第四十九話「文化祭前日と生徒会の見回り」
俺は神代レン。普通の高校生――だったが、スキル《神核生成》で炎の擬神ソレイナが現れ、自然の擬神ユシル、操りの擬神アヤネも加わり、生徒会に入ることになった。
――文化祭前日。
学校全体が、いつも以上に騒がしい。
廊下には段ボールや装飾品が並び、あちこちから笑い声や怒鳴り声が聞こえてくる。
「そっちテープ足りるかー!?」
「机運ぶの手伝ってー!」
「ペンキ触るなぁぁぁ!!」
「……すごいな」
思わず呟く。
「活気がありますね」
ソレイナが周囲を見回す。
「楽しそ〜〜」
ユシルはふわふわ浮きながら飾りを眺めている。
「ですが、人が多すぎます」
アヤネは少し警戒気味だ。
「まぁ今日は特にな」
文化祭前日。
準備で全校生徒が動き回っている。
「おーい神代!」
声をかけられ振り向く。
朝比奈咲夜だった。
「生徒会長が呼んでるよー」
「修也が?」
「うん、生徒会室だって」
「了解」
――生徒会室。
扉を開けると、すでに全員揃っていた。
天城修也、氷室凛、月影詩乃。
そして生徒会メンバーたち。
「来たね、レン」
「あぁ、何かあったのか?」
修也は軽く頷く。
「文化祭期間中の警備についてだ」
「警備?」
「最近、例の件もあるからね」
例の件。
つまり、トランセンド・ラボ。
空気が少しだけ重くなる。
「一般人も大勢来る」
氷室凛が静かに言う。
「何か起きてからじゃ遅いわ」
「だから生徒会で校内巡回を行う」
修也が続ける。
「まぁ、文化祭を楽しみながらでいい」
「それなら気楽だな」
「主様、警備任務ですね」
「任務〜〜」
ユシルは相変わらず緩い。
「警戒レベルは上げておきます」
アヤネは真面目にメモしていた。
「それと」
修也がレンを見る。
「レン達には特に動いてもらう可能性がある」
「やっぱり狙われる可能性か」
「あぁ」
生徒会室が静かになる。
その空気を壊したのは咲夜だった。
「でもさ!せっかくの文化祭なんだから楽しも!」
「……お前は通常運転だな」
「当たり前でしょ!」
笑いながらレンの肩を叩く。
「出店とか回ろうよ!」
「時間あればな」
「やった!」
その様子を見て、凛がため息をつく。
「緊張感がないわね」
「いいじゃんいいじゃん!」
「まぁ、少しくらいは気を抜ける方がいい」
修也も苦笑していた。
会議が終わった後。
レン達は校内を軽く見回ることになった。
廊下。
「うわ、すごい飾りだな」
教室ごとにテーマが違う。
迷路、喫茶店、お化け屋敷。
どこも準備で忙しそうだ。
「主様、あちらから甘い匂いが」
「クレープ試作中らしいぞ」
「食べられる〜?」
「お前はそればっかだな」
「えへへ〜」
ふと、詩乃が立ち止まる。
「……」
「どうした?」
「少しだけ、嫌な感じ」
空気が変わる。
ソレイナも周囲を見渡した。
「……確かに」
「微弱ですが、異常反応」
アヤネも警戒する。
レンは静かに辺りを見る。
だが、周囲は普通の生徒ばかり。
笑い声。
作業音。
いつもの学校。
「気のせい……か?」
「分かりません」
詩乃は小さく本を抱きしめる。
「でも、何かいる気がする」
その瞬間。
窓の外。
校舎の屋上に、“黒い影”が立っていた。
一瞬だけこちらを見る。
そして――消えた。
「……っ!」
レンが目を見開く。
「主様!」
ソレイナが前に出る。
だが、もうそこには誰もいない。
静かな風だけが吹いていた。
「……今の、見えたか?」
「はい」
「敵性存在の可能性があります」
アヤネの声が低くなる。
ユシルも珍しく真面目な顔だった。
「文化祭……ほんとに大丈夫かな〜」
夕焼けに染まる校舎。
その影で、“何か”が動き始めていた。
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次回もお楽しみに




