家選び&後悔
リーン は楓の腕を離し家の見学に集中している。
家は綺麗かどうか、部屋の広さはいいか、ギルドとの距離はどうか、この三つをよく考えて選んでいる。
「ここにします。」
リーンがそう言葉を発した瞬間楓の表情が一気に明るくなった。
それもそのはずこの家に決めるまでリーンは三件家を周り悩んでいた。
その際に常に楓の側を離れず楓は罪悪感でどうにかなりそうな程だった。
「よかった・・・。値段は幾らですか?」
「聖金貨千枚です。」
楓は自分の耳を疑った。
聖金貨一枚は日本円でいう百万円だ。
ということはそれが千枚いるということは・・・十億円という事を意味する。
貴族街の家は値段は凄いが、この家はまだ小さな方だからそんなに高いと思っていなかった楓はその答えを理解できなのでいる。
「え?ちょっとよく聞こえなかったんでもう一度言ってもらえますか?」
笑顔は楓は聞く。
その目には覚悟がみえる。
「聖金貨千枚です。」
「そうですか・・・。」
楓は膝から崩れ落ちる。
実は巨獣の群れを追い払った時に同じ金額をもらっている。
貰っというか家の地下倉庫に勝手に置いてあったというのが事実だ。
その上に王様の書き置きで報酬とだけ書いてあった。
返すわけにもいかずそのまま楓の家の地下に眠っている。
「はあ、僕の功績が全てこの家に消えますよ・・・ははは。」
「楓さんありがとうございます。」
笑顔で楓にリーンは礼をいう。
「畜生!わかりましたよ、払えばいいんでしょ払えば!」
「そうこなくっちゃ。」
主人は満面の笑みを浮かべて楓の答えに満足する。
はぁと重たい息を吐き楓は街でリーンを見かけた事を後悔する。
「じゃあ帰って色々手続きをしましょうか。」
主人は興奮気味にそう答える。
リーンは首肯し主人が家を出るように歩きだすと、それにスキップでついて行く。
もう一度楓は重たい息を吐く。
「ちゃちゃっと終わらせましょう。」
楓はその言葉を発し主人とリーンに並んで歩き出す。
不動産屋に戻る際にリーンが出店に興味をもち楓にあれを買えこれを買えと言ったので楓の手持ちのお金もそこをつきそうになった。
そんなこんなで楓のいろんな物に傷を付けたリーンと傷を付けられた楓、それを楽しそうに見ていた主人が不動産屋に戻った。
「もうリーンさんにはお金はださない!」
「えーそんなこと言わないでくださいよ、私と楓さんの仲じゃありませんかー。」
「もうリーンさん嫌いだ!」
楓が叫ぶのに対してリーンは悪魔の様な笑みを浮かべ楓をからかう。
また主人はそれを楽しそうに見て止めはしない。
「もういいや、とりあえず手続きしましょう。」
「はい!」
楓が話を切り出し主人が目を輝かせそれにこたえる。
主人は自分の椅子にどかっと座り楓とリーンも家を見る前に座っていた場所に座る。
「手続きと言ってもこの書類に書いてある事に同意してもらい、家のお金を払って貰うだけなんですけどね。」
主人は簡単に言うが、楓からすると難しい。
何故ならば日本にいれば楓の年の子が家を買うはずがない。
書類の中身を全てじっくりと三回ほど読みその内容に同意した。
名前を書きその隣に楓が針で指を刺し血を人差し指に付けて印をおしたものがある。
それを主人に渡すと主人は満足そうな顔をし何かよく分からない機会にそれを入れた。
「これで手続きは終わりです。後はお金だけですね。」
「わかりました、ちょっと待っててください。」
楓はそう言うと立ち上がり魔力を練る。
楓は身体に痛みが走るが、それが悟られないように振る舞う。
「《テレポート》」
テレポートした先は楓の家の地下倉庫。
聖金貨が沢山保存されている場所だ。
「これが全部消えるのか。」
楓はがくりと残念そうに肩を落とす。
聖金貨の山に右手を伸ばす。
その右手に付けているブレスレットに魔力を少し流しストレージボックスを開いた。
聖金貨の山が一瞬にして消える。
「はあ帰りたくないな《テレポート》」
いきなり消えそしてすぐに現れた楓に主人は少し驚くが今は商売をしているのでまた気を引き締める。
「お金持ってきましたが、どうすれば良いでしょうか?」
「自分のストレージボックスに入れるのでこの上に出現させてください。」
主人は自分が開いたストレージボックスを指さす。
楓はその上にストレージボックスを下向きに開き聖金貨の山をだす。
それを下のストレージボックスがキャッチする。
魔法陣から魔法陣に聖金貨の山が移動するという面白い光景を目にしリーンは拍手をする。
「お、丁度ですね。」
「今のでわかるんですか?」
「はい。自分の魔力の消費量でだいたいわかるんで。」
プロになるとこのようなことも出来るのかと楓は関心する。
「これとこれをお持ちください。」
主人は書類と鍵をリーンに渡した。
リーンはそれらを受け取りぺこりとお辞儀する。
「これであの家は貴方のものです。自由にお使い下さい。」
「はい!」
リーンは勢いよく嬉しそうに返事をする。
その一方楓は後悔の様な表情を浮かべため息をつく。
「じゃあ僕はこれで。」
「え、楓さん送っていってくださいよ。」
「本当に図々しい人だな!リーンさんは!」
楓はそう叫びリーンの手をとる。
「《テレポート》」
そしてリーンを送った後、自分のベッドに倒れ込んだ。
自分みたいな凡人からしたら十億円なんてきっと縁がないでしょう。
使ってみたいですよね。
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本当になんでもいいんですよ?




