69.コンパスの指す先
お風呂にも入って、寝る直前。
『…俺も遊びたかった』
タウ。かわいいか。
『でも、どうしようもなくない?あれ』
だって、命の危機ではないし、そんなことに魔力を使ったらびしょ濡れになるし……。
『……明日、コンパスの先に行くんだろ?』
『多分ね。それがどうかしたの?』
『俺が指示を出したら、召喚を使ってくれ』
…なぜ。
『それによる利点は?』
『俺が楽しめる。以上』
それは微妙かも…。
すると、タウが話しかけてきた。
『聞け。お前の利点も探す……別に遊べなくても良い。体を動かしたい。戦いたい。それだけだから、戦え。お前らの実力の向上につながることもあるだろうし、利点もあるのでは?』
…たしかに、私たちの捉え方次第だ。
正直、ありかも。
『こんな遊びみたいな戦いで殺さないで』
『安心しろ。契約を使ってやる』
『バレない手立ては?』
『元からあったかのように見せかける。合図は俺がする』
『ってことは…向かう先はやっぱり魔王城なの?』
『いやぁ、わからんなぁ』
…まあいっか。
『合図は?』
『俺が、今だと言う』
『わかった。じゃあ明日』
「おはよう」
やはり一番に起きるのは私らしい。
だからまずは、リゼの部屋に起こしに行く。
「んあ〜おはよ、アミ」
眠そうに外に来てくれた。
「今日、コンパスのところ行くんだよね」
「そうだね。やりたいことはやりきったし、行こっか」
じゃあ、シンも起こしに行くかぁ。
コンコン。ドアを叩いてから開ける。
いや、寝てるんだろうなとは思うけど、一応ね?
「シン、おはよー」
「おはよ…もう少し寝させろよ…」
「でも、今日は行くんでしょ?あそこ」
「ん…そうだね。じゃあ準備するかぁ…」
うん。動いてくれそうでよかった。
朝ご飯はシンが作ってくれた。
今更言うことかとは思うけれど、ここの宿、めちゃくちゃすごいのだ。
お風呂もあるし、流石に一階ごとにひとつだけれどもキッチンもある。
異世界から来た人が作った、コンビニもある。
それはさておき、朝ご飯も食べ終わり、私以外のお二方はやっとやる気が出てきたよう。
「じゃあ、行きましょうか」
「僕の予想だと、行き先は魔王城だと思う。だからさ、転移魔法で途中まで行っちゃわない?立ち入り禁止区域、わかる?あそこからすぐのところに魔王城ってあるんだよね。そこまで行っちゃおうよ」
おぉ!いい!
「私は賛成」
「アミがいいなら私もいいよ」
「でも、この宿でやると暴発したら終わるんだけど…」
「んじゃ、外行こっか」
宿の外。
「よし…じゃあアミ、ここに飛んで」
シンが地図で指さしたのは、立ち入り禁止区域から少し離れたところだった。
「いいの?ちょっと離れてるけど」
「一応余裕は持っておこうと思って。確実ではないし」
まあ、それなら…。
「じゃあ行きます」
転移した。
「着いたね」
「そうだね。シン、ここであってる?」
「うん、大丈夫だよ。コンパスは…よし、まだ北を向いてる」
私が持つと不安だし、地図も持っているシンがコンパスの係だ。
「じゃあ、行きますか」
立ち入り禁止区域に向かって歩いていく。
ここが……例の。
私たちは立ち入り禁止区域に到着した。
中からは高濃度な魔力が感じられる。
昔の大規模な魔法が使われたと聞いたことがあるから、それの残りだろうか。
「ここまで来ると、魔力がわかるね」
リゼも少し緊張しているようだ。
「だとしても、行くでしょ?」
「「うん」」
私たちは覚悟を決めた。
そして、立ち入り禁止区域のロープを越えた。




