アイアン・ノマドからの脱出(5)
白翼の女はリラを素通りし、ミカだけを真っ直ぐに見た。その直截さは、ほとんど侮辱に近いほどだった。ミカは顎を上げ、その目を受け止めた。
「ミカ・フォン・フィルギア」女は言った。声は平坦で、事務的だった。「回収指令下にあります。今すぐ同行してください」
「申し訳ございません」ミカは丁寧に頭を下げながら答えた。「ですが、謹んでお断りいたします」
女は頭をわずかに傾けた。目の中の計算が、静かに更新される。単純な回収から、中程度の抵抗、許容範囲、へと。
「タノーニ殿」リラが低く言った。
「はい」タノーニは答え、長い方の剣を抜いた。
そこから先は、サイラスがここ最近で目にした中で最も無駄のない役割分担だった。一言の打ち合わせもなく成立した。関わった人間たちが、話し合いを不要とするほどの相互理解にすでに達していたからだ。
黒翼の男がタノーニへと向かった。タノーニが黒翼の男へと向かった。二つの嵐が引き合うようにデッキの中央で交わり、その周囲は他の人間が存在できない場所になった。
白翼の女がミカへと向かった。
リラがその間に入った。
女はリラを冷たい目で見た。剣を構える。
リラは二発撃ち込んだ――貫通を期待してではなく、バリアの反応速度を測るために。半秒で必要なものを得た。三歩で距離を詰め、閾値の下に滑り込む。女の刃が振り下ろされたとき、リラはもうそこにいなかった。すでに懐に入り、銃口が肩の関節の隙間へ向かおうとした――
女が手首を掴んだ。
速い。
天使の速さ、というのは別の次元の話だった。
一息の間に三度、打ち合った。鋼、反動、羽、流された力。リラの戦い方は、拳銃を間違った使い方で使いながらそれを戦闘スタイルに変えてしまった人間のそれだった――銃口打撃、翼の勢いを乗せた体当たり、タイミングを崩すためだけの至近距離射撃、そのまま蹴りと肘打ちへの流れ。女は清潔な剣技と信じ難い空中バランスで応じ、リラが居続けることを拒む空間に向けて弧を描いた。
どちらも優位を取れなかった。
互いに一歩引き、同じことを悟った顔で見合った。――これは、本気を出す必要がある、と。
女の翼が広がった。上昇する。
リラの翼が一拍遅れて開いた。追う。
戦いはデッキ上空へと移り、白い羽と銃口の閃光が混じり合う激しい乱舞となった。リラは重力を任意のものとして扱うかのように戦った――方向を変えるたびに翼がはためき、反動が空中で体を捻り、殴るたびに至近距離の銃声が轟く。
外れた弾がデッキへ降り注ぎ、火花を散らして衛兵たちを遮蔽物の後ろへ転がり込ませた。
タノーニと黒翼の男は、もっと静かだった。
黒翼は完全なる決意で戦った――全ての一撃が重く、断定的で、即座に決着をつけるために作られていた。タノーニはまるで正反対の哲学で戦った。結果が確定するまで何にも完全に踏み込もうとしない男の、ひどく落ち着いた静けさがその動きにあった。
黒翼の最初の三撃は何も捉えなかった。
四撃目は、タノーニの手に柄ごと捕まえられた。建築物の支柱のような確固たる掴みで。黒翼の男がそれの意味を理解するより先に、タノーニの返しがこめかみに落ちてきた――刃ではない、決して刃ではなく、ただ結論を伝えるだけの力を持った、刀の平だった。
黒翼の男は一歩よろけ、一度首を振り、仕切り直した。
タノーニはそれを妥当と見なしたようだった。
戦いにリズムが生まれた。カオスよりもある意味厄介なことだ。リズムとは、相手がこれを以前にもやったことがあるという意味だから。
リラと白翼の女は頭上で短く爆発的な打ち合いを繰り返し、タノーニと黒翼の男は剣だけで行われる対話のような何かに落ち着いた――答えは精確に、応じは慎重に、先に踏み込もうとする者はどちらにもいない。
サイラスはデッキの縁を流れるように回り、ミカのフィデイの光の届く範囲に留まりながら、下っ端の相手をリボルバーとショットガンの銃床で捌き続けた。慣れた仕事だ。馴染んだ仕事だ。
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スピーカーから、イスタダの声が再び響いた。
「おい、双子。遊ぶのはそこまでにして仕事を終わらせろ。王女と子どもを連れてこいと言ったんだ、剣遊びをしろとは言ってない」
変化は即座だった。
白翼の女がリラとの打ち合いの途中で切り離し、司令塔へと一瞥を向けた。一度だけ。呆れた目をして、構えの中の何かを静かに調整し、再び向き合った。
違う動き方で。
殺意の刃が、正確に一段だけ鈍った。慈悲ではない。制御だ。
デッキの向こうで、黒翼の男がタノーニから一歩引き、握りを直し、同じことをした。
サイラスは気づいた。
リボルバーがわずかに下がった。
目が二人の天使の間を行き来した――白翼、黒翼、一見して共通点などない。だがその二人が、同じ声に、同じ瞬間に、同じ本能的な調整で応じた。
目が細くなった。
一本の指が、リボルバーの側面を一度だけ叩いた。
「……ふむ」
「何か考えてる、おっさん?」警告なしにガトが隣に現れ、彼の視線を追った。
「あの二人だ」リラの空中戦へと顎を向け、それからデッキの向こうのタノーニの相手へ。「双子、ってのは何が双子なんだ?」
ガトが目を細めた。「双子が全部そっくりとは限らないよ」
「わかってる。そんなことはわかってる」わずかに自分自身へ苛立ちながら言った。「でも双子と聞いたら、まず同じ顔を想像するだろ? するよな? それにラステッド・スパイアのばあさんは天使だなんて一言も言わなかった。黒翼と白翼と言ってくれれば話が早かった。ばあさんが言ったのは――」
「何の話してるの、おっさん? 何のばあさん?」
サイラスが止まった。
より正確には、自分の口が自分に相談せず独自の判断を下したのを、今しがた目撃した男の表情をした。
「おっと」穏やかに言った。「喋りすぎた。後ろ、チビ」
ガトが振り返った。
左から男が飛びかかってきた。ガトは周囲全員より明らかに小さい環境で生き延びることに慣れた者の、流れるような反射でその腕の下を潜り抜けた。男は顔面からコンテナに突っ込んだ。
サイラスはそれ以上何も言わなかった。
視線はすでに別のところへ向いていた。
司令塔。デッキを追うカメラ。貨物ラインの向こう、船体の縁。
三十七メートル下。昼間の光の中では薄く、淡い瘴気。地面はまだ透けて見えた。
ガトはしばらく彼についていき、それからゆっくりと目を細めた。
「……撃つのやめたよ、おっさん」
「鋭い」サイラスは言った。「それはたいてい、俺が何か考えついたサインだよ」
それはガトを少しも安心させなかった。
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ミカを見た。
「姫様」
「今それどころじゃありません!」エストックで衛兵の盾を叩き割りながら答えた。刃が光とともに炸裂し、光のランスが後方の攻撃者二人をまとめて吹き飛ばし、群衆を後退させた。
「ですね」残光を避けてコンテナの陰に転がり込む誰かを、眺めながら言った。
ミカの動きに寄り添うように人混みを漂い、周囲の混沌をよそに怠惰で急かない足取りで、左に一発、右に一発。どちらも手首を直撃し、二つの武器がデッキに転がった。
「あの天使二人、厄介ですよね。それにこのチンピラども、誰かが本格的にやり始めない限り止まらない」
「だめです! そんなことはできません!」
「わかってます、わかってますよ」ほとんど宥めるように言った。「俺も血まみれの光景は趣味じゃない。だからこそ、考えがあるんですよ」
ミカはエストックで次の攻撃者をいなした。刃が閃き、光の奔流がサイラスの肩の横を轟音とともに通り抜け、後方の貨物クレーンの支柱を抉った。
その間も、サイラスはミカとのやり取りに紛れながら、ゆっくりとデッキを横切る方向へ動き続けていた――一歩こちら、二歩あちら。貨物の積み上げが薄くなり、船体の手すりが、それほど遠くない場所に見え始めるまで。
ミカがふとサイラスを見た。彼の表情を読んで、半秒だけ止まった。
「……計画があるの?」
「計画と呼んで差し支えないものが、一つ」
ガトが近くの樽をよじ登り、彼のもう一方の肩の横に陣取った。息が上がっている。
「ずっと縁の方に向かって動いてたよね」ゆっくりと言った。表情が疑惑と、じわじわ広がる恐怖の間で揺れている。「まさか飛び降りて逃げるとか、言わないよね」
ガトを見下ろした。ゴーグルがまたずれている。その奥の目は、彼女の外見が示す混沌よりはるかに鋭かった。
「馬鹿なことを」手を振った。
空いた腕がミカの肩にさりげなく回り、引き寄せた。ミカは同時進行で六人を相手に剣を振りながら、飛んでくる刃を弾き光の奔流を撃ち続けていた。
「一人で逃げてもつまらないからな」
ミカの息がわずかに乱れた。腕の重みをちらりと確認し、それから手の中の剣に視線を戻した。今この状況で、この接近を驚くほど素直に受け入れながら。
「……ハイ氏、少々集中が乱れますわ」
「よく適応してますよ、姫様」
衛兵が飛び込んできた。ミカは向き直り、流し、エストックを突き出した。また光が炸裂し、六人ほどの攻撃者が後退した。
ガトに目を向けた。
「ところで、チビ。油圧ロッドはまた落としてないよな?」
ガトは魂の深いところで侮辱を受けた顔をした。
「落としてない。なんで落とすの。袋の中にある」
「それはよかった。人は間違える」
「人は間違えるかもしれないけど」ガトはすでに袋に手を突っ込みながら宣言した。「あたいは間違えない!」
ロッドを意気揚々と取り出した。
「ああ」穏やかに言った。「その通りだ」
そのままガトの手から直接、抜き取った。
「俺の方が使い道がある」
「ちょっと!」
ガトがすぐに飛び上がって取り返そうとした。サイラスは片手でロッドを何気なく頭上に掲げ続けた。
ミカはそれだけの混沌の中でも気づいた。
「……お二人は何をしているの?」
サイラスは質問を完全に無視した。
目が、ほんの一瞬、船体の縁へ向いた。それからミカへ戻った。
「姫様、瘴気についてどう思います?」
「危険だと思っています」
「ですよね、技術的には。でも今日は薄い。昼間だし、モンスターは下の方にいる」手すりの方へ顎を向けた。「それに三十七メートルしかない」
「……三十七メートルというのは、どういう意味ですか?」
ミカはサイラスの視線を追い、縁の方を見た。それから彼に戻した。
まったく察していない。
「ハイ氏?」
「大丈夫です」
彼女がまた流れていかないよう、手首をそっと掴んで引き戻した。そのまま、自分の側に引き寄せた。
「そばにいて」
ミカが体重の移動を感じ取るより先に、サイラスは動いていた。
リボルバーが短く吠え、最も近い攻撃者をまとめて払った。殺さない、ただ空間を作る。
「ハイ氏――」
サイラスが後退した。
意図的な一歩が、手すりの縁ぎりぎりで足場を失った。
左腕がミカの後ろから回り込み、上半身を捉えた。力強く、制御された拘束で。彼女を自分の胸に引きつけながら――これを偶然と見誤る余地がない程度の意図で。やさしくはない、ただ正確だった。手すりが消えていく中でも、もう一方の手は油圧ロッドを握ったまま微動だにしない。
ミカが体を硬直させた。考えるより先に、鋭い息が漏れた。足場とともに、重心が消えた。
「ハ、ハイ氏――」
「下を見るな」サイラスは言った。
一拍。
「いや、見ろ。どこに着地するか確認しないといけない」
二人は同時に落ちた。離れる動作はなく、ただ手すりの縁から続く一連の動きとして。サイラスは空中で体を回し、ガトが背中にしがみつく中、ミカを自分の脇腹に守りながら。世界が、足元から抜け落ちていく。
上では戦闘が続いていた。鋼が鳴り、翼が空気を引き裂いた。傭兵と衛兵たちは混沌に手いっぱいで、三つの影が白い瘴気の帳の中に消えていくのに気づかなかった。
気づいたのはガトだけだった。
落下しながら、頭だけが上を向いた。
「……おいっ!!」




