王都−34
大通りに出たマスタ達は買い物をしていた。
生活用品や雑貨、食料に衣服等とにかく買い込んでいた。
ダイアナにお金を渡しアビィと共に果物の屋台に買いに行ってもらっている、と言っても2軒隣なのだが。
「マスタ様、さっきの鍋ですが…」
「ああ、温かいままだっただろう?時間経過しない事の実験用だったけど、先に分かってたからな」
「そう言う事でしたか。あ、この袋さっき言っていた魔法の袋として、どうですか?」
「おお良いね。これ下さ〜い!」
店の奥にいたおばちゃんにお金を払い、2人は2軒隣に目を向けた。
「行く前に買い込んで行こうかとは思っていたから、ちょうど良かったかな。」
あれもこれもと大はしゃぎするアビィと、優しい笑顔でお姉さん然とするダイアナがよく見えた。
その後もあちこちで買い物を続け、必要と想定していた物を買い終わった4人はアビィの住む スラム と呼ばれる貧民街に向かう。
そこは奥に進む程古い建物が増え、道にはゴミが溢れ、匂いもきつくなり衛生的にも悪くなっていく場所だった。
アビィは笑顔のままだったが、仲良くなり手を繋ぐダイアナは笑顔が消えていた。
劣悪な環境を実際に体感して、本当の意味で理解をしたのだろう。
ここに住むしか生きていけないとは言え、今手を繋ぐ幼いこの子達が住んでいるのだと、これからも生活していくのだと。
更に進むともう、家や建物とは呼べない作りになってきた。
板や布を寄せ集め、雨風を凌ぐ隙間を作った何か。
それを見てマスタも顔を歪めるのを我慢するのに苦労した。
「エリン達呼んでくるね」
アビィはスルスルと入り口らしき隙間に入って行き中で誰かと話している様で、隙間から何人かのボソボソとした話し声が聞こえた。
暫く待つとアビィを先頭に中から子供達が出てきた。
「俺ノート。アンタが仕事を頼みたいって人か?」
アビィの後ろから付いてきた3人の子供達の中では、少し背の高いリーダーらしい少年が他の子を庇う位置に出るとそう言った。
歳の頃は13歳位だろうか、痩せてボロ布を着てはいるがその目には強い意志が見えていた。
「私はエリン。アビィを助けてくれたって、ありがとう」
次に声を出したのはノートと同じ位の歳に見える女の子だった。
フードを深く被っていたので、喋るまで女の子だとは分からなかった。
それも身を守るための工夫なのだろうと、スラムで女の子が住む危うさも感じた。
「僕…ニッケ…食べ物あるって聞いたけど…」
少し後ろにいる大人しめの男の子はアビィと同じ位だろうか、10歳もいかない様に見えた。
「俺はマスタって言うんだ。よろしくな。とりあえず座って話そう」
と言って、途中で買って来た木箱を10個取り出した。
「な、何だ!」
警戒心の強い子供達だけにアビィを庇い後ろに下がって身構えていた。
「ビックリさせて悪いな、椅子代わりだ。みんなで並べよう」
そう言ってメルトとダイアナも手伝って丸くなる様に並べていく。
途中でアビィも手伝ってくれた事で、警戒心が少し下がったのを感じた。
「じゃあ、食べながら聞いてくれ。料理出しておくから」
真ん中に置いたテーブル代わりの木箱に魚の煮込み鍋、野菜の煮込み鍋、肉串や果物を出してから腰を下ろす。
ゴクリと唾を飲む子供達にアビィを通して皿やお椀、フォークにスプーンと渡し声をかけた。
「冷める前のが美味いぞ。アビィはさっき魚の煮込みは食べたから、みんなにも分けてやってくれ」
アビィがさっき食べたと言ったところで、みんなが手を伸ばし始めた。
必死になって口に掻き込む子供達が一息着くまでゆっくり待つ事に。
あらかた無くなったところで、マスタが口を開いた。




