不動産屋&心を揺らす者
「場所はギルド近く、一軒家でそこまで広くなくてもよい、風呂とトイレは別でいいですか?」
「はい、一人で住むのでその条件でお願いします。」
不動産屋の主人は聞いた条件を紙にカリカリと書きそれを変わった形の機会的な物に入れた。
「それは?」
特別な何かを感じた楓はその機械的な物の正体を聞いた。
「これは設定した物を検索する魔道具です。」
「実はギルドにもあるんですよ。」
主人の答えにリーンは少し付け足し楓の興味を引いた。
楓は目に魔力を集中させ魔力視ができるようにしてその正体を確かめた。
それはよく一般的に使われている魔力のオーラを発しその上に少し違うオーラが被っている。
「あ、わかった。これあれか、ストレージボックスの中に資料とかを入れて、それを別の何かで探し出して上に出してんのか。」
「正解でーす。」
楓がだした答えにリーンは驚きなく肯定した。
それは楓がどれ程の力を持っているか知っているリーンだからこそのこと。
だから主人は眉を少し上げ驚いている。
「でも、ストレージボックスって魔力を必要としなかったっけ?」
「一般的なものはそうなんですけど、これは大気中の魔素を取り入れてストレージボックスを発動させるんですよ。」
「そんな便利なものがあるんだ。」
「でも、これ高いですよ?」
「どれくらいですか?」
「聖金貨百枚程です。」
「たっか!」
聖金貨一枚が日本円でいうところの百万円。
それが百枚ということは一億ということになる。
その大きな金額に対して楓は驚きを隠せないでいる。
一個の魔道具買うために一億は普通は出せない。
「えぐいな、流石貴族街の不動産屋・・・。」
土地を持っている者は基本お金持ちだ。
それは日本でも変わらない。
そしてその持っている土地が貴族が住む場所だと尚更だ。
「まあ、一家に一台くらいはありますかね。」
「そうなんですか。みんな凄いな。」
小声で言った楓の声は他の誰にも聞こえない。
そんな楓は気にせずリーンと主人で話が進んだ。
主人はこの後時間があるということでリーンは家を見に行くことになった。
勿論楓もついて行く。
それはこんな会話があったからだ。
〜回想〜
「じゃあ僕はこれで。家が決まったら教えてください。また来ますんで。」
「え、楓さん来てくれないんですか?私はてっきり付いてきてもらえるものかと思ってましたが。」
「後はリーンさんが決めればいいのではないですか?」
楓はリーンの考えていることがイマイチ理解出来ていない。
それもそのはずだ、ただ街を案内するのに楓はついてきただけ。
だからもう楓の仕事はとっくに終わっているのだ。
その意味がない会話をして楓はひとつ有力な考えを思いついた。
「リーンさん、絶対何か企んでいるでしょ?」
「そそそそんなことはありませんよ・・・。」
楓の問いに対してリーンはとても怪しく応える。
そして楓の考えは予想から確定へと変わる。
「じゃあ尚更ダメです。」
「えー少しくらい付いてきて貰ってもいいじゃないですか。」
頬を膨らまし拗ねているような寂しいような怒っているような色々な感情を込めた顔をするリーン。
楓は苦笑しでも考えは変えない。
「ダメなものはダメです。」
「楓さんのケチ!」
そう言いながらもリーンは頬を膨らまして上目遣いで楓の瞳を見つめる。
そのまだ少し幼さが残った可愛い少女の顔をみて楓の心が揺らぐ。
「わかりましたよついて行きますよ。」
「よっしゃぁぁぁ!」
楓の返答が変わりリーンは思わずガッツポーズをし喜ぶ。
その二人の姿を会話の外で見ている主人は苦笑する。
楓はこの許し方に対して心の中で何度も何度ある事を否定している。
「僕は浮気なんてしていない。僕は浮気なんてしていない。ただリーンさんの押しに負けただけ。リーンさんの押しに負けただけ。ただそれだけだ!」
楓は自分に言い聞かせるようにそう何度も繰り返す。
そしてその楓の罪悪感のもととなったリーンは最後の楓の叫びだけが聞こえ何を言っているのか分からないと小首を傾げ楓を見る。
視線に気づいた楓とリーンの目が合う。
すぐに楓は目を逸らし走るようにして部屋をでた。
「よっしゃぁ行くぞぉぉ!」
楓は一度考えてしまったことを忘れるように自分に言い聞かせるようにして叫んで走って行った。
そして不動産屋がある家周辺を一周し戻ってくる。
そこには準備ができた主人とリーンが待っている。
「行きましょう!」
ゼェゼェと息をきらしながら楓は叫ぶ。
それもまた考えを消し飛ばすように。
「行きましょっ。」
楓の考えに気づいたリーンが小悪魔のような顔をして楓の腕に抱きついた。
それに驚愕の表情を浮かべ楓は声にならない声をだして叫ぶ。
「この人悪魔だぁぁぁ!」
楓がそう叫ぶ。
これは楓の心を揺らす出来事の序盤。
そしてこれからスタートする。
楓の地獄のような天国のような時間が。
楓君は浮気者ですねぇ。
筆者は常々思っております。
自分が書いてる小説なんですけどね。
この小説が面白いと思ったその方!
是非ブックマーク登録、評価していってくださいね!
感想もお待ちしております!
何でもいいですよー。




