王都−55
「さて、次は食べ物と飲み物を置いてくれ。ブロン達も手伝ってくれ途中で食べないようにな」
「お、おう」
まだ緊張の取れない子供達と、接し方が分からない王妃やサロンド達。
大人達にはお茶を、子供達には食べ物も渡し木箱に座ってもらう。
「じゃ、さっそく食べながらノート達が来るのを待ってようか」
そう言って先ずはマスタがクッキーを頬張りお茶を飲んで見せた。
「ダイアナ姉ちゃん、あれ何?」
いつもは後ろに隠れがちなニッケが前に出て、マスタの食べたクッキーを指差しダイアナに聞いた。
「姉ち…ええ!ええ!あれはクッキーと言う甘い焼き菓子よ。お腹は膨れないから、最後に食べると良いわよ」
姉と呼ばれ舞い上がっているダイアナをよそに、甘い焼き菓子と聞いた子供達は後半は聞きもせずクッキーに群がっていた。
「甘くておいし〜」
「うん、おいし〜。あま〜い」
「あまくてうまくてあまい!」
「ボリボリ、ザクザク、ボリボリ、ザクザクッッッゴホッッゲホ」
口一杯に詰め込んで頬張る子供達だが、案の定口の水分がなくなったようだ。
「ほら、お茶も飲みながら食べなさい。慌てなくても沢山あるから」
「…ングング、ふう。ありがとうおばちゃん」
「いいのよ…」
「ほらキミも、お茶飲みながらゆっくり食べなさい」
「は〜い」
あえて何も言わずにおいた事で、周りの大人達が見かねて世話を焼き始めそれによって距離も縮まり子供達の緊張も解けたようだ。
「ダイアナなんか良い匂いする〜」
「ふふ、そう?後で教えてあげるわね、エリン達も」
「えへへ、やった〜」
「うん、ありがとう」
ダイアナ達はもう実の姉妹のように仲良くしている。
ニッケはクッキーを食べ終わると、前回は無かった食べ物を探しては味見するのに夢中になっている。
それを見ながらマスタはブロン達に話しかけた。
「他の子は何て言う名前なんだ?」
ブロンが多分1番年上でノートと同じくらいだろうと見える。
「おいらトマス。よろしく」
ブロンの隣にいた少し下に見える11、12歳くらいの男の子が答えた。
その様子を食べながら見ていた他の子も次々と答えた。
「私はケイ」
「ボクはマーだよ」
「アタシはシルシル」
ケイはエリンと同じくらい、マーとシルシルはアビィやニッケと同じくらいに見える。
「よろしくな、俺はマスタだ。腹一杯食っても足りないくらいあるからゆっくり食べろ」
「ハグ、こんなのみんなで食べれちゃうよ」
「へ〜ニッケ、これでもか?」
「ドサドサドサドサ…」
マスタは追加とばかりに袋から出すフリで、無限倉庫から果物と菓子を出し、手にも肉串を何本も掴んで見せた。
「ム、ムリ〜、隠しとくなんてずるいよ」
「俺の魔法の鞄は特別性でな、冷めないし悪くならないから、食べる時に出してるんだよ」
「肉串は一昨日食べたしいいや」
「じゃあ、俺に下さい」
「おいらも」
「私も」
「ボクも」
「アタシも〜」
子供達はマスタの手にある肉串を見つめ一斉に手を伸ばしてきた。
「はい、はい、はい、はい、はいっと」
(やっぱり子供にも肉串は大人気だな)
「わたしも食べようかな、エリン半分ずつ食べよ〜」
「いいよ」
「じゃあ、はい。今回のはタレがかかっているからみんな気を付けろよ」
「え、味違うの?じゃあボクも〜」
食べる事になると人が変わったようになるニッケに呆れながらも、楽しそうな子供達の笑顔に癒されているとノート達が帰って来た。




