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異世界に召喚依頼の適当言う者   作者: 超究明蝶助
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王都−33

その光景が見えた瞬間にマスタは走り出し向かっていた。

子供は蹴られた後も蹲って動こうとはしない。

何となく予想はつくが、現場にたどり着き男の方に声をかけた。

「どうしました?」

「あ?コイツが俺の財布を取って逃げやがったんだ!おい!返せ!」

「…」

子供は蹴られ殴られても諦めるつもりが無いようで、ギュッと握りしめたままだった。

それを見てマスタは男に言った。

「取り返すのは俺に任せてくれないか?損はさせないから」

「はあ、ここに来るまでで疲れたし、逃がさないならいいぜ、はあ」

と、すんなり話は決まった。

「お嬢ちゃん、この人の財布返してもらえるか?返しても得する事あるから」

と、男が驚いて覗き込みながら言った。

「おいおい、女だったのか?いや、…殴りたかった訳じゃ無いんだ。焦ってカッとなってな」

言い終わったところでメルト達が走り着いた。

「メルト、金貨と銀貨出してくれる?」

メルトも意味は分からなかったが、状況は理解したらしい。

「どうぞ」

サッと出されたのを受け取りわざわざ男に声をかけつつ

「とりあえず銀貨1枚。この場を任せてくれた分、アンタにあげるよ。で、こっちの金貨は財布を返したら交換でこの子にあげる。返さなかったら金貨もアンタにあげる。どうだい?」

この提案に男は勢い込んで

「財布はいいや。諦めるから金貨もくれないか?」

と言ってきた。

「じゃあ財布の中身は金貨より少ないんだなあ〜」

と言いつつ女の子を見ると、チラチラと金貨と財布を見比べていた。

「どうする?1回しか聞かないぞ?」

と言った途端に財布が突き出されていた。

「じゃあコレはあげるよ。怪我を治せるからまだ何処かに行かないようにね」

と言ってから男に財布を渡した。

男は金貨を恨めしげに見ていたが、

「じゃあこれで。銀貨分得したね」

と言って女の子を抱えて道を引き返すマスタに

「ああ」

と男は小さく呟き立ち尽くしていた。

少し歩きながら戻り、通りまでは出ずに少し手前で女の子を木箱の上に降ろし回復スキルを使う。

治ったのを確認すると、改めて女の子の姿を見た。

(多分生活もキツいんだろうな‥)

「少し話聞いてくれたら、コレ食べていいよ」

と鍋に入った温かい魚の煮込みを女の子の隣の木箱に置いた。

マスタはしゃがみ、フォークとスプーンを女の子に向けつつもう一方の手で鍋の蓋を取って中を見せると出来立ての温かく美味しそうな香りの湯気が立ち昇った。

「いいの?」

初めて声が聞こえてきたのだった。

「もちろん」

マスタはフォークとスプーンを渡し、話し始める。

「君の事を聞いて見たいんだけど、教えてくれる?」

「ング。何で?」

「実は働く人を探していて時間のある人がいたら、子供でも出来る仕事を頼みたいんだけど、この街に来たばかりでよく知らないんだ」

「ふ〜ん。ズズッ。私アビィ。ハムッ」

「アビィの友達や知り合いでいないかな働ける人。もしいたら連れてって紹介してって言ったら‥いいかな?」

「いいよ。私達は4人で集まってるけど、他の子もまだいるし」

「そっか。じゃあ途中で食べ物とか買い足しして行くかな。アビィはそれだけでいい?向こうでみんなと食べるなら肉串とか途中で買っていくけど」

「ん〜じゃあ向こうでみんなと一緒に食べる」

「よし。じゃあ残りはこの魔法の袋に入れて持っていこう」

「あれ?どこいった?」

「魔法の袋に入れたんだよ。出した時もそうだけど」

「そっか」

(素直な良い子じゃねえか。今の俺なら出来ることがある)

「じゃあ、行こうか」

マスタは立ち上がりアビィに笑いかけた。


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