王都−31
「今日は俺の装備一式を頼みに来たんだけど、その相談も兼ねて」
「何を使うんだ?体格的に短剣やショートソード辺りが良さそうだが」
「ああ、防具は軽装がいいだろ」
「アクセサリーは着けてない様だし、適性属性の効果付きでマシになるな」
立て続けに話されて返答に躊躇するマスタを見てメルトが苦笑し
「先ずは1つずつ決めていきましょう。武器から。マスタ様は何か希望はありますか?」
と話を纏め、進めてくれた。
「そうだね、希望はある。細身で片刄、ショートソード位の長さで先の方に少し反りが欲しいかな」
「「「………」」」
ドワーフ3人は目を瞑り腕を組んだまま思考の世界に。
「具体的ですが、用途や使い方の想像がつきません。なにか…あ、紙と書くものお借りしますね。…これに書いて説明されては?」
メルトがカウンターから紙とインク壺を持って来てくれたので、そこにマスタが持っている知識のあるだけ日本刀の作りを事細かに書き込んでいく。
夢中になって書いているマスタは見ていなかったが、いつの間にか目を見開くドワーフ3人の顔が直ぐ近くにあった。
「こんな工程が…」
「…しかし見た事もない…」
「この知識…技術…どこの…」
そこで気が付きマスタが顔を上げた。
「マスタ様…それはその…よろしいのですか?」
「ああ。俺のことは言わないでくれれば、今後の鍛治の刺激になればいいと思うよ」
メルトが注意というより確認してくれた。
マスタはドドル達の方に向き直り自分の事をかいつまんで説明した。
「…というわけで、この世界の文化文明の停滞も俺の裁量である程度刺激をしていこうと思ってるんだ。だからこの向こうの知識の一端を預けるが、誰でも良いわけじゃない。厳重に保管しておいて欲しい」
「そういう事だったのか…」
「ああ。そうだな、厳重に保管しよう」
「噂は本当だったのか。なるほどな…」
3人は驚きはしていたものの、納得したという感じの方が強い態度だった。
「納得はしたが、今のこの世界じゃあ出来ない事や説明して貰いたい事も沢山ある。例えばこの焼刃土の配合の程度が…」
この後もかなり話し込み、最終的に作ってみない事には分からないとなり、出来上がりに関しては4日後に1度見に来ることになった。
防具に関しては革製の部分的な軽装備に薄い金属を組み合わせたものにして、機能を付与し補強する案で纏った。
「この属性魔石を順に持って、魔力を少しだけ込めてみてくれ。それで適性や相性が分かれば付与に活かせるからな」
ケイトラが皮袋を取り出してマスタに渡しながら言った。
受け取った皮袋を探ると、何個かの石が入っているのが分かり一掴みで全てを握り袋から出した。
「魔力はまだ操った事ないから、少し待ってくれ」
手の中の魔石をテーブルに置き、マスタは能力確認を意識し文字へと視線を落とす。
戦闘経験か模擬戦経験からなのか、レベルが上がり獲得できるスキル枠の増加を認識してから、強い想いを込めた結果、魔力操作スキルを獲得した。
途端に周囲の魔力、自分の魔力、魔石からの魔力を感じるようになった。
自分以外は薄ぼんやりとしか分からなかったが、胸の辺りから全身を巡る魔力の流れがはっきりと理解できた。
それはまるで元々あった魔力を感じることができる様になったというよりも、今この時発生した魔力の流れのように感じた。
マスタは意識して人差し指に魔力を集めてみようと、魔力を操り確かめてみる。
ただ集めただけの魔力は何も起こさず、指先に留まり圧縮された様に白く輝くも魔力操作を止めると何も発生させず身体の流れに戻っていく。
(これならいけるかな)
それを確認して、ゆっくりとテーブルに置かれた魔石へと手を伸ばすマスタだった。




