王都ー42
「ふ〜、じゃあいきますよ」
「フュッ!」
『ドバガゴン!!!』
盾を押さえて構えたままの2人ごと盾は5メートル 水平に 吹き飛んで2人は倒れた。
その様子を見たドイルが呆然と見つめたまま呟いた。
「お、おい。俺は今のを食らったのか?よ、よく生きてたな」
「いや、あの時のも範囲は小さくして当たった時点で直ぐに消してますよ」
「そ…そうか…」
マスタが飛んで行った2人に近づいて行くと、起き上がるところだった。
「大丈夫ですか?」
「ああ…ドイル…よく生きてたな?」
「本当だよ。これは無理だね、城壁でもすっ飛んで来たみたいだったよ」
「ちょっと2人共動かないで。…(回復x2)…よし。これで怪我や痛みは残らないはず」
「ありがとよ。凄いねアンタは!」
「おお、ありがとな、無理に頼んだのに」
「まあ、成り行きって事で」
「でも…腰の痛みが…無くなったよ。アンタは?」
「ん?痛めてた足…が治ってるな」
「「「……」」」
「お、お腹空いちゃったな。ちょっとだけ食べてくか、あ、そうだ。持ち帰り用も作って欲しかったんだ。そうそう」
「「…」」
本日2回目の説明をする事になるマスタだった。
「御伽噺の英雄様か、光栄な事だな」
「なるほどね〜。いやはや、これでまだ数日なのかい。何処まで成長するんだろうね」
「そんなご大層な者じゃあ無いつもりですよ」
「平民に親しくて助かるけどね、丁寧な話し方は苦手なんでねえ」
「それこそ気にしないさ。そろそろお客さんも待ってるし、持ち帰りも頼むよ。冒険者ギルド行って登録したら、魔物狩りでレベル上げしなきゃ」
「よっしゃ、んじゃちょっと待っててくれ。直ぐ作る」
鉄壁の盾で豪華弁当大盛りを沢山貰ったマスタ達は、王都の冒険者ギルドへと辿り着いた。
外観は石造りのしっかりとした感じだが、看板や入り口などは綺麗でお洒落な雰囲気だった。
(テンプレ、フラグ…あるのか?)
「ドイルとメルト先行してくれるかな。一応」
「?おう、いいけどよ」
「畏まりました」
そうして、ギルドの扉を潜ったマスタ達。
ギルドの中はかなり広く、酒場は併設されてはいない。
受付窓口は正面奥にズラッと並んでいて、途中の壁一面に依頼の条件などが大まかに書かれているのが見えた。
FランクからAランクまでそれぞれのランクの黒板のような物で分かれていて、それを見た冒険者が受付で詳細を聞く手順らしい。
「人は多いけどそこまで混んで無くて良かった」
マスタの感想だったが
「いや、時間が遅いからだな。朝はもっと混む筈だぜ」
「そうですね、良い時間に来たかもしれません」
ドイルとメルトから即座に突っ込まれた。
受付に向かいながら話していると、受付から呼ばれる声がした。
「メルトさん。お久しぶりですね、お元気でしたか?」
一番端にある 登録 のプレートを置いた受付嬢だった。
「ビュートお久しぶりです、元気でしたよ。出世したのですか?ここにいるって事は。おめでとうございます」
「そうなんですよ、ありがとうございます。ところで今日は?」
「こんにちは、マスタって言います。今日は俺の登録をお願いしようと、ただここの責任者の人ともちょっと話をしておきたいので、お願い出来ますか?」
「王都のギルドマスターは気軽に会わせても良い方では無いので…」
ビュートはあからさまにはならない程度に、マスタを値踏みする視線を向けながら言った。
「ん〜と、メルトあの袋見せてくれる?」
「あ、はい。…こういう方なので。お願いしますね?」
メルトは直ぐに理解して買い物用に貰った魔道具の袋を取り出し、紐に付いた王家の紋を見せた。
初めは袋なんか出して袖の下でも握らせるのかと、警戒していたビュートだったが王家の紋が見え、混乱しそうになる頭を整理して、何とか言葉を発した。
「?!は…わかりました。お待ち下さい」
その返事を聞き、マスタはドイルに振り向いて聞いた。
「ドイルはここで更新したりとかしないのか?」
「いや、多分この後一緒に出来るだろうから…」
少し緊張して見えるドイルは奥に消えて行くビュートの背中を見つめながら言った。




