第三十三話 「操りし鉱拳」
俺は神代レン。
普通の高校生――だったが。
スキル《神核生成》で炎の擬神ソレイナが現れ、
自然の擬神ユシル、操りの擬神アヤネも加わり、
そして生徒会に入ることになった。
校庭――
「……」
アヤネは無言で、大男を見据えていた。
「小娘、俺は他の奴らとは違うぞ」
低く響く声。
圧だけで空気が震える。
「なにかいい案があるんだな、やれ!」
レンが叫ぶ。
「はい……」
アヤネが小さく頷く。
「――岩ノ拳」
ゴゴゴゴゴ……!!
地面が震え、周囲の鉱物がアヤネの両腕へと集束する。
瞬く間に形成されたのは――
巨大な岩の拳。
「……っ」
咲夜が言葉を失う。
「すごい……」
凛が目を見開く。
「これは大物だね」
天城が感心する。
「大物……」
月影はノートに何かを書き込んでいた。
「さすがだね〜」
ユシルがふよふよと笑う。
「はい」
ソレイナも静かに頷いた。
「面白い!」
大男が歪んだ笑みを浮かべる。
「その拳ごと砕いてやる!!!!」
ドンッ!!
地面を砕きながら突進してくる。
「……やれるものなら!」
アヤネが迎え撃つ。
――激突。
ドォォォンッ!!!
岩の拳と、大男の拳が正面からぶつかる。
衝撃波が校庭を駆け抜ける。
「ぐっ……!」
アヤネの体がわずかに後ろへ滑る。
「押されてる……!」
レンが歯を食いしばる。
「ははははは!!その程度かァ!!」
大男が力を込める。
バキッ……!
「っ……!」
岩の拳にヒビが入る。
「アヤネ!」
「……まだです」
アヤネは静かに言う。
その瞳は、まったく揺れていなかった。
「鉱物の強度……再構築」
ヒビが入った部分に、新たな鉱物が流れ込む。
バキバキバキッ――再形成。
「なに……!?」
大男の顔に初めて驚きが浮かぶ。
「私は……操るだけではありません」
アヤネの足元の地面が波打つ。
「“構造”も、“密度”も、“形状”も――」
「すべて制御できます」
ドォンッ!!
今度はアヤネが押し返す。
「ぐっ……!」
大男の足が地面にめり込む。
「……今です」
アヤネが小さく呟く。
「ソレイナ!」
レンが即座に反応する。
「はい!」
炎が爆ぜる。
「――《紅蓮爆斬》!!」
ユシルも動く。
「――《翠流加速》……」
植物の力が、ソレイナの動きを一気に加速させる。
炎と自然が重なり――
「なっ……!?」
大男が振り向く、その瞬間。
ドォォォォン!!!
直撃。
爆炎が視界を覆う。
「……」
煙がゆっくりと晴れていく。
その中心には――
「……まだだ」
立っている大男の姿。
「嘘だろ……」
レンが息を呑む。
身体は焼け、ひび割れている。
だが、その目はまだ死んでいない。
「いい……いいぞ……!」
狂気じみた笑み。
「もっとだ……もっと見せろ!!」
さらに黒い靄が濃くなる。
「……まずいですね」
ソレイナが低く呟く。
「完全に暴走が進行している」
「……長引くと危険〜……」
ユシルも珍しく真面目な声。
「……なら」
アヤネが一歩前に出る。
岩の拳が、さらに巨大化する。
「出力、引き上げます」
ゴゴゴゴゴゴ……!!
校庭全体の鉱物が、アヤネに呼応する。
「主様」
アヤネは振り返らずに言った。
「最終命令を」
レンは、一瞬だけ迷い――
拳を握る。
「……止めろ」
「完全に」
アヤネは、静かに頷いた。
「了解しました」
その瞬間――
大地が、鳴いた。
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