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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
2.魔法学院編
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37.再来と懺悔

『私は彼の魔力をずっと見ていました。彼の魔力の雰囲気を、私は知っていた。だから注意深く、見ていたのです。しかし、それよりも大きな違和感があった。この試験の間に魔力を使った形跡がない。あの毒は、普通の人間ならば3秒もかからずに死に至るはず。自分で少し、解毒をしているなら何の違和感もなかった』


でも、解毒に魔力が使われた形跡がない、と。


『彼は人間ではない、または、私たちの知らない技術を使用しているということになると考えられます』


私はソシアレを見る。

彼は少し笑みを浮かべながら、私を、そしてその奥にいるタウまでを見つめている気がした。


『私たちは、知らない技術を持った存在に、最近ここで出会っている』


「レイ……」


彼女しか、思い当たらない。

彼女じゃないならば、それはそれで大問題だ。

私たちの知らない、高度な技術を持った存在がたくさんいるのならば、私たちが黒龍討伐という依頼をこなすことも難しくなるかもしれない。

しかし、そんな存在がポンポンと出てくるわけがない。出てこないと信じている。


ならば、レイ、彼女とソシアレは……


「正解。よくわかったね、アミ」


ソシアレが黒いモヤに包まれたかと思うとすぐにそれは晴れて、私のよく知っている、レイの姿へと変化していた。


「なんで……なんで!」


いろいろ、聞きたいことはある。

でも、言葉は出てこなかった。


「そうだね……まず言いたいのは、僕はここを去るということだ。だから次に会うのはきっと、最後だろうね」


「ねぇ、最後って何!?一体何のために……」


「それと、僕は人間ではないよ。そういう特性でね」


特性って……異世界から来た人が持ってるやつだ。

やっぱり、あの日記の登場人物と同じだったんだ。


「もうすでに、アミが毒属性の授業に合格したことは伝えてある。それに、どうせまた会うんだ。すべては最後まで残しておこう」

レイは、窓に手をかける。外に出る気か。


「話を聞いて!ねえ!」


レイは私の方を向いた。


「……少しなら良いか。僕の特性は、この世界の偉い人に頼んで強くしてもらっている。その代わりに、大きな犠牲を払って。だからその時が来るまで、僕は世界が上手に動くように調整しているんだ。だから……タウ、君は思うがままに動け。アミ、君は他の2人と共に依頼を潤滑に進めろ」


そこまで、開かれた窓の枠に足をかけたまま話し、終わったと思ったら飛び立ち、屋根の上を走っていった。


『追いかけますか?』


『……いいや。そこまで恨みもないし、邪魔をしてきそうにもなかった。私はこのまま、明日から戦闘の授業を受けに行こう』


犠牲とは、なんだろう。そして、彼女は何を知っているのだろう。それを知るのは、どうせすぐなのだということだけはわかってしまった。





その夜、私はついに、追加された分の魔王の軌跡を読み終わった。


『お、終わったー!長かったけど、最初は面白かったー!』


前半はタウの魔法学院での暮らし、後半の内容としては、アレイスの懺悔文というのが1番しっくりくる気がする。


『ほぼ私が訳したんですけどね……』


タウが何かぼやいている。


『そんなこというなら一から教えてくれればよかったのに』


『……どうせ…………ですから…………』


声が小さすぎて聞こえない。何を言っていたのだろうか。これがわかるのは、レイのことがわかるのと同じくらい、近くて遠い出来事なのだろう。きっと。


『でもさ、タウって図書館に籠もってたんだ、なんか意外』


そう、追加された部分によると、タウは授業をさっさと終わらせ、ずっと図書館で本を読み、実践してみるということを繰り返していたそうだ。今とカリキュラムは変わっていないのだから、ほんとにすごいことだ。


『まあ、学院で習うことのほとんどはすでに知っていましたからね』


特例で対象年齢以下での入学だったくせにね。どうやって勉強してきたんだ。


『というか、アレイスはずっといたってことだよね……よく飽きないね』


『それほど、私を育てた罪の意識が強い、ということですか……滑稽ですね』


滑稽、はちょっと酷いと思うけどさ。

本によると、アレイスは自らの左目と右腕を犠牲にして、不老不死……ただしタウが完全に死ぬまでという条件付きを手に入れたらしい。契約で。

完全に、というところがミソだったようで、500年前、一度タウは死んだのだが、私が今タウと話しているように、完全に死んだわけではなかった。

だからまだ生きている、ということだ。


『読み終わったということで、ひとつの目標は達成しましたね。では、戦闘の授業の対策をねっていきましょう』


あー、余韻に浸りたいのに……浸らせてくれないタイプだったわ、そういえば。

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