第三十一話 「静かな日常と、張り詰めた気配」
俺は神代レン。
普通の高校生――だったが。
スキル《神核生成》で炎の擬神ソレイナが現れ、
自然の擬神ユシル、操りの擬神アヤネも加わり、
そして生徒会に入ることになった。
それから数日――
「……平和だな」
校庭を眺めながら、レンはぽつりと呟いた。
「主様、それは良いことです」
ソレイナが隣に立つ。
「危険がない時間は貴重です」
「うん〜……ねむい〜……」
ユシルはベンチで半分寝ている。
「……この時間を記録しておきましょう」
月影詩乃は相変わらずノートを開いていた。
「記録する意味あるのかそれ」
「後で役に立つかもしれない」
「ふふ、いい雰囲気ね」
氷室凛が少しだけ柔らかい表情で言う。
「嵐の前の静けさ、ってやつじゃなければいいけど」
「やめろ、そういうこと言うの」
レンは肩を落とす。
その時。
「主様」
アヤネが小さく声をかける。
「……?」
「周囲の“鉱物”に、微細な異常があります」
「鉱物?」
レンが首をかしげる。
「校舎の基礎、地面、壁……すべてです」
ソレイナの表情が変わる。
「それは……干渉の痕跡です」
「干渉?」
天城修也がすぐに反応する。
「外部から、何かが“探っている”可能性がある」
空気が一気に変わる。
「……来てるってこと?」
咲夜が目を細める。
「まだ“侵入”じゃない」
凛が静かに言う。
「でも、準備段階ね」
レンはゆっくりと拳を握る。
「……トランセンド・ラボか」
誰も否定しなかった。
ユシルがぼんやりと目を開ける。
「……なんか〜……くる気配〜……」
「お前のそれ当たるから怖いんだよ」
レンは苦笑する。
「主様」
ソレイナが一歩前に出る。
「もし敵が来るなら――」
「分かってる」
レンは即答した。
「守る、だろ?」
「はい」
その言葉に、ソレイナは静かに頷く。
アヤネも小さく手を握る。
「命令があれば、対応可能です」
「いや物騒すぎるだろそれ」
その場にわずかな緊張と、いつもの日常が同居する。
「……でもさ」
レンは空を見上げる。
「まだ何も起きてないんだよな」
「はい」
天城が答える。
「だからこそ、今のうちに備える」
「だな」
静かな風が吹く。
それは確かに平和な時間だった。
けれど――
その平和は、長くは続かないことを誰もが感じていた。
そして、次に訪れる“波”は。
もうすぐ、すぐそこまで来ていた。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




