王都−23
てっきり子爵が弟の事で何か文句でも言いに来たものと思っていたマスタは訝しんだ。
メルトに紹介された2人は綺麗なお辞儀をした。
(カーテシーだっけ何だっけ?出てこないや。まあ、うん。)
王妃のミルティアと王女のテイシーさんだそうで、何でも聞きたいことがあるのだとか。
「マスタですよろしく。先ずはお座り下さい」
「ありがとうございます」
王妃と王女がソファに腰掛けるとメルトはソファの後ろに立ち、ダイアナはお茶の準備を始めた。
(なんか無言の圧が強いな、この人は)
「それで聞きたい事というのはどの様な事でしょうか?」
「先程陛下と共に今日あった事を聞いていたのですが、どうもメルトの様子がいつもと違うので会話の終わりに聞いたところ、使者様から魔法で作った下着を下賜されたと伺いまして」
(そっちね。デッツ関係無いね)
王妃様の圧の強い視線を受け流しつつマスタが答えた。
「今日行った店から今後似た物が作られて、販売されるでしょう」
「それはもう製造販売の目処が出来ているのでしょうか?」
「さあ。私にはそれは何とも言えませんが…」
面倒そうなのではぐらかそうかとマスタが答えていると‥
「私も試着の役をやりますので、同じ物を貰えませんか?」
(王女様はド直球でくるね。清々しいけど)
「彼女達は今日のお店の案内と、困っている女性のお客さんの為に協力して、その対価として譲ったに過ぎません。それを見聞きしただけの方々が嫉妬、羨望の私利私欲で自分にも無償で下賜しろと強請りに来られても困りますね。私はそれをタダで配る仕事をしている訳ではありませんから」
「「………」」
(ここまで言って反論も出来ないのに、一向に諦める気配がないな〜どうしたもんか。‥しょうがないな)
「とは言え…」
「「!?」」
「試着して店に感想や意見の交換をするのが2人だけでは少ないというのもあります」
「「!!?」」
「なので、後2人ほど試着役を募集しましょう」
「はい!はい!私が立候補します」
「私も是非、協力させて戴きます」
結局メルトにある程度の数を渡して、他の部屋で選んでもらう事にしたのだが、前から困っている人が身近にいるという話をされ、最終的にもう1人分追加する事になるのだった。
(決して金髪碧眼のダイナマイトバディな2人にやり込められた訳じゃないぞ)
自分自身に言い聞かせるマスタ。
試着を済ませた2人は上機嫌で去って行った。大量の金貨を押し付けて。
(買い物前に貰ったのも全然使って無いし、特に要らないんだけどな)
メルトに預けた物と別で無限倉庫に入れておく事にして、2人から話を聞くとそれぞれ普段から世話になっているので断れなかったという事らしい。
この日はそれ以降何も無く、夕食を食べこっそりお風呂用品を堪能して眠りについた。
次の日起きて軽く汗を流してからソファでくつろぎ、ノックの音がしたので「どうぞ」と言って扉を開けると、朝食のワゴンと共にメルトとダイアナが入って来た。
「おはよう」
「おはようございます」
「…スンスン」
「?」
「なんか良い匂い〜」
「!!そ、そうか?料理の匂いの方が気になるなあ。今日は何だ?お、パンにサラダに野菜スープにキノコの炒め物か美味そう。早速たべるか!」
「「……」」
「どうした?冷めるぞ?先に食べるからな。いただきます」
「その髪…」
「肌も何だか…」
「うん美味い。今日はデッツの事で何か進展するかな?」
「昨日何かされましたよね?何をされたんですか?」
「ムグモグ、え?別に何も?ムグモグ」
「あの、いつもムグモグなんて言いながら食べませんよね?」
(くそう。やけに突っ込むな)
「そう?ング。まあ腹減ってたからね」
目線を合わして会話をしないマスタに何かを確信したメルト。
「…そうですか。ちょっと王妃様に用事を思い出しましたので、失礼し『分かったから、ちょっと待て。食事が終わったら話そう』」
「やっぱり!」
「分かりました。急いで食べましょう」
(そんな事がありましたとさ!は〜…)




