第二十九話 「兆しと選択」
俺は神代レン。
普通の高校生――だったが。
スキル《神核生成》で炎の擬神ソレイナが現れ、
自然の擬神ユシルも加わり、
そして生徒会に入ることになった。
最近――
「……増えてるな」
生徒会室で、天城修也が資料を見ながら呟く。
「異能暴走の件数?」
朝比奈咲夜が覗き込む。
「ああ。しかも場所がバラけ始めている」
「前は学園周辺に集中してたのに?」
氷室凛が眉をひそめる。
「意図的に広げている可能性があるな」
「……トランセンド・ラボ」
レンが小さく呟く。
「ああ」
天城が頷く。
「おそらく、あの組織の仕業だろう」
「目的は……実験、か」
「それだけとは思えないけどね」
咲夜が肩をすくめる。
「……数が増えれば、いずれ対応しきれなくなる」
月影詩乃がぽつりと言う。
「だからこそ」
天城が視線を上げる。
「戦力の強化が必要だ」
その言葉に、自然とレンの視線が集まる。
「……俺、か」
「君のスキルは特異だ」
天城ははっきりと言う。
「“神と同等の存在”を生み出す力」
「それが増えれば、対抗手段も増える」
「……でも、ランダムなんだろ?」
凛が確認する。
「ああ」
レンは頷く。
「どんな擬神が出るか分からない」
「当たりも外れもあるかもしれない」
「でも〜」
ユシルがふわりと割り込む。
「みんな、いいこだよ〜……」
「……まぁ、今のところはな」
レンは苦笑する。
「主様」
ソレイナが真っ直ぐにレンを見る。
「私は、どのような擬神が現れようと、共に戦う覚悟があります」
「……ソレイナ」
「主様が選ぶ道を、私は否定しません」
その言葉は、いつも以上に重かった。
「……選ぶ、か」
レンは静かに目を閉じる。
今までは、ただ“使った”。
けど――
次は、違う。
「……もし、変なの出たらどうすんだよ」
冗談っぽく言う。
「その時はその時でしょ!」
咲夜が笑う。
「対処するしかないわね」
凛も淡々と答える。
「……観察する」
月影は通常運転だった。
「……気楽だな、お前ら」
でも。
その軽さが、少しだけ背中を押した。
「……分かった」
レンはゆっくりと立ち上がる。
「次、やってみる」
その一言に、空気が変わる。
「タイミングは任せる」
天城が頷く。
「準備は整えておくわ」
凛が言う。
「楽しみだね〜!」
咲夜が笑う。
「……すぅ〜……すぅ〜……」
ユシルは寝ていた。
「お前は寝るな」
◇◇◇
――その夜。
レンの部屋。
「……」
ベッドに腰掛けながら、手のひらを見つめる。
《神核生成》。
それは、確かに強い力だ。
けど。
それ以上に――
“何が出るか分からない”。
「……ま、今さらか」
ここまで来たんだ。
引き返す理由はない。
「ソレイナ」
「はい、主様」
「ユシル」
「ん〜……なに〜……」
「……明日、やる」
その言葉に、ソレイナは静かに頷き。
ユシルはぼんやりと笑った。
「たのしみ〜……」
◇◇◇
――その頃。
水面の世界。
「……ついに来ますね」
茶色のフードの少女が呟く。
「主殿が、動く」
紫の少女が静かに言う。
「どきどきする〜!」
海色の少女がはしゃぐ。
「……次は、誰が選ばれるのか」
黄色の少女が目を細める。
「……準備はできています」
氷の少女が微笑む。
「いつでも」
水面が揺れる。
運命が、選ばれる。
次に現れる擬神は――
まだ、誰も知らない。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




