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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
2.魔法学院編
38/130

38.戦闘の授業1

戦闘の授業は、5つの単元で構成されている。

自分に合う武器の発見、武器1の訓練、武器2の訓練、魔法による戦闘の訓練、そして最後に担当の先生との模擬戦だ。

担当の先生、というのは、ランダムで決まる。すべての授業で、だ。最初の時期であれば、その日に来た人を割り振っていたらしいが、この時期ともなると生徒が減っているため、手が空いている先生が適当に見てくれるらしい。だから、すべての授業を同じ先生が見てくれる可能性は低い……のだが、今は幸か不幸か、人手不足。おそらくレン先生が見てくれるであろうということだ。


『1日で1単元終わればよろしいのですが、お言葉ですが、貴方の実力では厳しいと思いますので』


え、ひどい。絶対、1日で終わらせてやる……。そんなに言うことないでしょ。


『それはそれは。頑張ってください、お嬢様』


少し笑ったようなタウの声を聞きながら、私はいつの間にか寝ていた。





ついに戦闘の授業までたどり着いた。オレンジ色のネクタイをつけるのがここまで遅くなると誰が予測しただろうか。


「アミ〜、僕もまだ戦闘の授業終わってないんだよぉ……一緒に行こ〜」


泣きつくように言ってきたのは、イソクだ。


「え、1カ月くらいやってたの!?」


「部活とかもやってたら終わらなかった……」


昨日タウに啖呵を切ったのは間違いだったかもしれない…。まさかそこまで厳しいとは。


「じゃあ、一緒に行こう」


私はイソクと共に、部屋を出た。



3階にある、戦闘の教室。

そこにはたくさんの種類の武器が並べられていた。刃が光を受けて鋭く光っている。


「じゃ、僕の担当はあの先生だから、またね〜」


イソクは、部屋の奥にいた先生のほうに走っていった。

私はどうしよう。


「君はたしか……途中入学の人だよね?アミさん、だっけ」


戸惑っていた私に話しかけてきたのは、後ろからやってきたおじさん……レンだった。タウの目論見は当たっていそうだ。


「はい、今日から戦闘の授業を受けるので…」


先生はその特徴的な黄金の瞳を大きく見開いて言った。


「早いねー。戦闘の授業って最後に回す人が多いのに」


「あ、最後です」


そう言うと、レンはフリーズした。

その闇のような黒い髪の一本一本まで、止まっていた。明らかに風でなびきそうなコートのような茶色の長い服も、何もかもの時間が止まったようだった。


「えっと……うん。考えることをやめよう。ということは、アミさんは担当の先生がいないのか。僕が引き受けてもいいかな」


レンは、自らの胸に手を当て、少し前かがみになりながら私に提案した。好都合だ。


「よろしくお願いします、レン先生……でも、私以外にも生徒がいるんじゃ…」


「うん、よろしく。この時期だし、僕が担当していた生徒は優秀でね。もうクリアしちゃったよ」


よし、ここでの居場所は確保されたと言っても過言ではないだろう。他の生徒がいないならよりかかわりやすい。助かる。


レンは教室内を少し歩き、武器がたくさん並んでいるところの前に立った。


「それじゃあ、まず最初の単元に入ろう。それは、武器選びだ。アミ、今までに触ったことのある武器は?」


おぅ、急な呼び捨て…反応に遅れるところだった、危ない。

問われているのは、使ったことのある武器。


「えっと……剣を少々、あとナイフも……刀はもらったばかりです」


こうやって思い出すと、私ってほんとに武器を触らないで生きてきたんだな。魔法ばかり触っていた気がする。


「そっか……ならまず、刀を使ってみようか。あとは、弓とか小刀、剣も一応……ナイフも持っていくか」


レンはそう呟きながら、武器を次々と収納していく。


「よし、外で握ってみよう。窓から飛び降りるよ」


……ん?窓から、飛び降りる…?


「なに突っ立ってるの?行くよ?」


レンは窓を開き、今にも校庭に飛び降りそうだ。

というか、飛び降りた。私が見つめている間に、飛び降りた。


「いや、え、ちょっと待って!先生、生きてる?」


私は慌てて下を覗く。

レンは、楽しそうに下で、私を見上げていた。


『減速は私がしますので、飛び降りてもよろしいですよ』


タウまでそう言い出すのか…。

なら、行ってみよう。

私は窓からまっすぐ飛び降りる。

地面が急速に近づいてくる。


『〈風花〉』


私の下に風魔法が展開され、私はふわっと着地した。痛くなかった。


「怪我してないね?大抵の子はここで怪我しちゃうから治してるんだけど、いらなさそうでよかった」


じゃあなんで毎回飛び降りてるんだ、この先生は。


「まあいいや。まずは刀かな。持ってる刀はどんなの?」


レンが問いかけてきたため、私は収納魔法の中から刀を取り出す。タウの物だったという、あれだ。


「これです。一応形見らしいので、大切にお願いします……」


そう言ってレンに刀を渡した。


「……どこで手に入れた、これ」


レンはまた、時が止まったように固まっている。


「知り合いから…もらいました」


「その知り合いは?」


「えーと…シンという人です……」


そう言うとレンは、明らかに安堵したように腕を組んだ。


「そっか。ならいいや。あいつじゃないなら……」


なんか深そうな事情があるっぽいけど、聞かなかったことにしてもいいかな。

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