第四十六話 「にぎやかな朝と少しの変化」
俺は神代レン。普通の高校生――だったが、スキル《神核生成》で炎の擬神ソレイナが現れ、自然の擬神ユシル、操りの擬神アヤネも加わり、生徒会に入ることになった。
――翌朝。
「主様、起床の時間です」
「……あと五分」
「却下です」
「早いな判断が……」
布団にしがみつくが、容赦なく引き剥がされる。
「主〜、朝だよ〜」
「……うぅ」
「本日の授業は遅刻厳禁」
「わかったよ起きるって……」
観念して起き上がる。
最近、目覚ましよりも彼女たちの方が強い気がする。
リビングに降りると、母が朝食を並べていた。
「おはよう、レン」
「おはよ」
「ソレイナちゃんたちもおはよう」
「おはようございます」
「おはよ〜」
「おはようございます」
すっかりこの光景も日常になってきた。
「レン、最近ちょっと雰囲気変わった?」
「え?」
「なんか、しっかりしてきたというか」
「そうか?」
「いいことよ」
母は嬉しそうに笑う。
登校中。
「主様、周囲に異常はありません」
「朝から警戒モードだな」
「常に警戒は基本です」
「まぁな」
「平和〜だね〜」
ユシルは相変わらずのんびりしている。
「この状態が維持されることが理想」
アヤネが静かに言う。
「だな」
何も起きないのが一番だ。
――教室。
「お、神代」
クラスメイトが声をかけてくる。
「最近すごいよな、お前」
「いや別に……」
「いやいや、あの擬神だろ?」
視線がソレイナたちに向く。
「すげぇ強いし」
「……まぁな」
どう返せばいいのか分からず曖昧に答える。
「でもよ、お前も変わったよな」
「そうか?」
「あぁ、前より堂々としてる」
「……」
少し考える。
確かに、前の俺は目立たないようにしていた。
関わらないように。
波風立てないように。
でも今は――
「……そうかもな」
小さく答えた。
放課後。
「今日はどうする?」
「特に予定ないな」
「では、復習を行いましょう」
「護身術か?」
「はい」
「真面目だなぁ……」
「主〜がんばる〜?」
「まぁな」
昨日より少しだけ慣れた動きを繰り返す。
「重心が安定しています」
「ほんとか?」
「はい、改善が見られます」
「おぉ……」
自分でも分かるくらい、動きがスムーズになっていた。
「やるじゃん主〜」
「だろ?」
ちょっとだけ誇らしい。
「主様」
ソレイナが静かに声をかける。
「はい?」
「その成長は、確実に我らにも影響を与えています」
「またその話か」
「はい」
「主様が強くなるほど、我らの力もより引き出されます」
「……連動してるんだな」
「その通りです」
「なるほどな」
それなら――
もっと強くなる意味がある。
帰り道。
夕焼けが昨日より少しだけ濃く感じる。
「主様」
「ん?」
「本日も安定した一日でした」
「だな」
「こういう日が続くといいね〜」
「……あぁ」
でも、分かっている。
この平和が、ずっと続くわけじゃないことも。
「だからこそ、今のうちにできることをするか」
「はい」
「うん〜」
「了解」
小さな変化。
小さな成長。
それが積み重なって――
いつか大きな力になる。
そんな気がしていた。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




