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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
5.リゼ編
104/132

104.戦闘開始

〜前回のあらすじ〜

買い出しに行ったリゼと、師匠のイッシュは幼なじみではある魔王、タウに出会った。するとイッシュはタウに攻撃を仕掛けた。さぁ、戦おう。

それを確認したイッシュは、奇襲かのような勢いで、タウに襲いかかる。


「小柄なのも、使いようだよな」


タウは、それを避けるためにしゃがんで走った。


「身長があったほうが得だと思うけど」


イッシュは氷魔法で氷柱を作り、タウに向かって発射する。蜂の巣となった、いや、炎で全部消されていた。


「どうだ?って顔だけど、優勢なのはこっちだよ」


イッシュが、攻撃を仕掛ける。剣を抜き、タウの喉を突いた。正確な突きだ。流石としか言えない。

タウの喉からは血が噴き出て、一瞬、ふらついた。


「勝った…?」


思わず言葉がこぼれ出た。


だが、世知辛い。


「まだ、だな」


刀を一気に振るった。

イッシュが、斜めに斬られる。


「俺は回復できるけどな、お前はできないだろ」


そう。イッシュの属性に光はない。

私にできることは……スキルの譲渡?

そうだ。このスキルがあれば、式神だって呼べる。

譲渡の仕方は…これか。

自分の魔力の4倍をスキルに込めて、渡す?

よ、4倍って……。


「そうだね…元の属性なら、ね」


はっとしたときには、そう言いながらイッシュは回復していっていた。


「……何をした?」


「契約の使い方の問題だよ…続けよう」


イッシュが剣で、タウが刀で。

斬って斬られての攻防戦だ。

私はその間に、ひたすら回復薬を飲みながら魔力を回復し、契約も駆使しつつスキルの譲渡のための条件を手早く揃えた。


「イッシュ!受け取って!」


私はイッシュにスキルを渡した。

何?という顔でこちらを見たイッシュは、思考を巡らせて状況を確認する。


「なるほどな、通りで」


タウは何が起きたのかを理解したらしく、一度態勢を整えた。


「ここから、行かせてもらおうか」


イッシュは紙をサッと取り出し、式神を呼んだ。

透明だから見えないが、明らかにイッシュの動きが変わった。これは、2対1での戦い方だ。


「くっ……」


イッシュが繰り広げる斬撃に、式神による様々な魔法。光が、闇が。火が、水が。飛び散り、集まる。


「これで、終わらせる」


イッシュは、タウの刀を叩き切った。

折れた刀は、即座に式神によって燃やされた。それにより魔力が尽きたのか、もう魔法を使うことはなくなった。


「どう?降参しておく?」


イッシュはタウの首元に剣を当て、問う。


「まさか。俺は……」


「そっか。残念だね」


イッシュは懐から何かを取り出した。

それを見て、タウは目の色を変えた。


「やらせるか!」


ありったけの魔力を使ったであろう炎の攻撃が、イッシュの目の前で蒸発していく。

式神は、2体いたのか。


「さ、大人しく檻に入ってもらおう。それとも、ここで死ぬ?」


イッシュは、タウに懐から取り出した何か……いや、手枷のようなものをつけた。


「……いやだ」


タウは、魔法を使おうとしたようだ。魔法陣も、描こうとしていた。しかし、できなかった。少し放っていた殺気すらも使えなくなったようだ。


「いやだ、いやだ、俺は……俺は、やり遂げる!」


「〈スキル????〉!!」


タウは、スキルの名を叫んだ。

そしてスキルは、それに応えた。


「それは……」


タウの手には刀があった。手枷は、消えていた。


「こんなことができたのか……」


「使えなかったはずでは?」


イッシュは、剣を構えて距離をとる。


「使えるようになったらしいなぁ!」


タウはイッシュに向かって駆け出す。

刀を力の限り振り上げ、そして飛びながらイッシュに振り下ろす。


「くっ……ならば」


イッシュは氷を地面から生やし、立てないようにした。タウは跳躍し、屋根に逃げた。


「〈スキル????〉」


タウの刀が形状を変える。あれは…弓?

そう思った直後、矢が3本まとめて飛んできた。

イッシュは間一髪で避けた。

避けた先には、炎があった。


「2回目は、引っかからない!」


イッシュはサッと消火し、剣を構える。


「もう、魔力はないだろう?それだけだ」


タウは近くに帰ってきていた。

イッシュに刀を刺し、抜いた。


血が、無惨なほど明るい血が飛び散る。

タウは、ハッとしたように攻撃の手を止める。


「俺は、俺は……?殺されそうになったから、殺した……そうだ。俺が……殺した、のか……あぁ」


タウは、そう言いながらトボトボと歩いていった。

それどころじゃない、イッシュは命の危機だ。


「師匠!イッシュ!」


私には、駆け寄って近くにいることしかできない。


次の瞬間、救世主が現れる。


「タウ…?何してんだよ!」


たしか…


「シンか」


そうだ。シンだ。タウに言われてわかった。


「なあ、そこにいるのはイッシュだろ!何してんだよ!友達、だろ……」


呆れ、落胆、諦め、怒り。

いろんな負の感情が入り混じった、シンの感想だった。


「もう、いやだ。なんで来たんだ」


「買い出しの途中でこんな場面みたら来るだろ!普通」


「いや、買い出しに来る人多いな」


あ、つい突っ込んでしまった。

でも、誰も気にしない。

それよりも、大切な場面だった。


「とりあえず、俺は帰る」


タウは、走って、帰っていった。

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