第四十五話 「穏やかな放課後とそれぞれの役割」
俺は神代レン。普通の高校生――だったが、スキル《神核生成》で炎の擬神ソレイナが現れ、自然の擬神ユシル、操りの擬神アヤネも加わり、そして生徒会に入ることになった。
――放課後。
「はぁ……やっと終わった」
教室で大きく伸びをする。今日は特に何事もなく、平和な一日だった。
「主様、お疲れ様です」
「おう、ソレイナもな」
「主は授業中ずっと眠そうだったね〜」
「うるさい、ちゃんと聞いてたっての」
「寝てた時間、三十分以上」
「アヤネ、細かい!」
三人に囲まれながら、教室を出る。
廊下は放課後特有のざわめきに包まれていた。
「今日はどうするの?」
ユシルがふわりと浮かびながら聞いてくる。
「今日は生徒会ないしな……」
少し考える。
「軽くトレーニングでもするか」
「護身術のですか?」
「あぁ、昨日教えてもらったやつな」
「良い判断です」
アヤネが頷く。
――校庭の隅。
人の少ない場所で構えを取る。
「こう……だったよな」
足の位置、重心、呼吸。
昨日教わったことを思い出しながら動く。
「主様、肘が少し下がっています」
「え、こうか?」
「はい、その状態を維持してください」
「おぉ……先生みたいだな」
「最適化の結果です」
淡々とした返答に苦笑する。
「主〜、それやる意味あるの〜?」
ユシルが首を傾げる。
「あるだろ」
「いざって時、自分の身守れるし」
「そっか〜」
「でも主は守る〜」
「頼もしいけどな……」
それでも、ただ守られるだけじゃダメだと思う。
少しでも、並べるように。
「主様」
ソレイナが静かに言う。
「その意志は、とても重要です」
「……そうか?」
「はい。主様が強くなろうとする限り、我らもより力を発揮できます」
「連動……してるってことか?」
「その通りです」
「へぇ……」
少し意外だった。
しばらく練習を続ける。
最初よりは、少しだけ動きがマシになった気がする。
「……よし、今日はこんなもんか」
息を整えながら立ち上がる。
「成長率、良好」
「ほんとか?」
「はい」
「やったね〜主〜」
「ありがとな」
三人の言葉に、自然と笑みが浮かぶ。
帰り道。
夕焼けが街を染めている。
「こういうのも、悪くないな」
ぽつりと呟く。
戦いもある。
危険もある。
それでも――
こうして過ごす時間があるから、前に進める。
「主様」
「ん?」
「本日も、無事で何よりです」
「……大げさだな」
「重要なことです」
「そ〜だよ〜」
「主様の安全、最優先」
三人の声が重なる。
「あぁ……」
「これからも頼むな」
「はい!」
「は〜い」
「了解」
穏やかな放課後。
だがその裏で、確実に何かが動いている。
それでも今は――
この日常を、大切にしたかった。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




