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アイアン・ノマドからの脱出(3)

 怒号と靴音が、飢えた獣のように背後から迫ってきた。


 タノーニが装甲の肩で隔壁扉に体当たりすると、金属の悲鳴とともに吹き飛んだ。


 狭い整備通路から広い居住区の廊下へ飛び出した瞬間、全員が同時に悟った。まずい。


 追手の衛兵が後ろから怒涛のように詰め寄ってくる。


 同時に、前方の突き当たりから、別の衛兵隊が角を曲がってきた。追手よりは少ない。


 誘導されている。


「左!」リラが叫んだ。


「右の通路が階段だ!」タノーニが言い返した。


「どっちにも衛兵がいる!」ガトが怒鳴った。


 サイラスは迷わなかった。


「右!」すでに動きながら吠えた。「そっちの方が少ない。難しい話じゃない――走れ走れ、足だけ動かせ!」


 最初の銃声が炸裂するのと同時に、ミカの腕を掴んで右の廊下へ強引に引き込んだ。


 角を曲がった瞬間、武器を構えた衛兵三人と正面から鉢合わせした。


 一発目が廊下を駆け抜けた。


 弾はミカの肩を直撃した――そして止まった。鎧の表面から二インチ手前で、金色のゆらめきが陽炎のように広がる。潰れた弾が、情けない音を立てて絨毯に落ちた。


 ミカは滑るように止まり、細身のレイピアを一連の優雅な動作で抜いた。刃の内部エンジンが柔らかな水晶の音とともに起動し、薄い刃が微かに震える。


「お下がりください!」誠心誠意の苛立ちを込めて呼びかけた。「わたくしたちはご迷惑をおかけするつもりはございません――」


 三人が一斉に引き金を引いた。


 弾がきらめくバリアに弾かれ、床に転がる。


 ミカの明るい表情が、一段階だけ曇った。「……そうですか」ほとんど失望したようにつぶやいた。


「フィデイ」サイラスはうっとりしたように呟きながら、滑らかに彼女の左肩の後ろへと回り込んだ。「古代のエンジェル・テック製個人防護シールド。非常に高価。非常に美しい。――ちょっとだけ貸してもらえません?」


「わたくしのバイオメトリクスに調整されていますので」ミカが首をわずかに向けた。


「残念。では……前を向いていてください」穏やかに、しかしきっぱりと彼女を敵の方向へ向け直しながら、自分はしっかりその背後にすっぽりと収まった。


 脇から顔を出し、黒いリボルバーを一発。衛兵の拳銃が鋭い音を立てて手から弾き飛んだ。


 ミカはレイピアの切っ先を前方へ向けた。パルスエンジンが一段と輝く。鋭く優雅な突きとともに、三日月形の圧縮空気の刃が廊下を切り裂いた。


 見えない衝撃波が三人を波のように吹き飛ばし、壁に叩きつけた。


「誠に申し訳ございません!」ミカが彼らの後ろ姿に叫んだ。


 サイラスが低く口笛を吹いた。「そのレイピアも……エンジェル・テック製ですか。優雅で、凶悪で、実に趣味がいい」


「では俺は」と穏やかに付け加えた。「ここに、このまま、立っていましょう」


 まったく動かなかった。ミカの肩の後ろに、ぬくぬくと収まったまま。


---


 サイラスが快適に陣取っている間に、廊下のさらに先の脇扉から、別の衛兵の一団が飛び出してきた。


 タノーニは何も言わなかった。


 短い方の刃を抜き――片刃の、使い込んで馴染んだ剣を――自分の居間を歩くような足取りで前に出た。


 警棒を手に衛兵が飛びかかる。タノーニはほとんど動かなかった。剣が外科的な精度で手首を叩く。男の手が開き、武器が床に落ちた。


 もう一人が突進した。斜めに受け、勢いを流す。衛兵は前のめりに顔面から壁に突っ込んだ。


 三人目がライフルを構える。タノーニはすでにその懐にいた。刃の端が前腕にそっと触れる。衛兵は固まった。


 残りの四人がためらい、じりじりと後退した。


「賢い選択ですな」サイラスはミカの肩越しに、感心した目で言った。「若者諸君」


---


 頭上から、聞き覚えのある騒がしい声が換気口のグレートを通して響いた。


「下の階段、塞がれてる!」ガトが叫んだ。油汚れの顔がグレートにひょっこり現れ、ゴーグルが興奮に光っている。「扉もがっちり封鎖! 衛兵だらけ!」


 走りながら上を見た。「どこほっつき歩いてた、この小ネズミめ」


「ダクトの方が速いもん!」ガトがにやりとした。「あたいくらい小さいと、これ楽勝! 超便利!」


 リラがうんざりしたため息をついた。「あのロッドを盗んだあなたのせいよ。そこから次の扉を開けられる?」


「魔法使いじゃないんだって、リラ!」油圧ロッドをぶんぶん振りながら言った。「繋がってないから無理! パネルか端末か……とにかく脈のあるものに触らないと――!」


 廊下の後方から第二の衛兵隊が現れた。


「上だ!」サイラスがすぐに決めた。


「上」リラが同意し、すでに動いていた。


 出会ってから、これほど素早く意見が一致したのは初めてだった。


---


 階段を駆け上がる。


 脇扉からいきなり衛兵がミカの目の前に飛び出してきた。


 サイラスが霞のように動いた。一歩踏み出し、錆びたショットガンの銃床を男のこめかみに鈍い音とともに叩き込む。衛兵はその場で崩れ落ちた。


 ミカは急ブレーキをかけ、倒れた男を見下ろした。目に見えて罪悪感が滲む。注意深くまたいで通り過ぎながら。


「本当に申し訳ございません……」小さく言った。


「殴った人全員に謝るのか?」眉を上げた。


 ミカは真剣に頷いた。まだ倒れた衛兵を振り返りながら。「礼儀として当然かと。この方たちはお仕事をしているだけです。大抵は、家族を養おうとしている普通の方でしょうから」


「あなたを牢屋に入れようとしてますよ、姫様」乾いた声で言った。


「だからといって、失礼にしていい理由にはなりません」それが世界で最も自明なことであるかのように、完全な誠意をもって返した。「親切心は、何も失わない。こんな時代でも」


 口を開き、考え直し、閉じた。いくつかの議論は、息の無駄だった。


---


 プロムナード階への階段は、不気味なほど無人だった。タノーニはすぐに気づき、気に入らなかった。


「上から追ってこない」静かに言った。「誘導している」


「ああ、なるほど」サイラスも同じく低く、どこか感心したように呟いた。「……かなり心配すべきですかね、これは」


 リラが左手の大型補強扉を指した。「プロムナード階への別入口がここにある。封鎖されている」


 扉の隣に制御パネルがあった。ガトはすぐに小さな手を押し当て、目を半分閉じた。指先でかすかに火花が散る。


「ダメだ」ぼそりと言った。「下も左も右も全部。エレベーターもブリッジからかけられてる」


 パネルに繋がったままのガトの顔のすぐそばに身を屈め、耳元に直接語りかけた。「天才テクノマンサー殿。このガラクタを丸ごと止めることは? それかせめて、このフロアの扉という扉を全部ぶっ開けることは、できますかね」


 集中を切らさず、鼻にしわを寄せた。「深いとこは無理。頭いい誰かがわざとやってる」


 静かに息を吐いた。「ならそいつの仕事を面倒にしてやろう。繋がってる扉は全部開けろ。武器庫でも食料庫でも何でもいい。ごちゃごちゃになればなるほど、俺たちが紛れ込みやすくなる」


「……やってる」ガトの指がパネルの上を踊った。


 しばらくして、プロムナードの扉が蒸気を吐いて開いた。


「全員入れ!」リラが命令した。


 全員が駆け込んだ。入り切ると同時に、ガトがもう一度パネルを叩く。重い扉が背後で満足のいく音とともに施錠された。


---


 プロムナード・デッキは、別世界のように彼らを迎えた。


 狭く唸りを上げる下の通路とは打って変わり、上層ギャラリーは恥ずかしくなるほど広かった。荒野を見下ろすアーチ形の高い窓と開放バルコニーが続く、長く幅広のホール。色あせた金箔の飾り蛇腹と踏み荒らされたビロードのロープが、かつての栄光を静かに語っていた。それでも数軒の店が、しぶとく商売を続けようとしている。


 サイラスはほとんど無意識に、最も近い窓へと吸い寄せられた。


 はるか眼下――三十七メートル下――砕けた大地がゆっくりと流れていく。白い瘴気(ミアズマ) が岩の間を亡霊の川のように漂い、昼間の光の中ではまだ地面が透けて見えた。アイアン・ノマドの巨大な無限軌道が、穏やかな水面を切る船のようにそれを踏み越えていく。


「三十七メートル」独り言のように呟いた。眼下の荒野を眺めながら。


 リラが鋭い横目を向けた。「何を測っている?」


 振り向いて、実に無邪気な顔をした。「別に大したことじゃないよ。ただ……ふと思ってね。高いところに立つと、あの不思議な衝動が浮かびませんか。飛び降りたらどうなるんだろう、って」


 リラはぼんやりと彼を見た。「浮かばない」


「ですよね」にやりとした。「あなたには翼がある。ずるいですよ、本当に」


 リラの黒い翼が苛立たしそうに揺れ、顔を背けた。


 ミカがサイラスの隣に寄り、目を見開いて眼下の白い霞を見つめた。「上から見ると……ほとんど穏やかに見えますね」


 ガトがすぐに隣に顔を押しつけ、ガラスを息で曇らせた。


「昼間はモンスター、大体ミアズマの中に引っ込んでるから」嬉しそうに言った。「明るいの嫌いだし。でも徒歩で下にいたら――」


「恐ろしい話だ」わざとらしく全身を震わせながら窓から離れた。「実に恐ろしい。――ところでチビ、そのタヌキみたいな小さい手でやることがあるんじゃないか? 怖い景色の鑑賞会を開く許可は出した覚えがないぞ、俺は」


「ガト!」リラが鋭く呼んだ。


「あ――そうだった!」ガトがはっとした。


 ガラスから引き剥がされるように離れ、両手でパネルを叩いた。壁の奥で機械が唸り――そして応答した。負荷の下でシステムが目を覚ます。


 階段を、靴音が轟いて上ってきた。


 ミカがすっと背を伸ばした。


 声が続く。さらに靴音。


 追手の衛兵たちがプロムナード階へと大挙して溢れ出た。


 一枚、また一枚と、重いセキュリティシャッターが背後で叩き落ちた。廊下を密閉された区画に切り刻み、追手を小さな、苛立つ塊に分断していく。


「これで遅くなる!」両手を引いて、指から静電気を振り払いながら得意げに叫んだ。「うまくいけば自分たちで転び合うかも!」


「よくやった」手を伸ばし、ガトの髪をくしゃりと撫でた。


 ガトがぱっと顔を輝かせた。


 リラが疑わしげな横目を送った。「その子に妙に優しいわね」


 無邪気に瞬いた。「何か変ですか?」


「……なんか気持ち悪い」リラがぼそりと言った。


 笑った。「混沌として小さいものには弱いんだよ。特に役に立つやつにはね」


 一行は歩み続けた。


---


 上部貨物デッキが、別世界への入口のように目の前に開けた。


 薄暗く唸る通路を抜けた後では、強烈な陽光と風が顔に叩きつけてくる。アイアン・ノマドの圧倒的な規模が眼前に広がった――幾重にも重なる装甲、軋む巨大な無限軌道、動く要塞の背骨のように並ぶ兵装。


 デッキそのものは純粋な混沌だった。


 コンテナ、露店、小型輸送機がひしめく開放空間。武装した一行が突進してくるのを見た民間人たちは、鍛え抜かれた生存本能で瞬時に散った。


 視線を走らせ、左舷側の高台にある司令塔をすぐに見つけた。


 もう見られていた。


 デッキ全体にスピーカーが轟いた。


「アイアン・ノマドの皆さん……」


 深く、静かで、絶対的な権威を帯びた声だった。デッキ上のあらゆる会話が、瞬時に止まる。


 アイアン・ノマドの主、イスタダ・バスタだ。


「我々のおもてなしが、どうやら気に入らなかったお客様が何名かいらっしゃいます」続けた。「白い鎧に赤いケープの少女と、小さな子ども。生きたまま無傷で連れてきた者には、クルーへの三倍報酬を出そう」


 危険な間が落ちた。


「その他の皆さんへ……俺の給料リストにない者でも、どちらか一人でも連れてきたら、値段は自分でつけていい。金、食料、安全な通行証――今日は気前がいい気分だ」


 デッキのあちこちで、頭が向き始めた。三つ。五つ。やがて数十。好機の臭いを嗅ぎつけた者たちの、ゆっくりとした飢えた計算が動き出す。


「最後に……」イスタダの声が、暗く、どこか楽しそうな色を帯びた。「紅の狐(レッド・フォックス)が一緒だ。サイラス・ハイ。あのバカみたいな赤いコートの男だ」


 意図的な間。


「個人的な恨みのある方はいるかな? 今がチャンスだ」


「ああ、これは……」サイラスは芝居がかってため息をついた。「実に、実に都合が悪い」


 ゆっくりとミカの後ろに下がり、彼女を盾にした。滑らかな動作でリボルバーのシリンダーを開き、二発を装填し、パチンと閉じた。

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