王都−40
全員座ったのを確認してからマスタは自分の事を話した。
「…ではこの前の回復して戴いた時の魔力や詠唱が無かったのも、神技であったのですね」
「神技じゃ無くて、俺の能力なんだけどなぁ」
「色々納得したよ、理解の出来る力じゃ無いって事も」
「まあ、俺の事は騒ぎになったり、不審者に付き纏われても迷惑だから、周りに言い触らしたり追及しないでおいてもらえればそれでいいよ」
「畏まりました」
「もちろん。了解だ」
2人の返答を聞いてから、マスタは無限倉庫に入れておいた物を取り出して、女性陣に手渡した。
「「「こ、これは?」」」
3人に1つずつ渡し
「向こうの女性服の本だ。季節毎に1つずつ違う。ここで見るだけになるが、今後の参考にしてくれ」
「も、文字は読めませんが、服に化粧に髪型に…センスが凄過ぎますね!」
リフィは顔と本がくっつきそうな程、凝視している。
「空が隠れる程の建物が、あ〜この靴可愛い〜」
ダイアナは背景の建物や、靴に興味がある様だ。
「これが、マスタ様の世界…」
メルトは既に本の世界に入っていた。
「今後の参考にするなら、書き写さなくていいのか?」
「「「!!」」」
慌てて机に向かって行った3人を見送っていると、ドイルが聞いてきた。
「さっきのアレが本なのか?煌びやかな色でツルツルしていたが…」
「まあそうだな、女性の服が主の本だな」
「それを見せても良いのか?」
「見るだけな、製法も素材もこっちじゃ同じには出来ない。だけど好みの造形なんかは参考にしても良いと思うから」
「そうか、あの2人みたいに綺麗な子が増えると良いな」
そう呟いたドイルにリフィが振り向き、メルトとダイアナを見て
「やっぱりマスタ様のお力だったんですね」
と言ってから、また書く作業に戻った。
「…まあ、今後出回る物でリフィもさらに綺麗になれるだろうから、慌てないで待っててくれ」
と声をかけると、笑顔で振り向き
「エルフの生涯は長いですから、ゆっくり待ちますね」
などと、ビックリ発言が飛び出した。
「え!エルフってリフィさんがエルフなのか?」
「あら、メルトから聞いていませんでしたか?ほら」
リフィはスッと髪を搔き上げ耳を見せてくれた。
「本当だ…でも横に突き出てないんだね」
「こうですか?ぴこぴこ」
「おおお。でも何で普段隠してるの?」
「色々ありますけど、人混みだと触れてしまいやすいですし、音を拾い過ぎて五月蝿いですし、寝る時は畳んでいますから」
「へ〜。でも、メルトも少しエルフっぽいかな。見比べると」
「マスタ様。メルトさんはハーフエルフですよ」
「えええええ!教えてよう」
「すみません。特に言う程の事でも無いので気にしていませんでした」
本に夢中で上の空のメルトは返事もおざなりだった。
(エルフに会ってたのに気付かないとは、不覚だった。いや、今異世界の第1エルフと遭遇したと思おう)
3人は一先ず放置して、ドイルと話す事にした。
「俺はまだここに来たばかりでレベルを上げてないんだ。そこでこの後冒険者組合に行って登録して、近くの狩場で魔物討伐でもと思っているんだけど」
「あれでか?…いや、同じレベルでも個人差はあるし、あの能力はレベル関係無いな。俺も拠点はここじゃあ無いからギルドで聞くのが良いだろうな」
「そうか、ギルドって呼ぶんだよな。やっぱり行ってから聞くか」
「それ以外の事はここで冒険者をやっていたメルトに聞くのが良いかもな」
「それもありか。あ、その前に鉄壁寄って行くから顔出してやりな」
「う、そうか、そうだな。分かった」
(まあ、顔出し辛いだろうけどな)




