王都−15
初めにたどり着いた服飾店の店主に案内され店に入ったマスタ達は、作り置きの服がある事を聞きその中から上下2着ほど2人に選んでもらい、採寸して調整をお願いした。
作業が終わったら届けてくれるそうなので、任せてしまい店を後にした。
(普段着なのに2人にあそこまで言われるとは…センス無いのかな?俺)
「2人共良かったの?今日の案内のお礼なんだし服頼んでも良かったのに」
「いえ。あそこでいいと言ったのは、男性向けの服飾店だったので」
「ああ。そういう事ね、じゃあ後で良さそうな所寄って行こうか」
「「ぜひ」」
「…つ、次は靴屋か。どんな店だろうな」
「靴の専門店ではなく、革を加工して希望の品を作ってくれる店ですね」
「メルトさんはよく行くんですか?」
「靴やバッグ、ポーチも手に馴染む感じが気に入っていますよ」
「へ〜それは楽しみだな」
と会話もそこそこにそれ程かからずその革の加工店に到着した。
外観は周りの建物と調和していて主張していないが、扉は取っ手の握りから上の部分が革貼りで出来ている凝った造りだった。
馬車から降り扉を眺めるマスタにメルトが追加情報を教えてくれた。
「店主は豪快な性格ですが、センスも良く仕事も細かくキッチリなので信用できると思いますよ」
そんなメルトの声に応える声が聞こえ、全員ギクリとして声の方を見た。
「嬉しいこと言ってくれるのう!…ああ。驚かせちまったかすまねえな。しかしメルトの嬢ちゃんにそこまで煽てられるとは思わなかったぜ。ガハハハハハ」
「嬢ちゃんはやめて下さい。ハウキンズさん」
「ド、ドワーフ!」
異世界の第一ドワーフとの遭遇にマスタはつい叫んでいた。
「お、おう。なんだい?兄ちゃん。ドワーフ初めて見ましたみてーな顔して。…ひょっとして当たりか?いやあ俺で良かったな!ガハハハハハ」
「ハウキンズさんはまだ常識的ですからね。結構激しい性格のドワーフも多いですから。」
ダイアナも同意見のようで、自画自賛でも無いらしい。
「会ったのは初めてだけど、それはそれで想像通りかな。早速だけど俺の靴を造って欲しいんですよ、2つ」
「おお。毎度。…!!兄ちゃん、兄ちゃん!そ、その靴は何処で手に入れたんだ?どうやって、誰が造ったんだ?ちょ、ちょっと見せてくれ。」
「ハウキンズさん、落ち着いて下さい。ちょっと事情のある方なので、奥で話せますか?」
「む?…嬢ちゃん…もしかして兄ちゃんが噂の…」
皆まで言わせず、切長の目で奥に案内しろと告げるメルトに、それ以上何も言わずに店の奥に案内し始めるハウキンズ。
(色白、銀髪、切長の目に泣きぼくろと見惚れそうな美人だしジロジロ見ないように意識しないようにしてるんだけど、時々冷やっとする時あるんだよなメルトさんは)
店の中を通り過ぎ奥の応接室のような部屋に通された。
そこに着くまでにも店員ドワーフや職人ドワーフに靴を見られ騒ぎになりかけたが、ハウキンズが両手でアピールし、メルトの顔を見て諦めて下がってくれた。
お茶の用意は自分がやると言ってくれたダイアナに任せて3人でソファに腰掛けた。
「それで…噂は本当だったってことか?」
真面目な顔になったハウキンズはマスタを見てからメルトに聞いた。
「ええ。噂というのが英雄召喚の話なら本当ですよ」




