25.日記〜4〜
私は、ミイリ。なぜこの日記を書いているか、は省く。アノンさん死亡に関する一連の出来事を書こう。と言っても、私が知っているのは少しだけ。
タウとアノンさん、モリド父さんが倉庫に集まり、父さんがタウに何かをしたことで、タウが父さんに氷魔法を使った。それを見ていたアノンさんは、父さんを守ろうと間に入り、殺された。タウが放心している間に私たちに通信を入れ状況説明と救助要請をしたが、通信が途切れた。急いで向かったがそこにあったのは大きな氷…というより吹雪が通り過ぎたような跡と、灰…おそらくアノンさんと父さんの。それだけだった。
この後、タウはシンと別れ、いつの間にか死んでいた。私はこの事件の最中…というか父さんが死んだ次の日からこの国を離れていたからわからない。自殺だったとか、シンに殺されただとか。憶測は飛び交ってるけど、ひとつだけわかることはある。
私たちの仲間であるアノンさんを殺した罪は重い。
どうでもいいんですけど、念の為書いておこうと思います。
約200年も開いてないので劣化してるだろうと思っていたのですが、大丈夫そうでなによりです。
先日、国中猫化事件というものが起こりまして。発端は猫のような魔物から。私たちも飼っていたんですけどね…。ある日、その魔物が光を纏い始めました。原因は、雨。最近はあまりにも雨が降りすぎていました。だからでしょう。その光を浴びたものは、猫となった。
……冗談でも、例えでも比喩でもないです。その魔物となりました。おそらく国の人口の半分は猫になりましたね。猫好きからしたらいいのでしょうが、アレルギーの私からすると困ったもので…。魔物なのに猫科なのですね、あれは。シンに協力を仰ぎ、浄化水をかけてから一匹一匹乾かしました。浄化水というのは、水を光魔法で綺麗にしたもの。高いです。そんでもってすごく貴重です。治療が終わった頃には、魔力もお金もほぼ尽きました。
大変でした……。
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苦労話で、日記は終わっていた。
レイの正体が、わかった。
彼女は、この世界の創造主。
そして、物語を正常に動かそうとしている。
タウは、知っていたのだろうか。
『おや、お嬢様。読み終わられましたか。いかがでした?』
『タウは、知ってたの?レイのこと』
『……いいえ。いきなりどうされたのです?』
この反応は、きっと嘘じゃない。
というか、タウは普段、嘘をつかない。
『この本に載ってたから』
『えっ……そんなはずは…』
私のそばに、光がやってきた。
これが、タウなのだろうか。
それは集まり、人のような形を作った。
そして、私が持っていた日記を開いた。
『……ページが付け足されています。いや、一度外されていたという方が正しいかもしれません』
『じゃあ、タウは知らなかったの?』
『ええ。そうですよ。しかし、創造主、ですか…。異世界のものであるというところは正解でしたが、創造主とは…。いえ、とりあえずいいです。敵意がある、というよりは世界を正すため…?ある意味面倒ですね…』
『もしかして私に危害を加えたのも…』
『彼女にとっての物語を、都合よく進めるためと言ったところでしょう。日にちもいい感じに経ってしまいましたし…』
私はここで恐ろしいことに気がついた。
闇属性の収納魔法、これって中の時間が進まないようになっていたはず。
……時間軸が狂ってるのでは?
『タウ、もしかしてだけど現実ではすごい時間が経ってる?』
『さすがです、お嬢様。一度言ったはずですが、忘れていらっしゃったのですね』
あ、声が褒めてる時じゃない。
言ってた……っけ……?
ため息をつくように一度間を置いた後、タウは言った。
『あと少しで魔力は溶かし終わります。ここまでで大体1カ月経ちました。学院に居られる期間が2カ月と想定すると、毎日1属性ずつ受けていけば7日、座学と戦闘の残りが18日…あ、戦闘は2日かかる計算です。そして、私の読書期間が5日とすればちょうど計算が合います』
おぉ!ナイスアシスト!
『じゃあこれで行こう。頑張る』
『一応、今後の身の振り方についても考えておきましょう。ひとまず、ご自身の体にあったことは説明せず、毒を受けたとだけおっしゃってください』
まあ、体にとって毒なことがあったんだし、毒を受けたと言っても過言ではない…嘘ではない…うん、嘘じゃ…ない…たぶん。
『レイにあった場合、どういたしますか?』
たしかに、レイにあった場合、復讐するか、放置するか。これは大切だ。
『放置で。正直、よくわからない技術を使われてる時点で勝てるかわからないし』
『それもそうですが、私は負けませんよ』
さすがタウ。でも
『もし、タウが無力化されたら?私だけで勝てるわけないし』
『……作用でございますか。では、放置ということで。何もなかったかのように振る舞っていただきますね』
しばらくした後、タウは報告してきた。
『魔力が溶けきりました。もうすぐ意識も回復するでしょう。何か、私がすることはありますか』
今のところ大丈夫かな、たぶん。
『大丈夫、ありがとう』
『お礼など不要です。私は今、あなたのもの。まあ、数週間後には変わりますが、ね』
うん、無茶振りは絶対しないでおこう。
逆になったとき終わる。
『それでは、いってらっしゃいませ』
最後に聞いたのは、この声だったなぁ。




