王都−18
「別に良いですよ、簡単に真似できますし。それについてのお願いなんですが、洗っても縮まない素材と中で滑らない加工を頼みます」
「なるほどな、言いたい事は分かった。その辺は任せとけ。俺達の仕事の領分だ、…後は…薄くて軽い素材の方が良さそうだしな」
答えながらも視線は上を向き、既に作るための算段に入りつつある様だ。
「さすがですね」
「よし。今回の注文は耐久性の靴と耐水性の靴の2足。普段用と雨の日用だな、中敷きは3組と嬢ちゃん達のもタダで付けてやるし拡張ポーチも付ける。その代わり今後うちの店の商品に中敷きを使う許可が欲しいんだが、どうだい?」
「是非それで」
「「やったあ」」
(メルトさんまで…ちょっと可愛い)
「出来上がりは5日は欲しいな。届ける手間代は要らねえ」
「それじゃあメルトさんか、ダイアナさんまでお願いします」
「おう。承った」
「それじゃあ、また」
3人は足取りも軽く店を出て馬車に乗り込んだ。
次の店に向かう前に昼食を食べる事にしたマスタ達はメルトおすすめの店に来ていた。
外観は街並みに合わせてやはり似通っていて、それが逆に扉を潜るとガラリと雰囲気が変わったりして面白かった。
店の1階は乳白色の壁の大部屋でテーブルと椅子が並んでいたが、2階は白い壁の個室になっていて家具が少し良い物になっているように感じるし、全体に小綺麗な清潔感のある店だった。
「この店の人気料理は煮込み料理ですね。肉、魚、野菜のどれもしっかり煮込まれているのでおすすめです。それと出てくるのも早く待たされにくいんですよ」
結局メルトにお任せしてそれぞれ肉、魚、野菜を一品ずつ頼み小皿に取り分けそれぞれ楽しんだ。
御者の男はどうしたのかと思っていたが、1階で食べていて料金はこちらが払う事になっているそうだ。
料理を食べ終えて、皿を引き上げるついでにお茶を持ってきた店員にマスタが声をかけた。
「先程食べた煮込み料理か、もしくはスープなどで持ち帰れる料理を器ごと売ってもらえる物がないか聞いて欲しいんですが、可能ですか?」
「畏まりました。確認してまいります」
店員さんは戸惑う素振りも見せず答え、確認に戻って行った。
(無茶振りに見えて、よくある事なのかもな)
「余程気に入られた様で何よりです」
メルトが嬉しそうに言った。
「私もここの料理は気に入りました」
ダイアナも堪能した様だ。
「うん。野菜は上手く歯触りが残っていて、肉や魚は解けるようにトロトロで美味かった。だけど持ち帰りには別の理由もあってね。今度教えるよ」
「「??」」
不思議そうな顔をする2人。…と、確認に行った店員が戻って来た。
「蓋つき鍋ですと、2人前の物が2つならご用意出来るそうです。中身は野菜か魚なら可能だそうです」
「じゃあ、野菜と魚の2人前の物を1つずつお願いします」
「承りました」
そうして持ち帰り料理の準備を待ち、受け取って店を出ると御者の男は既に馬車で待っていた。
(せっかくの美味い店だし、ゆっくり食べられたならいいけど)
馬車に乗り込んでから、持ち帰りの料理を2人から受け取り無限倉庫に入れると、メルトに発車の合図を伝えてもらい次の店に向かう。
しかし…この後予想の出来ない展開がマスタを待ち受けていた…。




