王都−57
「え、おれが神様だったら?それでこれが世界?」
「そう。その中に空も街もみんなもいるとして」
「そんなの割っちまえば?」
ブロンの言葉に想像したのかトマスが叫ぶ。
「それじゃあ俺死んじゃうよ!空も街もおれも割るのかよ!」
「んじゃあどうしようもねえじゃんか…」
ブロンはあっさり諦めた。
「まあそれが神様の気持ちさ。大き過ぎて直接何か出来ないだろ?でもそれでも諦めずに方法を考えて、それで代わりに俺が来たんだよ。」
「そういうことか…」
「そっか〜」
子供達がなんとなく納得したところで、一言付け加えておく。
「だけど、悪いヤツらに知られると邪魔しに来たり、使者様だから自分にも何かしてくれって何人も付き纏われても困っている人を助けに行けなくなるから、本当に内緒だぞ」
マスタが声を落とし、秘密の共有を告げると子供たちはワクワクをしながらも真面目な顔で頷いた。
「みんな、絶対秘密だぞ。だれかにいうなよ?」
「アンタこそね!」
「し〜、だね」
「うん、し〜、ふふ」
とは言ってもこれからマスタが行う事は完全に衆目を集めるので、違う情報を伝えてもらうことにする。
「でも、これから魔法は人前でも使うから、誰かに聞かれたら魔法使いだって事にしておいてくれ」
「?は〜い」
「?いいよ」
「よし、それじゃあやっと仕事の話だぞ。よく聞けよ〜」
と言いつつも、喉を潤すべくお茶に手を伸ばすマスタだった。
「先ずはここのスラムの地図だな。みんなが知ってるスラムの事も使い方次第でお金になるって事だ。今日はこの辺りの事を聞いて地図を描くから描き方も覚えてもらう。今日の分は今日のうちに払うからな」
「やったぜ!簡単じゃん」
「言うだけでいいの?」
マスタは平らで低いテーブルを出し、そこに紙とペンも出し今いる場所を描いていく。
そして後ろに控えている大人達に買い取りの金額を決めておく様に頼んでおく。
「地図は何かあった時の避難にも使えるし、怪しい奴の逃げ込みそうな場所の目安にもなる。それに反乱を計画するヤツなんかには知られたく無い情報でもあるから、その辺も考慮に入れてやってくれ」
王妃が鷹揚に頷きサロンドや商業ギルドの者と話し合いを始めた。
「じゃあ先ずはこの道を先に行くとどうなってるんだ?道幅と距離だな」
「まっすぐ」
「細くなるよ」
「道幅は子供なら2人横に並んで歩けるくらいになる」
「その辺りの正面に屋根しか無い家があって行き止まり、んで右と左に分かれてる」
「ふんふん。こんな感じか?」
「そうそう」
「そー」
その後も子供達に聞きつつ大まかに半径200m位の周辺地図を描き終えた。
「どうだ?地図の描き方なんとなくわかったかな?」
「わかった〜」
「うん。俺でも出来る」
「大丈夫よ」
「まかせて」
「よし。じゃあ地図用の薄く線が書いてある本をノートとブロンに。間違えたら隣か裏側に描き直せばいいから。それと別で本とペン2つずつ、これは地図を描く前に間違えないように目印を書いておいたりにでも使ってくれ。もう一個は好きに使っていい。絵を描くもよし、名前の練習してもよし、ただし…誰かに見せると…大変な事になるからみせびらかすなよ?」
「し〜っだね」
「そうだな」
アビィに答え、描き終わったこの周辺の地図を、話し合っている王妃達のところに持って行く。
「買い取り金額は決まりましたか?」
商業ギルドの職員らしい男に聞くと、男が跪きそうになったので「気持ちだけでいい」と言ってやめさせ話を進めてもらう。
「それで金額ですが、今回のスラムの地図は市場に出回る物でもありませんので、商業ギルドが口を挟む必要が無いのではと」
「うんまあ、そうだね。それでいいと思う。一つの場所で一度だけの買い取りになるし」
マスタと商業ギルドの職員の会話に他の人も徐々に加わって来た。




