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異世界に召喚依頼の適当言う者   作者: 超究明蝶助
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王都−29

「変わった話では旅の護衛の人がさっきの肉を食べる機会に恵まれて、わざわざこの街で盾を新調して使っていた物を置いていった事もありますね」

「それだけ美味しさに感動したんですね、きっと」

(俺もダイアナに1票かな)

「その人、護衛の仕事が決まって出掛ける直前に、奥さんの妊娠が判ったらしくて。その話を聞いた2人が出してあげたのよ。その気持ちが嬉しかったらしいの。勿論、味に感動した事もあるのだろうけど」

(もっと良い話でした)

「なんだい?盛り上がってるね。次はこれだよ」

トーミが次に持って来たのは、具無しのピザのような物だった。

四角いそれは切れ目が入っていて、そこから少し中が見えた。

切れ目から1人分ずつ取り分けてみれば、トロトロのチーズに肉とトマトの様な物がちらりと顔を出した。

「これも絶対美味いな!」

「「ですね!」」

食べてみればチーズグラタン&ベーコン&トマトの様な味で勿論絶品だった。

その後もキノコと野菜のスープや平たい麺に挽肉の餡かけの様な料理が出て来たが、どれもこれも美味しく、食べる速度が落ちる事もなく3人のお腹に消えて行った。

お酒は断り、食後のお茶を3人で飲み胃を休めていると、手の空いたコングが顔を出した。

「腹いっぱいになったかい?」

「どれもこれもとても美味しかったです」

(ダイアナは終始笑顔全開だったしな)

「幻の限定肉の料理、よかったんですか?出してもらっても」

「ああ、先月食ったしな。また仕入れたらいつでも食える」

「メルトさんから店名の由来や、なかなか食べられない肉だと聞いたもので」

「あ〜そういう事か。気にするこたねえよ、メルちゃんは手の空いた時期は手伝いで働いてくれていた事もあったし、身内みたいなもんだ」

「それでね、コングさん。実は、知らせておいた方がいいと思う事があって」

「ん?なんだい?改まって」

「昨日ちょっと騒ぎがあって、ダーマス子爵の弟のデッツ様と護衛の男を取り押さえたんですけど、護衛の名前がドイルって呼ばれていたんです」

「…その護衛は顔の左側に傷あったかい?」

「はい」

「そうか…何やってんだか…」

コングが視線を落とし、雰囲気が暗くなりそうだったのでマスタがメルトに聞いた。

「あの護衛の知り合いだったのか?」

「名前は聞いた事あったんですが、後になって思い当たって。でも確信も無かったもので」

メルトも沈んだ表情になり、心配になったダイアナが

「でも、マスタさんが一発で取り押さえちゃったから、もう大丈夫ですよ」

と、慰めるつもりで言ったのだが

「あ、兄が一発で?マスタってあんたかい?」

「ええ。まあ」

(お兄さんか〜気まずいな…)

「素行さえ良けりゃAランクになれる実力は持ってるはずなんだが…」

「おれの手の内は教えられないが、相性もあるだろうしね。…最近は会ったりしたのかい?」

「もう何年も合ってないな。…そうか」

「もう少ししたら会話も出来るかもしれないし、その時は教えるよ」

「ありがとう」

それからはカウンターの奥の壁にある盾は、トーミが現役から使っているものだと知って盛り上がったり、言い寄られたり、酔って絡んできた客達をメルトが張り倒してから恐れられている事などを聞き店を出た。

「またおいで!」

「近いうちに必ず」

「ご馳走様でした〜」

「トー姉、コングさんまた来ます」

見送りに出て来てくれた2人と挨拶を交わし、通りに向かい歩き出す3人。

その間にも次々とお客が店に入っていくのが見えた。

(美味しい料理に気持ちのいい人柄。本当にまた来よう)


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