王都−16
「おいおい無茶するなあ。魔石掻き集めて無理矢理魔力込めて壊れたらどうするつもりだったんだ。…成功したようだから良かったものの。博打をしていいものじゃあないだろう。」
怒ると言うより呆れている様子のハウキンズ。
「この方は私と同じで先王の時から知っていますが、事情を話しても大丈夫かと。こう見えて爵位も持っていらっしゃいますし」
「名誉男爵なんか大した事もありゃせんわ。ドワーフ仲間を護るのに良いって言われて渋々受け取っただけだしな」
「爵位持ちのドワーフが居れば心強い人もいるでしょうね」
マスタは素直な感想を言ったが
「どうだかの〜…それで?」
とあっさり返された。
「今回の召喚は見兼ねたらしく、最上位の存在に頼まれて俺が来たんですよ。そいつらは叱りつけておきましたけどね」
「ブワッハハハハハッ!叱りつけたのか。そりゃいい!ククククク」
笑うハウキンズを他所にメルトが聞いてきた。
「最上位のお方の話は聞いていませんでした。創造神様とはお会いになって話されたのですか?」
「っ!そうなのか?」
それを聞きハウキンズも乗り出し気味に聞いてくる。
「ん〜表現は難しいけど圧倒的な存在感の意思と心とか精神が一部繋がって、口に出さなくても思った事で会話が成立する感じかな。なんとなく暖かい光が体を覆う様な感覚だったけど」
「ほう…」
「多分あの場所に長く居るのは良くないから、ほんの少しだけこの世界の説明記憶というか、そんな感じのものを俺の中に入れて送り出したんじゃないかな」
「はあ〜…」
「それも残った記憶みたいなのからの、推測でしかないけどね」
「ふへえ〜…」
見回すと3人共に遠くを見ていた。口を開けたまま。
そんな事もあったが気を取り直し、靴の話に戻った。
「この靴に関しては見てもらっても構わない。分解は無しで。ただ、この世界にはない素材で出来ている部分もあるからそれは代用品で考え出してくれ。後…履いて帰るものがないと困るし」
「いやいや。分解出来ずとも使える技術はある。ぐふふふふふ」
(やっぱり分解する気だったな!危なかった)
「まあ、程々で頼みますよ?」
「おう。とりあえず店にあるのを1つやるから履いて店の品でも見ててくれ」
「いいのか?」
「タダで情報貰っちゃこっちが貸し作る事になるしな」
「じゃあ遠慮なく」
店内に戻り展示品からいくつか試し、浅めのブーツを貰う事にして、他の展示品も見て回る事に。
「本当に作りも細工も良い物ばかりだな」
マスタは自分が履いているブーツの履き心地を確かめながら、展示品を見て言った。
「私の靴もポーチもこの店の物ですよ」
メルトが腰に着けたポーチを触って言うと
「私の靴もこの店の物ですね」
ダイアナも靴を少し前に出して見せてくれた。
「やっぱり良いね。これは楽しみだな〜。…ん〜。もしかしてその腰のポーチ見た目より内側かなり広くなっていたりする?」
メルトの腰のポーチは黒地に銀の留め具の付いた、シンプルだけど品のある意匠で、ふいにさっきの光景を思い出した。
「その通りです。値段も高くなりますが、魔法陣と魔石で機能を付与してあります。何処でお気付きになられましたか?」
「馬車の中で袋を出していた時の事を思い出してね」
「成る程。あの袋ほどではありませんけれども」
ダイアナがその話を聞きポーチを覗き込んでいたが、メルトに頭を押されて渋々離れていた。
(あの袋の方が凄かったのか。全然気にしていなかったな)
「外ではあまり知られると狙われるので気を付けて下さい。高価なので」
メルトが注意を促してくれたが、マスタは他の事が気に掛かっていた。
「ありがとう、気をつけるよ。それで?能力は?どれくらいするの?」
「私もそれ聞きたいです」
ダイアナも乗っかってきた。
メルトは他の客が近くにいない事を確認すると、小声になり
「容量拡張と重量軽減が付いて、金貨20枚程です」
ダイアナは口を押さえてびっくりしていたが、マスタは物価がまだ良くわからないので、そのくらいなのかとしか思わなかった。
なので
「俺の靴にも付けられるかな?いろいろと」




