68.水遊び2
まずはどうしようかな。
そんなに考えている時間はなかった。
「あれ?アミ、ガラ空きな感じ?」
そう言われて見上げると、天井からシンが落ちてきた。
意味わかんない。
「身体強化はいいの?」
「いいよ〜」
近くにいたリゼから返事が来る。
「リゼ、挟み撃ちしよ。リゼが上ね」
私が提案する。
「もちろん賛成」
2人で、上と下で挟み撃ちをする。
というか行ってすぐに上に行けるリゼもすごいよね。
「せーのっ!」
リゼはどばぁと水を落とし、私はリゼの水の巻き添えを喰らいつつ、下に水たまりを作っておく。
あ、ちゃんと囲って、溜まるようにしておきました。
私は走って逃げる。身体強化付きで。
すぐに、シンが落ちてきて、水しぶきは上がる。
「あっぶな…」
リゼの巻き添えでもなかなか濡れたけれど、シンにまで巻き込まれたらさらに終わってた。
よし、今行こう。
「くらえぇ!」
天井から、大量の水を落とす。自滅技でもある。
魔力消費も激しいが、絶対濡れるはず。
「あ、これやばい」
リゼは、水の膜の上へと行った。
その手があったか。
シンはというと…
土魔法で壁を作っていた。
「シン、ずるくない!?」
「別にぃ?」
そう言って、水鉄砲のようにして手から水を出してくる。
避けよう。
バク宙をして逃げる。
タウから孤児院で教えてもらっていたのだ。
でも、シンはさらに作戦を立てていた。
避けた先に…水!!
「あうわぁ…」
しかも私がさっき作ったやつにそっくり。
「仕返しだよ」
「死角から行きまぁす!」
完全に意識から抜けていた。
まだ、リゼがいる。
「これでどうだ!」
まだ土魔法の桶の中にいた私に、水が上から降ってきた。
「うぅ…シン!リゼに当てよ!」
「ふふっ、いいね」
横からそれぞれで水のボールのようなものを出す。
それを、リゼに当てる。
「いや、ずるいよ!」
「「リゼもやってたでしょ」」
一気にリゼがびしょ濡れになる。
「やりやがったなぁ」
お、いいじゃん。面白くなってきた。
約2時間後。
「ぜぇぜぇ…疲れた…そろそろ…」
「僕も…魔力ない…」
「そうだね…じゃあ終わろ。この後はなしね」
「じゃあ、乾かすか」
なかなかにびしょびしょだ。
冬場にやる遊びではなかった。この場所は暖房がついていてよかった。本当に。
「じゃあ、火出すよ」
土魔法で作った床の上に、火を出す。
消えないように加工済みだ。
「あったけぇ…」
もうすぐ雪が振り始めると思うくらい寒い時期だから、火が暖かい。
「まあ、楽しかったねぇ」
「たまにはこんな日もあると楽しくていいね」
リゼの怒りも収まったし。
「乾いたら帰りますか」
「そうだな」
しばらく経った。
「もう乾いたかな…?」
「まあ、帰って風呂にも入るから大丈夫だと思うよ」
たしかにシンの言う通り。
「じゃあ手続きしてくるね」
リゼが先に出ていく。
「じゃあ、僕たちも帰ろっか」
頷いて、外に出る。
ギルドからの帰り道。3人揃ってから出てきた。
まだ昼頃だと思っていたのに、もう空は茜色だ。
「疲れたぁ」
私のつぶやきに、シンは提案をする。
「今日は、早く寝よっか」
「ご飯は買い食いでいいかな?」
リゼがとてもすばらしい提案をした。
「いいよ〜焼き鳥とか食べたい!」
塩味がいい。
「じゃあ、ここかな」
シンが露店の前で止まる。
もう、すぐそこには宿がある。
「いらっしゃい。食べてく?」
店主の人が、話しかける。シンが答えてくれた。
「持ち帰りで。アミ、リゼ、何味がいい?」
私はすでに決めている。
「私は塩かな。3本で」
「じゃあ私は塩2本のタレ2本で!」
「ねぎまもあるけど?」
「「ねぎま1本追加で」」
「僕の分も足して…店主、塩8本とタレ5本、ねぎま4本で」
あれ?シンってもしかして大量に頼んだ?
「はいはい。銅貨21枚ね」
「はい」
シンが銅貨を大量に手渡す。
…なぜ銀貨を使わないのか。
「まいどあり〜」
シンがくるりと回ってこちらを見る。
「よし、宿に帰って食べますか」
買い食いの要素が少し減った気がする。
フリースペースに集まって、焼き鳥パーティーをした。
「おいしかったね」
私とリゼは大満足だ。
「まあまあってところかな」
シンは基準が厳しい。美味しい焼き鳥でも知っているのだろうか。
「じゃあ…お風呂に入って寝ましょうか」
私たちは各自の部屋へと別れる。
「おやすみ」
「「おやすみ〜」」




