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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
5.リゼ編
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101.出陣依頼

〜前回のあらすじ〜

リゼは自分の師匠、イッシュが、彼女の幼馴染のタウに負けたことに悔しく思い、訓練を頑張った。その半年後のお話。

師匠の敗北から、半年ほどが経った。

私は、ただただギルドに来る依頼をこなしていた。

ある日、


「リゼ、ちょっといい?」


とイッシュがやって来た。


「何かあったの?」


あの日以来、私たちはあまり会わなくなった。7歳でも、自立はできる。だから、今回の訪問は意外だった。


「来てから、全部話す」


そしていつになく、真剣だった。




ギルドに行き、奥のほうの、密会をするための部屋に歩いていく。少しスピードが速い気がする。


「ねぇ、イッシュ、何が…」


「まだ、何も言えない。あの部屋でしか、言えない」


本当に、内密な話っぽい。




部屋の扉を開ける。

シャンデリアに赤いカーペット。

まさに豪華な部屋だ。


「リゼ、座って。話すから」


イッシュが席を進めてきた。


「それから、これ…」


取り出したのは、魔術具だ。

契約が使われているのだろう。


「この範囲の外に音は聞こえない」


そう言って魔術具を起動させる。

辺りに、魔力のベールのようなものがかかる。


「それで…本題」


イッシュが、ここに呼んだ理由を話し出した。


「私の幼なじみ、タウは覚えてるよね」


もちろんだ。だから私は、頷く。


「うん。そっか。それで、そのタウに、指名手配が出た」


何があったの?え、指名手配?


「あはは、疑問みたいだね。えーと、どこから話そう。まあ、少しでいっか。どうせ後でわかるし。…タウはね、人を殺した」


まあ、あいつなら簡単だろう。

少しの納得と、多量の疑問が私に押し寄せる。

イッシュは話し続ける。


「別にさ、私は問題だと感じない。だって、人だって魔物だって似たようなもんだし。種族内で殺し合うなんてよくある話」


たしかに、そうなのかもしれない。


「でもさ、国全体で見れば違う。私の感性は、特殊だ。国の1割にも満たないだろう。国からの指名手配書だったんだ。どうしようも…なかった。殺したのが要人じゃなければ…まだ何かあったかもね」


後に聞いた話だと、殺した理由は、逆らったから、気に触ったから、だそうだ。

イッシュは、なぜそんなやつをかばおうとしたのだろうか。


「よって、討伐部隊が組まれることになった。これが大事なとこ」


私は一度、姿勢を正す。


「私は、死にに行く」





一瞬、頭の中が真っ白になった。

意味わかんない。

死ぬって…。いかなきゃいいのに。


「なんで…」


困ったように、


「うーん、国王直々に出陣依頼が来ちゃって。義務、なんだ。ギルドに、依頼が来たんだからさ。仕方がない。ここからが問題で…」


「止まって、1回!だって…」


すると、辺りの空気が一瞬、凍ったように思えるほど、冷たくなった。殺気だ。イッシュの目は、冷たい。何が何でも進めなければならない、覚悟を決めたような顔をして、私を見つめている。


「リゼ、わかって。私だって、こんなゴリ押しはしたくなかった。でも、これは私の義務だ。ここまで、被害を大きくした、私の」


イッシュの、感情に触れた気がした。


「……生きて帰って来てね」


「…できたら、ね」


薄っすらと笑って、そう言った。けれど、諦めているようにしか見えなかった。





「それで、言いたいことなんだけど」


しばらく経ってから、イッシュが切り出す。


「私は、スキルっていうのを持ってるんだ」


なにそれ?


「それを、君に渡す」


………?


「よし、完了。これで使えるよ」


意味がわからない中で終わっていた。


「えっ……どういうこと?」


「まあまあ、意識の中ではわかるはず…」


そうだ。スキルの説明が、頭の中に刻み込まれている。これは…。


「道理で勝てないわけだ…」


情報の解析、蓄積。それに、式神。イッシュは、式神が透明になるように契約していたみたい。でも、私なら式神の見た目を変えられるっぽい。

つまり……。


「イッシュ、この式神ってやつ、どうやって使うの?」


消費魔力と、大まかな説明しかなかったため、イッシュに聞くしかなかった。


「えーと、紙を媒体にして、顕現させる感じ。大抵はなんでもさせられるよ」


なるほど。


「じゃあさ、イッシュの代わりに行ってもらおうよ。タウの討伐」


イッシュは葛藤しだした。

さっき言っていた。これは、タウをここまで放置した責任だ、と。その理論からすると、許せないだろう。


「たしかに…。うーん、どうしよう」


これなら、王に咎められることもない。

ただ、タウが止められなくなるだけだ。

でも、死ぬと思って行くぐらいなのだ、きっと、どっちでも変わらない。


「……よし、決めた!その案で行こう。私たちの身に危険が迫ってからでいい。しかも今回行くのは冒険者が主。シンとか王様がいないのに勝てるわけない」


覚悟を決めたようだ。


「じゃあ、式神をイッシュみたいに設定して…戦うのっていつ?」


「明日。ちなみに、式神は一度壊れても大丈夫だよ。痛覚も働かない」


よかった。でも、性急すぎるでしょ。


「完成した!出してみるね。行けっ、式神!」


紙を投げる。

すると、辺りに光をばらまいたかと思えば、そこにはイッシュが立っていた。…いや、式神が立っていた。


「おぉ…これなら」


「ね!明日は一緒に森の探索に行こ!」


もう、心配事はない。


「そうだね。行こう」


心配事はない。今の時点では。

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