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僕は異人です  作者: シノユウ
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強敵

男は楓に近づいてきた。


「やあ、誰だがわからない少年君とその姿は衛兵だね。せっかく来てくれたけどもう死んでくれるかな♪」


男は楓の腹を殴る。

咄嗟に腹に力をいれ気絶を免れた。

しかしダメージは大きい。

少なからず少しの間は本気で動けないだろうと楓は思う。

それほど今の一撃は重かった。

地面を蹴り後ろにジャンプし男と距離をとる。


「そこの女の子、こいつらを片付けたらいい事しようか。」


男はニヤリと笑う。


「いい事?いい事ってなんだ!」


男の言葉に怒りを抱きそう怒鳴る。

男はまたニヤリと笑う。


「いい事はいい事だよ。」



答えになっていない答えを返す。

質問をした楓はその答えにより更に怒りを爆発させる。


「てめぇがフウに指一本でも触れたらてめぇを殺す。」


普通絶対に言わないことを口にする。

普通怒らないせいか怒りの強さが尋常じゃない。

まるで今まで噴火していなかった火山が数千年ぶりに噴火したかのように。


「《ファイヤースピア》」


低い声で唱える。

一瞬で魔力を高めたせいで身体が悲鳴をあげる。

しかし今の楓には関係ない。

炎の槍は一瞬で男へ飛んで行く。

そしてぶつかった時にそれは消滅した。

初めての事に驚きを隠せない。

また男はニヤリと笑う。


「言い忘れていましたが自分には魔法はききませんね!」


男は今度はこっちの攻撃と言わんばかりに笑いながら飛びかかってくる。

楓は静止したまま動かない。

そして男が楓のもとに辿りついた。

その瞬間を狙って楓は身体全身を使って頭突きを食らわせた。

両者ともに額から血が吹き出す。

そのまま連続で何度も頭突きをする。

両者とも額の傷が広がり顔が血で赤く染まる。


「ぐわぁぁぁぁ!」


その時突然楓が頭を押さえ叫んだ。

そして楓の毛先から髪が徐々に白くなっていく。

そして瞳が赤に染まった。

狂気を満ちた顔で楓が笑う。


「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇ!」


突然叫び頭突きをしたせいで倒れた男の髪を掴み無理矢理立ち上がらせる。

そして空いていたもう片方の手を相手の顔の前までだし、指を二本構える。

そのまま指を真っ直ぐに進ませゆっくりと男の目の潰していく。


「があぁぁぁ」


痛みに耐えきれず男が気絶した。

しかしそれを豹変した楓が許さない。

目に刺していた指を抜き拳を作る。

そしてそのまま男の腕を殴る。

ボキっと音がした。

骨が折れた。

そして痛みで気絶していたのを無理矢理起こされる。


「があぁぁぁ」


腕を押さえまた叫ぶ。

笑っていた楓はその顔から狂気が消え手の力が抜けドサっと倒れた。

楓が手の力を抜いたことで男も地面に倒れる。

倒れた楓は髪が元の黒へと戻っていく。

そして完全に髪が黒へと戻った所で楓が起き上がった。

右手を見つめ開いたり握ったりを繰り返す。

視線を手から地面に向けた。

そこには自分の血で作った水たまりに顔を埋めて気絶している男がいる。

男を持ち上げようと屈み持ちあげた時に頭に酷い頭痛が走った。

ズキズキとこれまでに経験した事のないような痛みが走る。

歯を食いしばりその痛みを堪え男を担ぐ。

左をみるとそこには地面に横たわっている衛兵がいた。

口から少量の血をはき倒れている。

どうやら楓が腹を殴られるよりも前に攻撃されて気絶しているようだった。

楓は担いでいる男を適当な椅子に座らせる。


「《ダイヤモンドチェーン》」


頭痛を堪えながら唱える。

椅子に男を固定する。

その仕事をやったあと楓はこの部屋にいるはずのもう一人の人物を探す。

その人物は直ぐに見つかった。

後ろを振り向くとその人物はいた。

フウだ。

心配そうな顔をして楓を見つめる。

楓はフウの姿を確認して落ち着く。


「フウよかった無事だったんだね。」

「はい・・・。」


消えそうな声でフウは答える。


「なにもされなかったかい?」

「楓様がかけてくれたプロテクトのおかげで傷一つありません・・・。」


フウは涙を流しながら答える。

楓はそんなフウを抱きしめる。


「ごめんね心配かけて。僕は大丈夫だよ。」


楓が優しい言葉をかけるとフウは我慢の限界だったらしくワンワンと泣き出した。

フウの背中をさする。

しばらくしてようやくフウが泣き止んだ。


「フウちょっと最後の仕事をしてくるね。」


フウを離し衛兵の元へと歩く。

衛兵のお腹に手を当てる。

目を閉じ魔力をあげる。

頭痛がする。

ズキズキと頭が痛む。

しかしそんなことは関係無しに魔力をあげ続ける。


「《ヒール》」


衛兵だけではなくさっきまで楓と戦っていた男も回復させる。

二人を回復させると同時に楓には頭痛だけでなく全身に激痛が走る。

身体から力が抜け地面に転がる。

フウは楓で近づく。


「楓様!大丈夫ですか?」


今にも泣き出しそうな声で問う。

楓はニッコリと笑いフウの乱れた髪を丁寧に直す。


「フウ、僕は死なないよ。ちょっと疲れただけ。フウにはいつも笑顔でいて欲しい。だから笑って。」

「はい・・・。」


フウは笑顔になる。

楓はそれを見てもう一度ニッコリと笑う。

そしてフウの髪を直していた手が地面にバタンと落ちる。

笑顔も徐々に消え目を閉じた。

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