14.授業
朝ご飯が終わり、他の人たちも着替え終わり、あとは教室に向かうだけだ。
「じゃあ、しゅっぱーつ!」
イソクを先頭に、私たちは廊下に出る。
リゼは毒属性の授業を受けるらしく、紫色のマントを着けている。クウはオレンジ色、つまり戦闘の授業だ。イソクは水色のマント、よって水属性の授業だ。まあ、水色と言っても青に近いけれど。
「ここが、服を借りるところねー」
イソクが案内してくれる。
右手側を見ると、木の棚があり、
カラフルなマントが並んでいる。ネクタイもあるっぽい。
その横にはまた木の棚があり、黒の服が大量に並んでいる。
さらにその横には、浴衣が並んでいる。
その横には着終わった服を入れられるような籠が置いてある。洗濯係でもいるのだろうか。
「ここの渡り廊下を通って…」
最初にレンさんと一緒に通ったところと違った。
窓から見える外は明るく、美しい庭、という感じだった。
「ここを抜けると、教室の並ぶところ。えーっとね、4階に座学、毒、闇属性の教室、3階に火、風属性、戦闘の教室、2階に水、土、光属性の教室。1階は職員室ね」
おぅ…わからん。地図ください。
「どういう並び?」
リゼが問う。
「校庭を使うところは、下の方の階。細かいところはじゃんけん大会」
クウが答えてくれた。
じゃ、じゃんけん大会?なかなかユニークだ。
「まあいいや。えーっと、最初に魔法陣があって、次に闇属性の教室。その次が、毒属性で、最後に座学の教室。更に奥には図書館があるの。2階から4階までらせん階段でつながってる。あ、そういえば、これ」
イソクが指さしているのは、階段だ。
「これ、1階までらせん階段でつながってるんだ。魔法陣でも移動できるけど、これ使ってもいいよ!」
そして…とイソクは言葉をつないだ。
「3階は、手前から火属性、戦闘、風属性の教室。2階は手前から光属性、水属性、土属性。1階はいろんな先生の職員室がいい感じに並んでる。だけど、あんまり行く機会はないかな」
「イソクは結構呼ばれたよね」
「あー……座学で赤点取りすぎて…」
座学、難しいのか。
なんで最初の授業で選んだんだろう。
今更後悔している私だった。
「それはどうでもよくて!あと言う事あるかなぁ…」
「そこに王城があるんだけど、王城から50m分、校庭があるんだ。だからかなり広い」
へぇ、豆知識みたい。面白い。
「じゃあ、別れよっか。私たちは階段降りるから」
「うん。またね」
リゼが答えていた。
しばらく歩き、魔法陣前を通り過ぎると、教室が立ち並んでいた。教室の扉の前にあるプレートを見ていく。
「あ、毒属性。じゃあアミ、またね」
「うん。頑張ろ」
ひとりになっちゃった。
まあ、黙々と歩きますか。
と言っても教室はすぐそこだった。
「失礼します…」
前の扉から入ったから、教室の全貌が見て取れた。
前には大きなホワイトボード、教壇がある。
そして、前5列ほどは机が平坦に並んでいて、それから後ろは階段状に5列ほど並んでいた。横は10列ほどだ。
「席って…」
「自由だよ。アミさん」
後ろから、優しい声がした。
思わず振り向くが、振り向く前から声の主はわかっていた。
「アレイスさん…?」
アレイスさんは、昨日と同じ格好で、しかし杖を持ってやってきた。
「座学の担当は僕でさ。いやぁ、人手不足もそろそろ限界だよねぇ…」
なんか、昨日のイメージと違う、明るい感じだ。軽い。
「さ、座って。授業を始めるよ」
私は急いで席を探す。
すると、一番角の席が空いていた。
こういうところが一番落ち着くんだ。
というわけで私はそこに座る。
『前、見えるか?』
タウの場合は見えないかもしれないけどさ。
身長低いって話だし。でも私は見えるし。
『大丈夫。見えてる』
『そうか』
チャイムが鳴り響いた。
「はい。起立」
アレイスさんの号令で、みんなが立つ。
私もそれにならって立った。
「礼。着席」
いるか?この動作。
すっごく時間の無駄な気がするんだけど。
まあ、やるってことはなんか意味があるのだろう。気持ちを切り替えるとか?
「今日は、第3回の授業をするね。第3回は、この国の地図を覚えてもらう」
なにかと地図を見るのは初めてだから楽しみかも。
「これ、現物ね。貴重だから触らないように」
ホワイトボードに大きな地図を貼った。
後ろの席からでも見えるくらいの。
「はい、ここの真ん中。これが王城」
アレイスは、どこからか取り出した棒で地図を指す。
指した先を見ると、白く、丸っぽいところだった。たしかに、上から見たらそんな感じかも。
「そして、そのまわりがここ、魔法学院。王城を守る役割もあったらしいけど、今はあんまり関係ないかな」
主にあなたのせいで、と言いたくなったのは私だけだろうか。
『おーい、これ楽しいか?』
『楽しいよ?結構』
『わかり合えないタイプだな…』
ほんと、そうだ。
「西側には海があって、昔国境を作るのに苦労したんだって。ほんと、海の中で工事なんて大変だよね」
たしかに大変そう。まだ話は続く。
「南側と東側は森に覆われてる。北側は、これが特徴。立ち入り禁止区域」
それってたしか…。
「魔王が作ったとか言われてるけど、まあここらへんの話は明日やるから放置ね。魔王城があるのも北のほう。あとは…うん。自分で見てたしかめて見なよ。地図はまだ貴重だし、自分たちで作ってみな」
そこからも、いろいろな場所の解説があったが、まああんまり私には関係なかった。
聞き流していた。




