第三十八話 「地下を這う影」
俺は神代レン。
普通の高校生――だったが。
スキル《神核生成》で炎の擬神ソレイナが現れ、
自然の擬神ユシル、操りの擬神アヤネも加わり、
そして生徒会に入ることになった。
――商店街。
「地下……移動する“何か”」
アヤネの言葉で、空気が変わった。
「……場所は?」
「この真下ではありません。ですが、近い……追跡可能です」
「よし」
レンは周囲を見渡す。
休日の人混み。
ここで戦闘はまずい。
「人の少ないところに誘導できるか?」
「……可能です」
アヤネが目を閉じる。
地面に手を触れた瞬間――
「地形、操作開始」
ドクン。
わずかに、大地が脈打った。
「対象の進路を制御します」
「そんなことまで……」
咲夜が驚く。
「地下の構造を変えてるのか……?」
「はい」
アヤネは淡々と答えた。
「“通りやすい道”を作れば、自然とそこに誘導されます」
「……なるほどな」
「主様」
ソレイナが一歩前へ。
「戦闘の準備を」
「わかってる」
ユシルも、いつものゆるさを少しだけ引っ込める。
「ん〜……ちょっとめんどくさいけど〜……やるか〜」
「咲夜」
「うん、わかってる」
さっきまでの軽い雰囲気は消えていた。
全員が、戦闘態勢へ移行する。
◇◇◇
――商店街裏路地。
人気のない細い通路。
「ここか」
「はい、間もなく……来ます」
その時。
ゴゴゴゴゴ……
地面が震える。
「来るぞ!」
ドンッ!!!
アスファルトを突き破り、“それ”は現れた。
「……は?」
レンは思わず声を漏らす。
それは――
巨大な“腕”。
土と岩でできた、異様な腕が地中から突き出していた。
「なにこれ……!」
咲夜が叫ぶ。
「……人型ではない?」
ソレイナが警戒する。
「違います」
アヤネが首を振る。
「これは“操られている地盤”です」
「……つまり?」
「本体は、別にいます」
その言葉と同時に――
ズズズズズ……!
さらに複数の腕が地面から現れる。
「うわ、増えた〜……」
ユシルが少し引く。
「面倒なタイプだな……!」
レンが舌打ちする。
「主様、指示を」
「まずは動きを止める!」
「了解です」
アヤネが前に出る。
「制御権、奪取開始」
地面に触れる。
「……!」
しかし――
「……干渉、拒否されています」
「なに!?」
「外部からの強い制御……おそらく、同系統の能力者」
「トランセンド・ラボか……!」
レンが歯を食いしばる。
「ソレイナ!」
「はい!」
炎が爆ぜる。
「――《紅蓮斬》!!」
ドォン!!
腕を焼き払う。
だが――
ズズズズ……
すぐに再生する。
「再生!?キリがないよこれ!」
咲夜が叫ぶ。
「……本体を叩くしかない」
レンが呟く。
「アヤネ、位置は分かるか!?」
「……解析中……」
わずかな沈黙。
「……見つけました」
アヤネが目を開く。
「地下、さらに深部」
「行けるか?」
「……可能です」
アヤネが手をかざす。
その瞬間――
地面が割れ、階段のような構造が形成される。
「道、生成しました」
「……マジかよ」
「主様、どうしますか」
ソレイナが問いかける。
レンは、一瞬だけ考え――
「……行く」
「元を断つ」
「了解です」
ソレイナ、ユシル、アヤネ、そして咲夜。
全員が頷く。
「じゃあ……潜るぞ」
地下へと続く闇。
その奥にいる、“操っている者”。
新たな戦いが、静かに口を開けていた。
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次回もお楽しみに




