそうだしいっか。

「ここからは僕の管轄外。こいつらは解放していいと思う……たぶん。情報だけ渡したら観光の続きでもしよう」


このように幕を下ろした国王襲撃事件だったが、私はこの事件の黒幕の名前に、驚きを隠せなかった。

でも、会える可能性はとても低い。前にあってから、気配すら感じていなかったからだ。

だから今は、素直に観光を楽しむとしよう。


「じゃあさ、夕日見に行かない?ちょうどいい時間だと思うけど」


私は、かねてから考えていたプラン、夕日を見に行くを実行しようと思った。思ったのだが。


「そうだねぇ、ちょっとだけウェツギの王城に寄ってからでいいなら、いいよ」


と言われてしまった。

だから私は素直にシンについて、王城へと入っていった。特筆することはない。王城は魔法こそないが造りはほぼ我が国、フィシチニとそこまで変わらないし、そこに行ったのも情報を伝えて先輩たちを渡すだけ。


その後私たちは、国境門に向かったのだ。



「国境門って結構高いんだね……階段しんどい」


せっかくなら国境門の上から夕日を見ようと言い出したのは誰か、私だ。だけれども、ここまで階段がしんどいとは思わなかった。身体強化は禁止だし、元の体力なんてほぼない。


「もうすぐだよ、ほら、扉がある」


楽勝そうなシンが指差したのは、金属製の扉。

それを開けると、ぶわっと風が入ってきた。冬を感じる、冷たい風が。そして、赤に近い光も入ってきた。これが、夕日の光だ。


「すごい!…頑張ろう」


少しだけ残っていた階段を上りきり、私たちは国境門の上についた。数人の観光客らしき人たちはいるが、邪魔にはならなそうだ。


「シン、きれいだよね、すごい、これ」


語彙力のなくなりかけている私の前には、夕日を前に佇んでいる、シン。

彼はいったい、何を思ってこれを見ているのだろうか。


「アミ、警戒態勢を」


シンがぼそっとつぶやいた。

け、警戒!?

シンは私の前に立ちふさがり、剣に手をかけた。

その前に歩いてやってきたのは、かつての友。


「やぁ、アミ。久しぶり」


レイだった。


「うちのアミがお世話になったらしいじゃないか。レイ。昔からよくわからなかったが、敵だったとはね。今日の黒幕も、君だったらしいじゃないか」


レイの顔は夕日で見えないが、彼女はこう言った。


「心外だね。敵でも、味方でもないよ、僕は。たしかにアミに危害は加えた。だからといって敵だと決まるわけでは……」


その声は、途中で切られた。


「いや、敵だ。僕らは今、忙しいんだ。不穏なことは減らしておきたい。アミ、下がってて」


シンは剣を抜いた。そして構える。

レイは、何もしていない。ただ、立っていた。


「そっか、そうか。……僕の特性はね、著作権というものすごく面倒なものを意識しないといけない。だから敵対はしたくないんだけど」


「どうでもいいね」


シンはそう言いながら走り出し、剣を振りかざした。

身体強化をしている、本気だ。

その剣は、レイに当たることなく止められた。手で。

軽々と。なんで?


私だったら攻撃をやめるだろう。

それでも、シンは魔法陣を描いた。火の魔法陣を。


「炎よ、火よ。我に力を」


魔法が発動する。夕日よりも赤い、焼き尽くすための炎が。

しかし、レイは立っている。そこに、何もせずに。


「僕は燃えない……いや、語弊があるね。やめておこう。ただ、これだけは言える。僕は今日、夕日を見に来たただの観光客だ」


そう言って、レイは歩いて国境門の端に向かった。

シンは何もしない、何も言わない。剣を、しまった。


「たしかに僕は、彼らに求められて情報を与えた。そして、その対価を彼らからもらった」


「それは…自供か?」

シンはそう話しかけたが、それに返事もせずに話し出した。


「それだけ、それだけなんだ。だから、今日くらいは夕日を見るだけでいいじゃないか」


国境門は夕日に赤く照らされ、レイは影を生んでいた。

私たちはただ、見ていることしかしなかった、いや、できなかった。

そして複雑な心情のまま、帰った。

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