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過去の目撃者 ―The Watchers of Yesterday―  作者: 柴犬ちゃすけ


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第八章 最終決戦

 シュウたちは、一ヵ月後には再び原始時代に戻ってしまうであろう、母なる地球に戻って来た。まだ離れて一日しか経っていないのだが、なぜか今は妙に懐かしい気がした。

 その時、オヤジのスマホが鳴った。秋元は別段気にする様子はなかったが、シュウとナミは慌てて両手を前に出し、Why?というポーズをとった。これは俺じゃない、あたしでもない、というポーズだったのだ。なぜならオヤジのアドレス帳には三人しか登録がなく、その三人が全員ここにいるということを知っていたからだ。

「お、誰だろう?」

 とオヤジは気にする様子もなく、平然と電話に出た。シュウはちょっと胸騒ぎがした。

「お~江部、久しぶり。うん、あ~、あそう、兵隊は?あはは、わかった、じゃあ今から戻るよ」

 オヤジは電話を終えた後、みんなにその内容を伝えた。

 それは江部がシュウたちの事務所に来ていて少し話がしたいということだった。とっても重要な話があるということみたいだが、その内容は何となく想像が付く。もちろん兵隊もおらず一人らしい。今はそんなことをしている場合ではないということだったが、それもこちらの予想通りだった。


 多少罠である気もしていたが、事務所の前の海には一隻の小型船だけが停泊しており、確かに兵隊がいる様子は感じられなかった。江部の乗ってきた船はシュウたちのGFⅢと同様、万能タイプのものだった。

 甲板に一人の男が出ていた。その人物が江部であることはシュウにもわかった。細工された過去の映像の中で見た人物と全く同じだったからだ。江部は秋元より若干背は高いが、秋元と違い体は引き締まっており、筋肉質に見えた。しかし年齢は秋元より、さらに年上っぽい感じもする。

 オヤジは江部に、電話で太平洋側へ向かうよう指示した。海で合流した二隻はそのまま海中に潜った。

 海中の事務所に入る鋼鉄の扉は、リモコンで開ける仕組みになっている。オヤジはその扉を開けた。GFⅢに続いて、江部の船も中に入って来た。シュウはオヤジ達と江部の関係を信じることにした。

 シュウは相手が地球政府だと言うことで恐れていたが、オヤジ達は全くそんな心配は不要だと、いそいそと船を降りて行った。シュウとナミは、ちょっと間を空けてその後に続いた。

 旧友三人は、笑いながら再会の挨拶をしていた。停船場からは、シュウとナミも加えて五人で事務所に上がった。

「初めまして、探偵の小林です」

 シュウは他人に自分の苗字を語ったのは、恐らくこれが初めてだろう。

「同じく探偵のナミです」

 コヤツは生涯他人に自分の苗字を語ることは、無いに違いない。それより、ナミも探偵だったのか?初耳だ。

「いやー、シュウさんにナミさん、そんなにかしこまらないでください。地球政府ではあなた方二人を知らない人はいませんよ。大島君と秋元君の同期で、同じ研究室仲間だった江部と申します」

 そう言って江部は頭を下げた。江部はオヤジとも秋元とも交流がなかったはずなのに、シュウたちのことを知っていた。地球政府から見てもシュウたち活動が相当目障りだったに違いない。

 事務所では、先ずこちらが知っていることを語らせてもらった。

「江部、秋元が本物の望遠鏡を隠していたことは知っているか?」

 オヤジの問いに江部は

「ってことは知ってしまったんだな?そうか、今まで不在だったのは、その調査か?だが今日は隠すつもりはなく、それも含めてこっちが知っていることは、全て話すから先ずは聞いてくれ」

 そう言われて黙って聞き手に回るオヤジではない。

「今年の五月八日で人類は滅ぶのか?」

「ああ、そうなんだよ。あの正体に気付いたのか?さすがだ。まあとりあえず私の話を聞いてくれ」

 しかし、そう言われても黙って聞き手に回るオヤジではない。

「あれはダークマター彗星だろう?」

 いいぞ、オヤジ。こっちのペースで話を進めてしまえ。

「その通りだ。我々も望遠鏡技術を促進し、大ちゃん達より一年早くあの存在に気付いた」

 江部はさすがにオヤジのことをよく知っているらしく、簡単に食い下がらないオヤジに、快く付き合ってくれているみたいだ。

「秋元、相変わらずお前の開発が遅すぎたんじゃないのか?」

 オヤジは秋元を見ながら、への字口にして文句を垂れていた。秋元は申し訳なさそうな顔をしていたが、江部がそれを制した。

「いや、我々は大人数で開発や調査を進めたからだよ。秋元はよく一人であそこまでやったと感心していたのだ。だがギリギリで間に合ってしまった。後は知っての通り『監禁しろ』という命令が下り、あのような結果になってしまったのだ。本当に申し訳ないと思っている」

 江部は頭を下げて秋元に謝った。

「あれって、本当は殺害命令だったんじゃないのか?」

 秋元も黙っていなかった。

「あーその通りだ。私は地球政府内でもワープ航法に関する秘密を頑なに守り通していたために、ある程度意見が通る立場にいたのだ。絶対に傷付けてはいけないという命令に変えさせてもらった。階級は大佐だが、実際にはそれ以上の権限を持っている」

 やはり江部の力によって秋元殺害は回避させられていた、ということみたいだ。

「よくワープ航法の秘密を守りきったなあ」

 オヤジは感心しながら言った。

「最初は拷問に近いような目にあったさ。だが私が死んだら、残る二人に手を出すのは容易ではないことを知っていて、手加減してくれたみたいだ」

 江部は眉間にしわを寄せながらそう言った。

「うちら二人も危険だったのか?」

 秋元は江部に尋ねた。

「いや、秋元はワープ航法に慣れていない、と言うことで助かっていた。危険なのは大ちゃんの方だった。しかし、世間的にかなり派手な活動をしていたから、いきなり行方がわからなくなったら、ばれてしまうということで、手が出せなかったんだよ」

 江部は笑いながら言ったが、あの映像で見るよりさらに老けたように思える。髪の毛はほとんど白髪で、顔のしみ、しわがかなり目立つ。しかも、目の大きさが左右で大きく異なっており、片目だけ吊り上がっていた。もう片方は小さくて丸い。こんなんだっけかな?この人の顔って。

「っで、あと一ヶ月以内に、地球政府はどんな対策をしてくれるのだ?」

 オヤジの波状攻撃は続く。

「大型移民船を一年掛けて作った。私はその船長に任命されている」

 江部のこの発言に、数秒間の沈黙が訪れた。

「逃げる気か?」

 オヤジはストレートど真ん中で勝負に出た。

「そうだ。逃げる気だ」

 なんと、そのど真ん中を弾き返された。さあ次はオヤジどう出る?

「どんな連中が逃げるんだ?」

 オヤジ、結構きつめの変化球持っているんじゃん?見直したぞ。

「地球政府の尉官以上の者及びその家族、政財界で活躍しているごくわずかな者及びその家族、その他将官に推薦された者及びその家族・・・とにかく偏見で選ばれた連中だけだ」

 シュウにとっては虫唾が走る回答だった。続けて江部は言った。

「ここからが重要なのだ。で、私からの提案なのだが、我々は四月の三十日、朝九時に地球を出発し、地球から二百三十万光年離れたM31アンドロメダ銀河の一角にワープする。あの銀河に人間が住めそうな星がいくつか発見されたからだ。そのワープ先をあらかじめ知らせておく。みんなは偶然でも装ってその付近に来てくれ。その後は私が何とかして収容してもらうよう計らう」

 江部はそう言うと紙に書かれた詳細なワープ先をオヤジに渡した。訪問の一番の目的はこれを伝えたいためだったみたいだ。

「我々は選ばれてないぞ」

 江部とは目線を合わせずにオヤジはそう言った。

「それは大丈夫だ。今でもワープ航法が出来る者は地球政府内に私一人しかない。そこにみんなが来れば『あの者達はそれが可能な特殊技術を持っているため収容する価値がある』と言ってを説得してみせる」

 江部の計らいはありがたいが、まだよくオヤジのことをわかってないみたいだ。そう言われて目尻を下げて礼を言うタイプではない。

「なるほど、そいつはありがたいな~」

 オヤジ、まじかよ。だが続けて江部の顔を見ずに言った。

「でも江部は、よくそんな話に納得したなあ?」

 お、フェイクだったのか。さすがのシュウも少しあせった。っと言ってもこいつと付き合い始めてから、あせりっ放しなんだけどな。

「二人と別れてから七年以上経つけど、結婚したんだよ。子供もいる。独身の二人にはわからないかもしれない。命を掛けて守らないといけない存在が出来たんだよ。わかってくれ」

 江部は本意ではないが、やむなく家族のために選択したということだったみたいだ。

「ほほ~、命をねぇ・・・。わかった、ひょっとしたらアンドロメダまで遊びに行くかもしれない。そん時はよろしく頼むよ」

 オヤジは、意味ありげの笑みを浮かべながら引き下がった。

「江部、いろいろと申し訳ないなあ。うちらはギリギリまで戦うつもりだけど、もしダメだったら世話になるかもしれない。よろしくな」

 秋元もオヤジと同じ考えみたいだ。

「良いんだよ、うちら仲間じゃないか」

 江部はそう言ったが、その後ちょっと変わった質問がオヤジから発せられた。

「一つ確認したいんだが、江部は一度でもその場所にワープしたことがあるのか?」

「いや?ないぞ。望遠鏡で確認した限り、地球と同じ大きさ、同じ大気を持っているであろう星があの銀河に複数存在するとわかっただけだ。何か気になるのか?」

「いや、なんでもない」

 変なオヤジ。その後みんなでナミが淹れてくれたコーヒーを飲みながら、三人の研究室時代の話で盛り上がった。

 一時間ほどして、江部は席を立った。みんなで停船場まで見送った際、最後に江部はシュウに向かって

「お邪魔しました。地球政府も、全力で対策を考えたのです。しかしどの方法でも不可能だと判断し、逃げることにしました。わかってください」

 と言い残して去って行った。


 我々四人は気を取り直して、『人類救出大作戦』の計画を考えようということになった。『秋元救出作戦』の時にはなかった『大』の文字が加わったのだ。

 作戦本部は事務所の別室である、いつもの映像室だ。

 オヤジと秋元は正確にダークマター彗星の軌道を計算していた。どこから持ち込んだのか部屋の隅には硬めのソファーが二つ置かれていた。そこで仮眠すると頭が冴えるということだったのだ。さらには「カップで飲める自動販売機を置け」とか無茶言い出したので、かろうじてコーヒーが好みの味に調整できるものを購入して、そこに置いた。二人は長年染み付いた研究者魂に火が点いたみたいだ。

 途中でナミも、強烈な激励を送った。

「へ~、なんか二人ってまるで本当の研究者みたい」

 オヤジ達は野暮なことは言い返さず、ただ照れながら張り切って調査を進めた。


 オヤジ達が頑張ってくれているのは嬉しいが、その間、シュウは暇になってしまった。ナミは毎日、唯一作れる炒飯を作って秋元に食べさせている。というより、これは餌付けだな。秋元は、いたく気に入ったみたいだ。味付けは『創味シャンタン』オンリーなわけだが、味はかなりいけていることは認めよう。シュウとオヤジは近場まで二人で食べに行く機会が増えた。

 秋元とナミを二人残して出掛ける時の秋元の顔は、なんとなく引きつって見える。だがそれがまた面白い。夢のオフィスラブを味わってくれ。

 オヤジとは食事の後、近場のスナック『とまり木』に寄って飲んで帰るのが日課になった。出来るだけ遅く帰るという怒涛の大技をかましてやるのだ。おかげでオヤジとの会話も増えた。

 この店は、事務所の出入口となっている民家から二百メートルほど離れたところにある。オリンピック選手なら十九秒ちょっとで着ける位置だが、二人の足だと数分はかかる。特に帰りは千鳥足のため、かなり遠く感じる距離だ。

 以前この店はカウンター以外にも四人掛けのテーブルが八つほどあり、毎晩いっぱいだったと初老のマスターは言っていた。若い女の子も常時四~五名ほど雇っていたらしい。

 特に水曜日は、この街にある巨大な電機会社の定時退勤日で、そのサラリーマン達で賑わっていたとの話だ。波の音が聞こえて、潮の香りがするスナックなど滅多にないからだ。

 しかし今はカウンター以外の席はなくなっている。客足が減って必要なくなったからだ。さらに店員もマスター一人のため、カウンターから出ずに済むようにとのことだ。現代人の遊びの中から、スナックで飲むという文化が薄れて行ったに違いない。

 マスターは研究熱心で、休みの時は出来る限り、別のスナックを偵察しているとのことだった。いろいろな店を見て来て一つの結論を出した。それは「居心地の良い店はトイレが広くて綺麗だ」ということみたいだ。

 この店にはテーブル席を撤去したところに、完全防音、冷暖房完備、清潔、綺麗な上、大の字でも寝られる広さを備え持つトイレが三つもある。しかもその三つはそれぞれ壁紙やレイアウトが異なっていて、どこに入るのかも、ちょっとした楽しみなように考えられている。従ってトイレを待たされる、やたら蒸し暑い、狭かったり汚かったりして不快感を感じるなどといったことは皆無だ。トイレに入ると思わず気持ちが落ち着く感じを受ける。

 どうしても普通のスナックは、狭い敷地にたくさんの人を詰め込もうとして、トイレは迫害される運命にある。しかも席と席が近くて、隣りの話し声が大きかったりで、落ち着いて飲める店は少ない。そんな儲け主義的な考えが、若者離れを起こしたのかもしれない。

 だがここは、カウンター席も一つ一つがゆったり座れる広さだ。この店は二人の一番のお気に入りだ。

 水割りを飲みながら、シュウとオヤジは他愛も無い話をする。

「秋元さん無事かな?」

「私の知る限り、あいつが若い女性と話しているのを見るのはナミが初めてだ」

「オヤジ達の大学には女性いなかったのかよ?」

「ほぼ男子大学と言っても過言ではなかった。就職してからも職場は隔離されていて、一日誰とも喋らないと嘆いていた」

「まじかよ。そんな純な人、ライオンの檻に入れて大丈夫か?」

「ライオンの目の前に子猫を置いても、ライオンは攻撃しないという話を聞いたことがあるぞ」

「それは動物園のだろう?野生のライオンは、自分の子以外の子供ライオンすら殺すって聞くぞ」

「本当か?そりゃちょっと早めに帰ってやるか」

 しかし、オヤジは飲み出すとなかなか帰らないヤツだった。

 シュウは自分の悩み事もオヤジに相談した。

「ところで俺って、本当に何も特別な力無いよなー。何か手伝えることないか?」

「もう少しであの彗星の軌道がわかる。そしたら呼ぶから、それまでシュウは休んでいて良いぞ。うちのエースだからな」

「どこがエースだよ。なんかあのメンバーの中で、俺だけいなくても通常稼動しそうな気がしてるんだよ」

「そんなことはないさ。いざって時に底知れぬ知力と判断力を発揮するじゃないか。それで大津氏殺しの私のアリバイも証明されたわけだし。我々の切り札だよ。それに、最初は辛くても金持ち相手の泥臭い仕事を行うと判断したことが、結果的には今の活動にも役立っている。シュウには先見の目があるんだよ」

 正しくは先見の明だが、オヤジの誤った日本語には慣れているから突っ込んだりはしない。

 シュウは、こんな抜けたヤツは、自分がいないとダメだな。と、いつも思わされるが、それもオヤジの思いやりのように感じてきた。

 シュウの父がこいつと仲良かった理由もわかる気がする。

 二人は毎晩閉店の午前二時まで飲んで帰る日々を送っていた。だがその前にオヤジの口からこのセリフが出た時は、早めに帰ることにしている。

「それしても正樹まさきが昔と変わらなくて安心したよ」

 シュウの父の名前だ。酔うとシュウを父親と勘違いし出す。似ているかどうかすら、シュウには判断出来ないが、オヤジはずっとシュウを、正樹だと思って接しているみたいだ。

「大介、そろそろ帰ろう」

 母さんから聞いて、シュウの父がオヤジのことを何て呼んでいたのかは調査済みだ。だがそれ以外何も知らないシュウには、父の替わりは務まらない。

 残念だがシュウにはオヤジの若い頃との思い出は無い。だがこれからたくさん作って行けば良いだけだ。もちろん、これまでも楽しかったし。

 シュウはそんなことを思い浮かべながら、オヤジと肩を組んで、スナックを後にするのだった。この世代は肩を組むのが好きみたいだ。身長差があるため、シュウの手はオヤジの腰のあたりにしか回らない。

 事務所に戻ると、ナミは「おかえり、今日もご機嫌ね~」と言って笑っている。秋元も「本当に仲良いなあ」と出迎えてくれる。結局シュウとオヤジは、秋元とナミを二人だけして面白がっているつもりが、逆にあの二人に気を使われていたのかもしれない。

 こんな平和も、あと一ヶ月続かない可能性が高い。それは何としてでも阻止せねばならない。


 四月十日金曜日に検討会議が開かれた。ダークマター彗星の軌道がわかったということだったのだ。

「ダークマターという物質を持ったことがないので、よくわからんのだが、計算上遥かに重いと推測される。その重たい物質でしかもかなりでかいとなると、こいつは確かにブラックホール級だ」

 オヤジはそうみんなに伝えた。秋元はその通りだとばかりに頷いている。

「そいつをブラックホール化して、同じ重さのもので相殺させてしまうのはどうだろう?」

 シュウは最もポピュラーな方法を唱えた。

「その方法も検討したのだが、ダークマターは陽子や中性子と言ったものを持たない全く異なる物質であるため、我々のBHカノンでは原理上消滅出来ないのだ。それにこれが可能なら、恐らく地球政府が既に行っているだろう」

 なるほど、オヤジ達の武器でブラックホール化出来るのは、普通の物質であって、未知なる物質ではそれが出来ないのか・・・。っで逃げ出すことを地球政府は考えたということだな。こりゃー、いよいよ我々も宇宙海賊か。

「だがこの彗星の軌道を計算してわかったことがある」

 オヤジは続けて言った。

「来るたびに地球のそばをかすめて行くのに対して、他の惑星との位置関係はその時々で異なる。今回この彗星は木星の衛星の一つであるガニメデを破壊し、そのまま地球に向かって来ることがわかった」

「その星は俺でも知っているぞ。太陽系に存在する衛星の中で最も大きな星だろう?」

「そうだ、そしてこいつを入口にしてしまえば、ダークマター彗星も飲み込んでくれる可能性が高い」

 オヤジはそう言ったが浮かない顔をしている。

「なんだその顔は?わかった、ダークマターはブラックホールにも反応しないと言いたいのか?」

 何も考えずにシュウは尋ねた。

「いや、引力と言うものはさすがの未知なる物質であっても影響を受ける。全てのものが持ち、全てのものに影響を及ぼすからこそ万有引力と呼ばれているのだ。現在この彗星が太陽に向かっているのもその引力の影響だ。問題はどうやってそんなでかい物で入口を作るかだ」

 オヤジはそう言ってまた考え込んでしまった。まあ確かに今までとは規模が違う。GFⅢに積んであるBHカノン砲で星をブラックホール化出来るとも到底思えなかった。シュウはノートPC でこの星を調べていて嫌なことに気付いてしまった。

「オヤジ、この星は内側を回るイオとエウロパと軌道共鳴の関係にあるらしい。これってひょっとすると大外のガニメデぶっ壊れると内側の二つの衛星も、どうなってしまうかわからない、ってことでは?」

「確かにそうだ。だがそれは木星にそのまま落ちて行く程度で地球には影響ないだろう」

「ちょ待て、この二つは月くらいでかいぞ」

「まあ、地球にこんなのが落ちて来たら大変だが、木星ならきっと耐えるに違いない」

 本当かよ・・・。まあ何もしなければ、人類滅ぶのだから背に腹はかえられないが。

「この付近は暗礁宙域のため、徐々に成長させて行くしかないな」

 オヤジはそう言ったがシュウには理解出来ない。秋元は、頷いているみたいだ。

「話がどんどん進んで行くみたいだが、俺にはわからんぞ」

 シュウはオヤジに尋ねた。

「何もしなければ入口は成長するのだ。入口に入口を飲み込ませて何段階かに分けて大きくして行く。するといずれガニメデも飲み込むほど大きくなる。」

 気の遠くなる作業だな。だがもう一つ当然の疑問が残る。

「じゃあ、そんなでかい入口どうやって閉じるのだ?」

 シュウはその疑問を投げかけた。

「土星のタイタンを使う」

 オヤジはあっさりと答えた。良いのか?勝手に人んちの衛星ぶっ壊してしまっても・・・。月ぶっ壊されたら、地球人激怒だろうに。ガニメデは放って置いても彗星によって崩壊させられてしまうから、まあ目を瞑ろう。しかし、タイタンは完全に被害者だぞ。

「そんな土星や木星のそばを通るなら、その重力で彗星の起動が変わったりしないのか?」

 シュウにはわからないことだらけだ。

「多少軌道は変わるが、地球のそばを通過することは変わらない」

 オヤジは見栄と嘘をよく付くので、シュウは質問をしながら秋元の顔をちらちら横目で見ていた。しかし、静かに頷いていることから、それは同意見と判断し、信じることにした。

「地球に影響はないんだろうな?」

 シュウは恐る恐る聞いてみた。

「恐らくない。あったとしても、ダークマター彗星が地球近くを通過するよりも遥かに影響は小さい。無謀だがこの方法でやらせてくれ」

 オヤジは、他に手はないとみんなに同意を求めた。さて審議に入ろう。今までは奇数だったから多数決で常に負けていたが、今回からはわけが違う。シュウと同じタイプのブレーキ役である秋元がいるのだよ。ふふふっ、これで二対二になる。その場合、勝手に合計年齢の高い方が有効だ、とかにしてしまえば、オヤジと秋元は同じ歳だ。そしてシュウとナミではシュウの方が年上だ。勝ったな、この勝負。

「何なら木星ぶっ壊しちゃえば?」

 ナミが言い放った。木星は地球に降り注ぐ小惑星や隕石を代わりに受け止めてくれる、地球にとっては盾のような役割を果たしている超重要惑星だ。それ壊してしまうのは、いくらなんでもまずいだろう。

「いや待て、オヤジの言う方法の方が安全で良いと思うぞ」

 いかん、シュウはすっかりオヤジの味方になってしまった。

「なら決定だな」

 オヤジはそう言った。


 彗星が木星付近を通過し、ガニメデに衝突する日は、地球政府の大型移民船ノア出発の日と同じだった。

 恐らくダークマター彗星に、気付く者はそう簡単に現われないだろうが、太陽系最大の衛星が破壊されたら、さすがに天文学者であれば気付いてしまう。そしてその騒ぎが起こる頃には、地球から遥か二百三十万光年離れた場所に、逃げてしまおうという企てに違いない。

 さらに、その破壊された破片がどこに飛び散るかわからない。ガニメデの破片は、地球方向に向かう彗星によって破壊されるため、地球側に飛んで来る可能性が高い。そうなると彗星が地球のそばを通過する前に、地球はダメージを受けてしまうことになる。

 つまり四月の三十日以降、その八日後を待たずして、地球はほとんど死の星と化する可能性があるということだ。

 シュウ達の『人類救出大作戦』の要である「先にガニメデで入口を作ってしまおう」という営みも四月三十日に決行することになった。

「で、でもさ、ガニメデが消えるのは、地球上の人も気付くってことだろう?で、それが何者かによって故意に行われたとかってことがわかったら、うちら物凄い犯罪者扱いじゃないか?」

 秋元は心配そうな顔をしてそう言った。さすがはシュウ同様に心配性な男だ。確かにそう思う。しかもその後、土星のタイタンまでも破壊するのを見られてしまうのは確実だ。これってどんな罪になるのか見当も付かないが、とにかく想像も出来ないほど大きな罪を着せられることになりそうだ。惑星破壊罪か、懲役どのくらいだろうか。

「秋元さんの心配も最もだと思うぞ。現在ですら、地球政府基地を襲撃した国際テロリスト級だってのに、さらに衛星二つ破壊したら、凄いことになりそうだ。後のことはどう考えているんだ?」

 シュウはブレーキ仲間の意見に同意した。なんか今までとは違って、ちょっと心強い味方を得た気分だった。

「一体誰が裁くというのだ?」

 オヤジは笑いながらそう答えた。

 しかしシュウにも学習機能というものが少しはある。今回ばっかりは言わせてもらいたかった。

「地球政府の連中は、当然その後地球がどうなっているのか、覗きに一度は戻るはずだ。もし無事だったことが分かれば、間違いなく戻って来て再び権力を振るうだろう。当然彗星の存在を彼等は知っていた。そして、自分達は人類を見捨てて逃げた。俺達は二つの衛星を破壊してでもそれを食い止めたとしよう。だが歴史は権力者の都合によって変えられるものだ。俺達を犯罪者にして葬り去り、逃げた自分達を英雄にするようなストーリーにすり返られてしまうと思わないか?」

 シュウは、あの猿顔の明智もどきを見たときのことを、思い浮かべながら力説した。

「心配には及ばない。もしシュウが言うようなことになったら、アンドロメダ銀河に、人が住めそうな星があるんだろう?そこ行って四人で仲良く暮らせば良いだけだ。もしくは本当に宇宙海賊になれば良い」

 オヤジはそう言ったが、もちろんこの作戦を決行しないといけないことはシュウにもわかっていた。

「もちろん人類を見捨てたりするつもりはない。作戦は決行する。その後のことは、オヤジのその案で賛成だが、一つだけ提案がある。もう一人女性増やさないか?」

 シュウはこの最後の提案だけは、何とか受け入れてもらいたかった。

「ちょっと待ってよ。もう一人女性を増やすなら、あと三人くらい男性を増やしてもらいたいんだけど」

 間髪入れずにナミに言われてしまった。

 合計あと四人も増えたらGFⅢには乗れない。コヤツ、ここにいる三人の男は他人に譲る気はないというつもりみたいだ。なぜかオヤジと秋元は喜んでいるみたいだが、シュウは人生が終わったような気分だった。このまま人類が滅亡してしまっても良い、と思えるようになってきた。


 作戦決行の日まではまだ二十日ある。オヤジと秋元が言うには、木星と土星には多くの小衛星や環があり、それらを連続的に入口にさせて行き、徐々に成長させ、最後にガニメデを飲み込ませるという。例えるなら、山の落石のような現象だ。上の方で小さな石を転がしてしまっても、下に行くごとに、徐々に大きな石を弾き飛ばし、最後にはとんでもない大きさになってしまうという山男たちが最も恐れているやつだ。彗星が到達するまでにそれを完遂させておく必要があるとのことだ。

 もちろん同じ方法で、その後タイタン側でも行うということだった。

 その時の木星ガニメデ付近の状態、その直後の土星タイタン付近を再現し、日々何度もシミュレーションを行っていた。


 またシュウには暇な時間が訪れてしまったので、事務所の庭に、南極で散ったあの船の墓を建ててやることにした。オヤジとナミが植えたと言うより、埋めた桜の木の横だ。結局この桜は今年咲かなかった。触ると中がスカスカで、枝がポキッっと折れてしまう。恐らく未来永劫この桜が咲くことはないだろう。

 ここは海の見晴らしも良いし、夏は海水浴場も一望出来る場所だ。GFⅢから形見である操縦レバーを持って来て、それを埋めた。使えない操作説明書は、とっくにゴミ箱に捨ててしまった。

『若軍鶏号ここに眠る 無数の砲弾を浴びながらも、決して臆することなく、敵陣深くまで突入し、見事その使命を果たす』

 ちょっと色付けたが、まあこういうことにしてあげよう。墓にはユリの花を添えてあげた。

「シュウ、あの船のお墓作ってあげたんだ?あたしのも、その隣りに作ってあげようっと」

 ナミはそう言うと何やら作業を始めた。

 それからしばらくして俺は、墓を見に行った。だがそれは遠くから見ても明らかに異様な光景で、匂いも汲み取り式トイレのような強烈な異臭を放っていた。

『Queen Nami's Revenge号の墓 安らかに眠れ』

 ナミの性格がよく出ている。ここまでは良いのだ。おかしいのは、そこにラフレシアの花が捧げてあることだ。

「これ日本じゃ手に入らないだろうに。どこに売っていたんだ?こんなもん」

 シュウはこの花を知っていた。二年かかって三日しか咲かないという世界最大の希少的な花だ。

「間違ってネットで買っちゃったんだけど、処分に困っていたんだ。これね、匂い付きの造花なの」

 ナミは笑って言ったが、この花の匂いは強烈な悪臭だぞ。


 そして、四月二十六日日曜日、今週の木曜日には作戦決行という日が迫っていた。この日の晩に最後の会議を開き、あとは予行演習を行い、本番に挑むことになっていた。

 三人に秋元を加えて四人で朝食を取っていた。ちなみに我々の朝食は毎日同じだ。ご飯、しらす、めかぶ、納豆、漬物、生たまご、ヨーグルト。それに、食卓の中央に電気式のポットが置いてあって、各自お湯を注いでインスタント味噌汁を作って飲む。

 このメニューは、オヤジ達の大学の朝定食メニューだったらしい。オヤジは毎朝これを食べて、三十年間、風邪一つひかなかったと言っていたが、単に何とかは風邪ひかないってだけな気もする。

 だが確かにここ数年、シュウも健康だ。ナミは何が起ころうと一度も体調を崩したことはないが、これはオヤジの血族特有の天性のものだろう。このメニューは、恐らく人間が一日に必要とする栄養素がパーフェクトな気がする。もちろん調べたわけではないが、我々の健康度がその証拠だ。

「みんなで朝食を食べるなんて、もう生涯味わえないかと思っていたよ」

 秋元は食事をしながら、嬉しそうに話している。この人は毎日一人で朝マックを楽しんでいるのかと思ったが、やはりみんなで食べる方を望んでいたのか。

「うまい、やっぱりナミちゃんの料理は最高だな」

 こら秋元、このメニューのどこに料理と呼べるものがあるのだ?ご飯の炊き方か?だが残念だが、これはパックのチンしたやつだぞ。

「おいしいなんて言ってくれるの、秋元さんだけだよ。いつもこの二人は稲妻のような速さで食べ終わって、あたしを残してどっかに行っちゃうんだよ」

 ナミもチャンスを得たらしく、今までの不満を二人にぶちまけていやがる。

「大ちゃんは昔から食べるのが速かったんだよ。でもシュウ君もそうなんだ?こんなにおいしいのに。もっとゆっくり味わって食べれば良いのにね」

 違うだろう?お前も三十年間、これ食って生きてきたんだから、食べ慣れているだけだろう?まあ、秋元の嬉しそうな顔は、シュウもちょっと幸せに感じるから良しとしよう。

 だが、シュウとオヤジはそれでも競うように食べる速度を落とさない。どんぶりのご飯に、ヨーグルト以外の全てを掛けてしまい、醤油を垂らしてかき混ぜる。生たまごによって、かなり流動的になっている。それを胃袋に流し込むように食べるのだ。食べ終わったどんぶりで、インスタント味噌汁を作り、さらに流し込む。最後にヨーグルトを流し込むまでに、かかる時間は、ほんの一~二分。

 ナミが毎日買い物に行ってくれていることは知っている。まあ多少不満もあるだろう。だが二人だって心から感謝はしているさ。うまいから食べるのが速いんだよ。まずいものは極端に速度が落ちる。この速さこそ、不器用な男たちからの感謝の印だ。

 そんな朝食のひと時を、打ち破るようにオヤジが突拍子もないことを言い出した。

「シュウ、あと二隻GFⅢと同じような万能型の船を買ってくれないか?」

 ばつが悪くなって、ごまかしたのか思ったが、秋元も思い出したように頷いているから、どうやら本気らしい。

 まあ、まだ貯金は残っているから、買えないことは無い。あとできるだけ触れないようにしていたが、オヤジは例の懸賞金を何に使ったのか使途不明だ。たんまり蓄えているだろうに。

「良いけど、また入口の種にするのか?まあそれでも仕方ないけどな」

 シュウは、一応愚痴を言ってみた。

「違うのだ。何度シミュレーションを行っても、無理だと言うことがわかった。三隻から撃たないと今回の作戦は成功しない」

 オヤジ、そういうことはもっと早く言えよ。何もこんな作戦決行寸前の朝食時に。

「今から買って間に合うのか? BHカノンはどうするんだ?」

 シュウは尋ねた。

「もちろん新たな二隻にも装着する。片方は私が、もう片方は秋元が付けるから今日中には完成する。夜の会議までには間に合わせる」

 オヤジはそう言うと、とっとと食べ終わって「ごちそうさま。先に行っている」と言い残して停船場に向かって行ってしまった。BHカノンを取り付ける準備をするらしい。焦ったのはシュウの方だ。

「ナミ、朝食後にディーラーに向かうぞ。秋元さんは停船場で待機していてください。急いで二隻の船買って戻ります」

 シュウは眉間にしわを寄せて困ったように言ってはみたが、実は超久しぶりの出番に張り切っていた。


 朝食後、シュウはナミと一緒にディーラーに向かうことにした。

 GFⅢは父さんの形見とはいえ、もうさすがに古い。もちろん今後も旗艦として頑張ってもらうつもりでいるが、新型が欲しかったのは確かなのだ。そしてその新型には、あの伝説の『若軍鶏』の二代目として『若軍鶏Ⅱ』と名付けてやろうと、思っていたところだったのだ。

「むふふ、今ここに、あの泣く子も黙る若軍鶏が復活するのだ」

 と言っても、良いところなく敵地はるか手前で、無様に沈んで行ったのだが、シュウの中では勝手に伝説としていた。

「あたしのも復活させようっと」

 ナミも上機嫌だった。

 シュウは今現在の万能型の船が、いくらくらいするのかよくわかっていなかったが、とりあえずあの金持ち相手に、いやーな仕事をして稼いだ蓄えが、まだかなり残っていた。ナミにも総額は伝えてあった。

「半分ずつでも最高級のが買えそうだね」ということで、珍しくうちらは腕など組んで歩いていた。と言ってもナミの腕は、シュウの脇の下あたりに来ている。まるでお母さんに連れられている子供のようだった。

 歩いて二十分、国道六号線沿いまで行くと、目的のディーラーはあった。

「ちょっと良いかな?一番良いヤツを見せてくれ」

 シュウは、ちょっと胸を突き出して、担当者に聞いてやった。

「こちらなんかいかがでしょうか?今までのですと、どうしてもシャワー、簡易ベッド程度は付いておりましたが、これは大理石のお風呂や最高級シリコンベッドなどが付いております。しかも八人乗りですし、大家族で宇宙旅行をしても全く疲れませんよ」

 担当者はニコニコしながらそう言った。しかもシュウとナミを夫婦だと思っているみたいだ。

 そうだ、シュウの父さんの船はシャワーと簡易ベッド程度しか付いていなかった。長旅では確かに疲れが溜まる。よし、ついにあの伝説の・・・

「あたし、これ気に入った。これください」

 ナミ、先に・・・。

「これって、おいくらですか?」

 ナミ、何を勝手に・・・。

「はい、こちらは四億八千万となっております」

 担当者は答えた。ぶー、たけーー。待て待て、そしたら二隻買えない。全財産に相当する額だ。

「はい、結構です。これ買うわ。包んでもらえる?」

 こんなもん包めるか?じゃなくて、そうすると二隻買えずに人類滅ぶんだぞ・・・。

「かしこまりました。本日乗ってお帰りになりますか?」

 担当者はナミが包めと言った部分を、何も気にせず、にこやかに応対していた。さすがに金持ちはクセモノ揃いなのか、慣れてやがる。

「はい、鍵頂けるかしら?」

 勝手に話を進めるな。

「ナミ、今日は二隻買いに来たんだどぞ・・。二隻買わないとじ、じ、人類が・・・」

 シュウは、どもりまくっていた。

「ローンで買えば良いじゃない?どうせあの作戦に失敗したらこの人いなくなっちゃうんだし」

 ナミは小声でシュウにそう言った。っま、確かにその通りだ。頭良いじゃん。

「あのー、ローンで買えますか?」

 シュウは担当者に尋ねた。

「もちろんです。ローンの場合ですと、お勤め先、その会社の規模等を調べさせて頂くことになり、一週間ほどお時間を頂戴させてもらっております」

 一週間では遅い。しかも会社の規模って、従業員数三名(プラス派遣?一名)だぞ。ってかこれは自営業差別じゃないのか?という愚痴は置いておいて、

「五百万で買えるものは、ありませんか?」

 これが残りの貯金全額だ。これで無いと言われたらきっとナミも諦めてくれるだろう、と期待して聞いてみた。

「は?中古でもそのお値段はございませんね」

 担当者の声が少し低くなった。まあそれよりも、そのセリフはナミに聞かせたかったのだ。ナミ人類のためだ。諦めろ。

「あん?この四億八千万のを一括で買うから、一番安いのを五百万で売ってもらえないか?って言ってんのよ」

 ナミ、お前まで声が低くなっているぞ。だから今シュウが聞いたのと同じことだろうそれは・・・。

「あ~左様でございますか?それでしたらあちらの隅に置かれております初期の船ですと中古で二千万なのですが、こちらとセットで四億八千五百万で結構でございますよ」

 コヤツ、また声が高くなりやがった。

「それで良いわ、その二つ今日乗って帰るから。あ、そうそうお金はこの人が払うわ」

 ナミは最高級の方の鍵を受け取り、去って行ってしまった。

「お支払いは一括ということですね?ではこちらに」

 シュウは変な部屋に連れて行かれ、そこに置かれてあるコンピュータで銀行から全額を下ろし、指定の口座に振り込まされた。

「は~い、確かに受け取りました。こちらが領収書でございます。それではこちらが中古船の鍵です。ありがとうございました」

 この裏表ある担当者は、満面の笑みで礼を言った。

 シュウは鍵を受け取り、中古の船に乗り込んだ。既にナミの船はいなくなっていた。この船、シャワーもベッドも無い。明らかにGFⅢ号よりボロい。これ空気漏るんじゃないのか?そんな不安を抱かせるものだった。

 今から思うと、シュウの父もオヤジとの約束を果たすため、あの船を無理して買って待っていたのではないだろうか。二十年前にいくらくらいしたのか想像も出来ない。

 約束を守ったのは、オヤジやオヤジの妹だけではなかったのだ。シュウの父もオヤジと一緒に、今のような仕事をしたいと願い、あの船を買って待っていたことを思い知らされた。


 事務所の停船場に戻ると早速ナミの船にオヤジがGHカノンを装着していた。この二人の組み合わせは危険過ぎる。

 俺の船が入って行くと、待っていたかのように秋元がシュウの船に装着を開始してくれた。こっちの二人の組み合わせは堅実過ぎる気がした。しかし秋元はシュウの船に乗る際、何度もナミの船と見比べていた。

「シュウ君、この船で宇宙に出るときは、宇宙服着た方が良いかもしれないね」

 秋元は親切にそう言ってくれた。

「はい、わかりました」

 シュウもそう思っていたところだった。でもその前に「なんでこんなに差があるの?」とか聞いてくれよ。そしたら愚痴の百や二百くらい語ってやるのに。まあシュウとナミの二人で出かけて行ったってだけで、軽く原因くらいはわかっているんだろうけどな。

「シュウ君さあ、私は以前ローンが残っている自分の愛車を、BHカノンで大ちゃんに撃たれたことがあるんだよ」

 秋元は全てを知っていて、慰めの気持ちで言ってくれたようだった。

「お互いに、あいつらと付き合うと苦労しますね」

 シュウも全てを知っているかのように答えた。

「全くだよ。我々似た者同士というより、被害者友の会だね」

 秋元は目をつぶって、うなずきながらそう言った。やっぱり秋元だけが味方だと、シュウは思った。

「装着は私に任せて、もしこのオンボ・・・じゃなかった、船に名前を付けたいなら、自由にペイントしていても良いよ」

 秋元めー、唯一の味方だと信じていたのに、今わざと間違えやがったな。まあ誰がどう見てもオンボロだけどな。

「もう決めてあります。『老チャボ号』にしたんです」

 シュウは伝説のあの名前を付けるのを止めた。しかし鶏の絵しか描けないものだから鶏に拘るしかなかったのだ。

「ふーん、なかなかいかす名前だね」

 嘘付け、この裏切り者め。


 その晩、作戦会議の始めにオヤジから人員配置の説明があった。

「先ずGFⅢはいつものように私が操縦する。そしてQNRⅡはナミが操縦する。最後にチャボをシュウが操縦してくれ」

 オヤジ「チャボを操縦」とか言って恥ずかしくなかったか?聞いている方は、ちょっと恥ずかしかったぞ。まあ、老チャボ号って名前自体、かなりおかしいんだけどな。

 ナミはやっぱりあの名前を付けてきたか。正式名称『Queen Nami's RevengeⅡ』だ。一体あいつは何に復讐したいのか、さっぱりわからん。シュウにじゃないことだけを、願うしかない。

「二隻の操縦席からの映像は、GFⅢからも見えるようになっていて、それを見ながら秋元が指示を出す」

 オヤジは続けた。すると今度はちゃんと船に乗って操縦しないといけないのか。そうなると、宇宙服が必要なのはシュウ一人ってことだな。好きにしやがれ。

「それではBHカノンの撃ち方を教える」

 いつもオヤジのを見ているが、あれには封印が施されてあり、他人には使用できない。だが今回だけは、背に腹は代えられないということで、特別に封印を解除をしてくれるらしい。

 シュウ達はその方法を教わり、最後に一つだけ絶対に気を付けないといけないことを指摘された。

「ガニメデで入口を作った際の引き込む力は、従来の比ではない。入口を作ってしまったら、別に最後まで見届ける必要はなく、とっとと土星にワープして逃げてしまってくれ。GFⅢもそうするつもりだ。では今までこの世で三人しか出来ないと言われていた、ワープ航法も二人に教える」

 オヤジの言い分はこうだ。これを知ってしまうと、今後あらゆる犯罪の容疑者になってしまう。確かにオヤジは、あの天文学者殺害事件で、真っ先に疑われた。しかし、今回はシュウとナミがこれを使わないと生き延びられないのだ。よってこの封印解除は今回限りで、無事に地球戻ってきたら再度封印をするということだ。

 オヤジはスイッチ一つで土星出口の座標が設定出来るようにしておいてくれたと言っていた。それ以外の入口はあえて出口を設定せず、暴走させ、大きくさせて行くために不要とのことだった。最後にガニメデを飲み込ませる入口はGFⅢが作ってくれる。

 早目に二隻は、オヤジの設定してくれたポイントに出口を作り、その入口に飛び込んで先に退避しておけ、ということだった。

 オヤジの説明が終わると、すぐに三隻は実際に宇宙に出て、木星付近から土星にワープ航法をする練習を行った。ワープ航法の最も難しいところは、出口の座標を決めることだ。しかし今回はオヤジの計らいで、これを簡易化してもらっている。かなり楽だった。

「オッケーだ。みんなタイタン側の持ち場に飛べたみたいだな。実際には、かなりの重力が働く中でそれを行うことになる。心しておいてくれ」

 オヤジからの通信が入った。だが続けて

「ところでシュウは、何で宇宙服を着ているんだ?」

 出来ればそこは突っ込まないでもらいたかったが、シュウは堂々と言い返してやった。

「現場の判断だ」

 ってか、見てわからないのかよ?四億八千万円と、五百万円の差を。


 そしてその日は来た。と言ってもまだ四月二十九日だ。この日の深夜に四人は飛ぶことになっていた。

 彗星がガニメデに衝突するのが、三十日午前十時だ。選ばれた者達を乗せた船が、ワープしてトンズラする一時間後だ。ガニメデの入口を作るのに、要する時間は計算上五時間。午前九時には完遂させ、彗星の到達を待つ状態にしておきたい。そのため開始は午前四時なのだ。

 そして九時に土星側に飛び、彗星をワープさせた後に、タイタンを使って相殺させる。こちらは三時間で可能という計算らしく、午前中には、全てが終わる予定だった。

 二十九日から三十日に日が変わろうとしていた頃、四人は出航した。停船場に停まっている三隻の船は、海の底に潜り始めた。ここも広くしておいて正解だった。

 海中を太平洋側に進み、その後浮上してそのまま空へ向かった。二等辺三角形の頂点の位置に旗艦GFⅢ、左下にQNRⅡ、右下に老チャボという形の編隊を組んでいた。シュウもかなり興奮してきた。なんか格好良いなあ、ナミの船。

 いつの間にか勝手にGFⅢにもナミの船と同じ海賊旗が掲げられていた。さらにQNRⅡには、南極基地で奪った戦利品の銃が、上を向いた状態で甲板に固定されていた。まるで戦士の墓みたいだ。

 そしてこの海賊船もどきの二隻による、楽しそうなランデブーの会話が聞こえてきた。

「ねね、オヤジさん、宇宙海賊になったら、この船とGFⅢを合体出来るように改造出来ないかな?」

「おお、それは素晴らしいアイデアだ。ぜひそうしよう」

「でね、海賊らしく武装も必要でしょう?あと、装甲も厚くしたいんだけど、シュウの船からパーツを取って強化したら良いと思うんだけど」

「相変わらず冴えているなあ。多数決でそれも決まることだろう」

 なんか、話が弾んでいるようだが、シュウは宇宙服が息苦しくて、ほとんど会話を聞いていなかったし、参加する気にもならなかった。


 しばらく上昇し、大気圏外まで来たところでGFⅢから「ワープの入口を開くからGFⅢ、QNRⅡ、チャボの順に入って来るように」という連絡があった。どうせシュウの船はおまけだろうよ。でもまあガニメデ付近までは何度もシミュレーションをしたので問題はない。

 午前一時、三隻はガニメデ付近の持ち場に待機した。他愛も無い会話で時が過ぎるのを待っているつもりだったが、既に巨大な彗星がそばまで来ているらしく、その気配というべき何かが物凄いプレッシャーを放っていた。ってかこれは明らかに引力だ。

「かなりの力だな。だがこの引力も計算に入れてあるから大丈夫だ」

 オヤジは自信有り気にそう言った。しかしシュウの目の前の小衛星も自分の軌道から外れ、別の方に動き出している。

「オヤジ、俺の最初に破壊するべき塊が彗星の方に動き出したぞ。どうするんだ?」

 シュウは焦った。

「気にするな、そいつはシュウの担当のものではない。時間になったら目の前に現われる物を撃てば良いのだ」

 オヤジはそう言った。な、なるほど、シュウが追うのではなく、あっちが来てくれるのか。

「来るって言っても、まさか後ろから来て俺の船にぶつかるとかはないんだろうな?」

 シュウは時間が迫って来て、なんか凄い焦りを感じ始めていた。オヤジは全てにおいてその場所は安全だと言っていた。しかしあいつの安全がどれほど危険なのか、気が気ではなかった。


 老チャボ号のBHカノン砲発射準備は完了していた。そして時刻はついに四時を迎えた。手は、にゅるっとした汗がにじんでおり、しかもかなり震えていた。

 目の前に横から小さい岩がプカプカやって来た。何だろうこの岩は?と思っていたら

「シュウ君、ファイヤー!」

 と、いきなり秋元が叫びやがった。シュウは抜き打ちテストをされた気分だったが、ちゃんと狙いを定めて撃った。見事命中した。その後も秋元の指示は飛ぶ。

「シュウ君は、ポイントXXXに移動、ナミちゃんファイヤー」

 シュウは言われたポイントに移動した。ここからはシミュレーションしていない。あとは秋元の指示に任せるしかない。とりあえず、全ては予定通り事が運んでいるようだった。

 そして、ここでのシュウとナミの役割は終わったらしく、あとはGFⅢが最後に放つ一撃でガニメデが飲み込まれるはずだった。

「シュウ君とナミちゃんは、土星に移動」

 秋元の声が響く。ナミは命令通りワープした。

 シュウはもう手以外にも、あっちこっちから変な汗をかいており、もたついていた。GFⅢが放った最後の一撃を見て、さらに焦った。その後、ガニメデが飲み込まれて物凄い引力が発生する予定だったからだ。「やばい、急がないと・・・」焦れば焦るほど、手が震えてしまう小心者タイプなのだ。

 しかし、何か様子がおかしい。力が足りずガニメデを飲み込むことが、出来ないでいるみたいだ。

「オヤジ、ダメか?」

 震える口でシュウは聞いてみた。

「まだ残っていたのか。やばいぞ。ダメみたいだ、重さの計算が間違っていたのか。そんなはずはない。くっそ~、わずかに足りなかったのか」

 オヤジが、何かを叩いた「ドン」という音と一緒に、この通信は入って来た。

「この船を飲み込ませてもダメか?」

 シュウは最後の賭けに出た。

「わからんが行けるかもしれない。でもどうするつもりだ」

 オヤジの回答に、シュウのほんのわずかしかないはずの勇気が、突然火を噴いた。

「俺が何のために宇宙服を着ていると思っていたのだ?こういう状況を予測していたからだ」

「やっぱりそういうことだったのか?何かあるだろうとは思っていたのだ」

 いや本当は違う。だが、やるしかない。

 シュウは自動操縦で船をガニメデ付近にたたずんでいる、入口に向かわせた。

「俺の収容、頼んだぜオヤジ」

「任せろ。この命に替えても」

 オヤジの通信を聞く前に、シュウはGFⅢに向かって、緊急脱出を行った。

 何も考えず無重力状態のつもりで気楽に飛び出した。予定では、ふわふわとGFⅢに流れて行くはずだった。しかし、実際には強い引力が働いていることを忘れていた。

 物凄い角度でシュウの体は曲がって、入口に向かって自由落下を始めた。今度こそ終わったな。子供の頃、野球盤でスローカーブを投げようとしたところ、急激に曲がり一塁手の方に球が飛んで行ったことを思い出した。あの時、父さんは間違って振ってしまい「こんな球打てるか」と言い「だったら振るなよ」と二人で、大笑いした覚えがある。シュウにとってこれは何回目の走馬灯だろう。

 やばい、周りの風景が大きくなり始めた。

 そこに決死の覚悟でGFⅢがやってきた。やっぱりこいつアホだ。そんなことをしたら戻れなくなるぞ。

 ハッチが開き、同じく宇宙服を来た秋元らしき人が顔を出した。そしてこっちに向かって、紐付きの浮き袋を投げてきた。真空状態の中で浮き袋は空気抵抗なく真っ直ぐに俺に向かって来た。俺は急いでそれにしがみ付いた。秋元が紐を引き、俺は何とか収容してもらえた。宇宙服のままシュウは感謝の気持ちで秋元と握手した。

 二人で運転席に向かったところでGFⅢは急旋回し離脱を始めた。まだ何とか船の火力の方が勝り、遠ざかることが出来るみたいだ。これで一安心だ。

 その直後、今まで成長させた入口に、老チャボ号が吸い込まれて行く光景が見えた。するとそれで十分な力に達したらしく、ついにガニメデを飲み込み始めたのだ。目に見えて太陽系最大の衛星が小さくなって行くのがわかる。それと同時に引力も増して行った。今までにない吸引力らしく、オヤジの必死の形相がシュウの目に映った。

 GFⅢは、もう前に進むことは出来なくなった。

「いかん、このまま吸い込まれたらこのブラックホールは成長を続けるぞ。」

 秋元は顔面蒼白でそう言った。

「それをしたら、結局人類が滅ぶぞ。俺達三人が生き残るか、人類全てが生き残るかの二択だ」

 シュウはそう言いながらも、泣きそうになっていた。

「んぐぐ、加速装置」

 オヤジは訳のわからないことを口走りながら、出力を全開にした。それでも船は後退している。もう諦めるしかないのか。

「どうしても二人に言っておきたいことがある」

 オヤジは宇宙服を脱ぎ始めたシュウと秋元に向かってそう言った。この期に及んでオヤジの遺言か?

「とりあえず言ってくれ」

 シュウは機械的にそう返したが、オヤジが死ぬ時、秋元とシュウも死ぬ。残念だが後世に伝えることは出来ないぞ。

「二人は知らないと思うが、実は002も加速装置が使えるのだ」

 オヤジ、その遺言しかと受け取ったが、意味不明だ。

「前方に土星行きの入口を作る。ここを離脱しよう」

 オヤジは鼻歌混じりにそう言った。

「オヤジ血迷ったか?この船は後退しているんだぞ」

「そんなの気にすることは無い。逆らっているんだから」

 相変わらず何が言いたいのかわからんが、オヤジは前方に向かって土星行きの入口を作った。するとその入口の方がこっちに向かってやってきた。

 なるほど、今作った土星行きの入口は自由落下するが、我々はその落下に逆らっている。そのため、入口の方が速度が速いということか。相対的に船は土星行きの入口に突入出来た。

 GFⅢ号は土星付近に出現し、ナミとの通信が再開した。

 オヤジは、変な鼻歌を続けながら望遠鏡で木星付近を見ていた。ガニメデ消滅を確認したようだ。時刻は九時十五分だった。

 シュウの船を飲み込ませないと、完遂しないという状況のため、十五分遅れとなったが間に合ったみたいだ。その時、この世の者とは思えない泣き声が響いてきた。

「シュウが、シュウが来ない!シュウが死んじゃった~。だからあんなオンボロ買うんじゃないってあたしが言ったのに~。うぎゃ~~」

 ナミは木星付近でのシュウの活躍ぶりを知らなかったため、死んでしまったものと思ったみたいだ。

「っふ、ナミ、俺は大丈夫だよ。心配掛けたな」

 シュウは自分としては、精一杯ニヒルな笑いをして、ナミに通信した。秋元は、慌ててこちらの映像がナミにも見えるようにしてくれた。

「なんでGFⅢに乗っているの?紛らわしい。焦っちゃったじゃない。いい加減にしなさいよね~。大体何笑ってんのよ~」

 ナミは泣きながら文句を言ってきた。しかしシュウのために泣いてくれるのか。可愛いところもあるんだな。

 そしてそんなナミに対して、やさしいシュウから掛けてやる言葉も限定される。

「何が『買うんじゃないってあたしが言った』だ。誰のせいで俺があんなオンボロに乗ることになったと思っているんだ」

 容赦せず一つ前の話を持ち返して、文句の一つでも言ってやりかったのだ。

「だからローンで買え、って言ったじゃない」

 ナミも負けずに言い返してきた。もうヤツの言うことは聞こえない。シュウは自分の言いたいことだけを言い放ってやる。

「そういえばさっき、俺の船をぶっ壊して自分達のパーツにしようとかほざいていたな。残念だったなあ、俺の船なくなっちゃって」

「宇宙服着て聞こえないと思っていたら、盗み聞きしてたな」

「盗み聞きマスターのお前に言われたくないぞ」

 その後しばらく言い争いが続いた。シュウは半べそをかきながら、これほどまで真剣に訴えているのに、なぜかオヤジと秋元は笑っていた。


「今、予定通り彗星が巨大入口に消えて行った。さて本来なら三隻でタイタンを葬るはずだったが、二隻で遂行しよう」

 オヤジが望遠鏡を見ながらそう言った。時刻はまだ九時三十分だった。

「ん?飲み込まれる予定が早くないか?」

 シュウはオヤジにそう尋ねた。するとオヤジが照れくさそうに言った。

「はは、彗星と入口が引き合って加速するのを、計算に入れてなかった」

 相変わらず危ないヤツだ。大体あの時俺が・・・、まあ良い、過ぎたことだ。それより『老チャボ号』の墓には『人類の存続を賭け、木星衛星ガニメデと共に散る』と書いてあげることにしよう。

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