王都−51
「後は私の部屋の改装の許可を貰いたい。少し不便を感じる部分に関してだけなので、気に入らない様なら直ぐに戻すと約束する」
マスタの改装とは改造にあたると思ったが、元に戻す事を前提なので改装として聞いてみた。
「分かりました。許可を出しましょう。良いですよね陛下?」
「お、おう。許可する。好きなようにしてくれて構わない」
隠れている事も忘れ普通に返事をしてしまうドベデス。
「では、これをお渡しして解散という事で。女性には洗った後に塗る潤いを保つ化粧水を。これはこの場にいる人に渡せる分しかありません、ご注意を。男性には紙とペンを。この紙を目指すのはかなり困難ですが、頑張って下さい。魔法の存在し無い世界でも作れる物ですから」
(コピー用紙とボールペンだけど、数がある方が嬉しいだろうしね。本当は自重したいけど、到達点を見せて後世の為の基点になって欲しいし)
更なる歓喜が巻き起こりそうになるのを、他の人の分がないと言ってなんとか宥める事に成功して部屋に戻るマスタだった。
翌朝ゆっくり目覚めて風呂に入り、朝食の時に2人に相談した。
「今日はこれから魔法の実験をしたいと思う。協力してもらえないか?」
「「勿論です」が、どんな事をされるんですか?」
2人は即答してくれたが、メルトの疑問も尤もだ。
「浴室で水魔法の実験だな。2人には濡れたり汚れてもいい服に着替えてもらって、それから始めるつもりだ」
「分かりました、それでは食事が終わったら着替えを持ってまいります」
それから食事を続け、お湯の出る魔道具の仕組みや排水の構造等の話をして、食事が終わり2人はワゴンの片付けと着替えを取りに部屋を出た。
マスタも用意していた短パンとTシャツに着替えて浴室へ。
浴室内の道具や小物を外に出し、後で着替えが出来るように衝立で囲って着替えのスペースを確保しておいた。
そこへ2人が戻って来たので実験を始める事にした。
「先ずは俺が土魔法で浴室全体を改装してみようと思う。折角許可もらった事だしな」
浴室の床から壁そして天井に魔力を送りながら意識を集中して完成形を強く想像すると、徐々に全体が波打ち形を変えていく。
暫くして完成した浴室に以前の面影は無く、浴槽はつるりとした表面で大きな楕円形、そこは深く70センチはある。
上の縁には何か膨らみがあり、よく見ると浴槽の中の手前には段差が付いていた。
ダイアナが表面を指ですりすりしながら聞いて来た。
「これがマスタ様の望む浴槽の形ですか?」
「そうだね、ほぼ理想的かな」
メルトは浴槽を跨ぎ中に入ると次々と質問する。
「この中にある段は浴槽の中に入る為の物ですか?」
「それもあるけど、中で座るのにも使えるだろう?」
「お湯に浸るのですか…この上にある膨らみは何でしょう?」
「それは中で足を伸ばす時に横になるから、頭置いたり、顎乗せたりする為だね」
メルトは実際に横になって頭を置いてみるようだ。
「こうやって…こう…ですか。お湯に浸かるとまた違うのでしょうか」
マスタはここで気が付いた。
「そうだね…って言うか…2人共その服の下、着てないのは何で?」
「下着が濡れてしまうのが嫌なので」
「私もです、高級品なので」
「水で濡れて張り付いたら丸見えじゃ無いか、まったく」
「マスタ様に見ていただいても困りませんし、私では欲情などされないかもしれませんが」
「私も大丈夫です…」
ダイアナは大丈夫とは思えないほど顔が赤かった。




