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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
5.リゼ編
103/132

103.買い出し

〜前回のあらすじ〜

タウとの戦いから逃れて魔物討伐をしていたイッシュ。

魔王と呼ばれるほどのことをしたタウは、今どうしているのだろうか。

生きていてよかった、そう言われた次の日。

私たちは普通に街を歩いていた。

買い出しのためだ。


「まずは食料品でしょ、あとは武器も新調したいし」


イッシュは、歩きながら予定を立てている。

私はその横をちょこちょことついていっていた。

その時だった。


「よぉ、久しぶりだなぁ。イッシュ」


前に現れたのは、タウだ、魔王だ。

ちなみに、タウが歩いてきたであろう道は、きれいに切り開かれていた。人がこんなにいるのに。きっと、そういうことだ。なんらかの方法で、殺して…。


「久しぶりだね。なんで必要ない殺しを?」


イッシュは、タウが歩いてきた道を見て、言う。


「大丈夫だ。殺してはいない…たぶん。上昇気流を発生させて、遠くまで飛ばしただけだ…あっちから仕掛けてきたし」


呆れるように言う。


「そっか。それで、用は?」


まさか、だけど。イッシュに用がある、とかではないだろうか。そんなことはないと信じたい。

私の心臓は音を立てる。思い出すのは、師匠の敗北を知った、あの日の光景。


「買い出しと…お前だ」


嫌な予感がする。私のその予感は、当たっていた。





「タウは何を買いに?」


私たちは一緒に街を歩き、店を回っていく。

…お尋ね者の魔王と何をしてるんだか。


「パンと野菜。あと肉もだな」


「なにもないね」


つい私は言っていた。だって、本当に何もないんだもん。まさかそこまで食料が尽きることがあるなんて。


「引っ越したてだからな」


わ。初耳。それはものがないだろう。少し納得する。


「いつ?」


「一週間前」


めっちゃ最近。

もしかしたら、不法な城を建てたってことも指名手配のうちだったのかも。城は王にしか建てる権利がない、とかそんなのもあるのかもしれない。


というか、さっきからイッシュの生暖かい視線が気になる。


「イッシュ、何?」


タウも、不快そうな表情を隠しもしない。


「いやぁ、君たちが同年代みたいで可愛いなぁって…」


直後。タウから殺気が発せられる。

イッシュのとは、レベルが違う。

私は文字通り、背筋が凍った気がした。

心臓が鷲掴みにされるかのような、そんな殺気。


「殺すぞ?」


辺りの人は、こぞってどいていった。

ちなみに、私は一歩も動けない。

イッシュもだ。


「……まあ、後で、だな」


意味深な言葉を吐いて、その場は収まった。






いろいろな買い出しも終わり、帰ろうとしたところだった。タウは雰囲気を変えた。


「本題だ。用はお前だ、と言っただろう?」


ついに、来てしまった。イッシュは、私をかばうようにタウの前に立った。


「何?なんかあった?」


「とぼけるな。昨日のあれはなんだ?イッシュのようだったが、なにか違う」


式神のこと、勘だったのか。それで殺されたって、なかなかに短絡的ではないだろうか。


「まあね。戦いたくなかったから」


「そんなのっ…!……まあ、そうなるか」


一瞬声を荒らげた。


「俺はお前と戦いたかったな…」


そう言って、刀を抜く。

師匠が危ない!

私はそう思って、さっと剣を振り抜く。

そして、刀を押さえた…と思ったのだが。


違う。私が押さえたんじゃない。

私の剣は折られていた。イッシュの剣によって、私は守られていた。


「お前から仕掛けてくるとは」


呆然としているとタウから発せられた言葉は、これだった。え、タウが仕掛けたのでは……?

そう思いながらイッシュを見ると、魔導具を用意している。


「だって、今がチャンスじゃん。野放しにしたら、きっと後に……」


「そうか。仕留め損なった、それの意味はわかっているな?」


「もちろん。リゼ、半径5m以内に人が近寄れないよう規制を。あと応援をお願い」


イッシュは魔法をすぐに用意し始めた。


私は思考が追いついたと同時に声を張り上げる。


「ここで乱闘が始まります。半径5mは離れて」


そう言うと、まわりから人が消える。

ある者は帰り、ある者は見物する。

そうやって円形の闘技場ができた。


「死なないよう私が援護しますが、自衛を頼みます」


主にタウの知名度のおかげだろうか。

わかりやすく人がいなくなった。

これで、イッシュの懸念は減っただろうか。

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