王都−38
今朝は早く起きて部屋で柔軟運動をしてから、風呂に入り浅い浴槽に浸かりながら能力確認の文字列を眺めていた。
マスタ
種族 異世界人
職業 勇者
レベル 7
スキル 空間操作 電撃 殺気 回復(再生) サイバーデSHOP 魔力操作(全属性)
「カッコ再生って何だよ…」
英雄として召喚された筈のマスタが勇者召喚だと思っていた事から、勇者となり特殊な能力を持つのが勇者であると思い込んでいる事がどんどん特殊なスキルなどを獲得している事に気が付いていない。
本来個人がその場でステータス確認すらできない事も分かっていないのだ。
風呂から上がり朝食を持ってきた2人と一緒に食べ、最近借り続けている馬車に乗り込みリフィの店へと向かう。
御者は2人が1日交代で務めてくれているのだが、丁寧な対応をする人を選んでくれているようだ。
城門を超えた所で1人の男が街に向かって歩いている後ろ姿が見えた。
割りの良い仕事だと飛び付き騙された挙句今日まで牢に入れられていた冒険者だった。
油断もあったが自分の今までの経験で察知出来ない攻撃で一方的に倒され、しかも手加減されていた。
騙された事よりもショックだった男は、解放された後も落ち込みから回復出来ずに俯きながら街へと歩いていた。
どれだけ歩いたのかも気にしていなかったが、不意に後方から不思議な気配を感じ振り返ると馬車がこちらに向かって走ってきていた。
馬車から感じるのは敵意や害意では無いが、感じた事のない圧倒的な大きさの魔力の流れを持つ何かの気配だと感じた。
自然と足が止まり馬車を呆然とていると、その馬車が目の前で止まった。
「マスタ様。前を歩いているのは多分ドイルさんです」
御者が覚えていたらしく、メルトに知らせて来た。
(コングさんのお兄さんか。話す機会が無くなっていたから丁度良いか)
「ドイルさんのとこで止めてもらって」
伝えて直ぐに馬車は速度を落とし停車した。
マスタはメルトに扉を開けてもらいドイルに声をかけた。
「どうも。この間ぶりだね」
「!あ、アンタは。…この間と随分雰囲気が変わったな、ましたね」
「そうかな?特に…ああ、ドイルさんは魔力を感じる事もできるのかな?」
「まあそうだ…ですね」
「敬語は苦手なら必要ない。乗るか?少し話もしたいが行く所もあるし、向かいながら少し話さないか?」
「良いので…そうか、助かる。因みにどこへ行くんだ?」
「この間の服屋に行ってから、冒険者の組合かな」
「…それなら同行させてもらえると助かる」
「じゃあ、詰めるから乗ってくれ」
そしてドイルも加えてリフィの店に向かい走り出す馬車。
「俺はマスタだ。よろしく」
「メルトと申します。鉄壁の2人には昔お世話になっていました」
「ダイアナです。マスタ様の従者をしています」
「そ、そうか。コングとトーミの知り合いか。Bランク冒険者のドイルだ、よろしく頼む」
「メルトは名前だけは聞いた事があったらしい」
「元冒険者か?動きがそういう感じだな」
「はい。城勤めになるまでは。今はマスタ様の従者です」
「アンタ何者なんだ?身分もそうだが、得体が知れない」
「後で少し話はする。とりあえず前と雰囲気が変わったって言ったろう?あの後魔力の扱いを少し覚えたんだが、それじゃあないかと思って」
「あの後?少し?そんな規模じゃあ…」
「具体的にどういう風に違うんだ?」
「ん〜…あえて言葉にすると…そうだな、濃くて大きい全部の属性の魔力が、渦を巻きながら人の形をして存在しているって感じだな」
マスタは不気味な人の形をした何かを想像した。
「そういえば魔術師長様が聞いて来ましたっけ」
しれっとそんな事を言うダイアナ
「ダイアナ。そういう事は早めに教えてね」
マスタがお願いすると
「私も何人かから聞かれました。陛下と王妃様と騎士団長からですね。魔石に魔力を流す訓練をした結果だと報告しておきましたが」
メルトまでしれっと言い出した。
「メルトも教えてよ。そうだったのか〜…」
得体の知れない不気味な気配を垂れ流していた事に落ち込むマスタだった。




