第二十六話 「星を描く者」
俺は神代レン。
普通の高校生――だったが。
スキル《神核生成》で炎の擬神ソレイナが現れ、
自然の擬神ユシルも加わり、
そして生徒会に入ることになった。
そして今――
「――迎え撃つ!」
倉庫の中で、異能暴走状態の男と対峙している。
「ガァァァァァ!!」
黒い靄が渦巻き、男が突進してくる。
「主様!」
「分かってる!」
レンは一歩後ろに下がる。
「ソレイナ!」
「はい!」
ソレイナが前に出る。
「――《紅蓮斬》」
炎をまとった大剣が振り抜かれる。
ドォン!!
だが――
「っ……!」
「弾かれた!?」
以前よりも明らかに硬い。
黒い靄が盾のように機能している。
「……つよいねぇ……」
ユシルがふわりと浮かびながら呟く。
「じゃあ……とめるねぇ……」
「――《翠蔓拘束》……」
床から植物の蔓が一気に伸びる。
オーバーロードの足と腕に絡みつき、動きを止める。
「グゥゥ……!」
「今だ!」
レンが叫ぶ。
だが――
ブチィッ!!
「切った!?」
蔓が引きちぎられる。
「前より……暴れてる……」
ユシルが少しだけ眉を下げる。
その時。
「……レン」
静かな声。
月影詩乃だった。
「……少しだけ、時間ほしい」
「え?」
「……準備、するから」
レンは一瞬迷い――
「……分かった」
「ソレイナ!ユシル!時間稼ぐぞ!」
「了解です!」
「ん〜……やる〜……」
再びオーバーロードが突進してくる。
「主様の前には通しません!」
ソレイナが剣で受け止める。
ドォォン!!
衝撃が走る。
「くっ……!」
ユシルが横から支援する。
「――《翠壁》……」
植物の壁が展開され、衝撃を吸収する。
その後ろで――
月影は、静かにノートを開いていた。
さらさら、とペンが走る。
だが、その“書き方”は普通ではなかった。
空間に、光が描かれていく。
「……これは……」
レンが思わず目を見開く。
ノートに描いた線が、そのまま宙に浮かび上がる。
それは――まるで“星座”のような光の軌跡。
「……私の異能……」
月影が静かに呟く。
「――《星図展開》」
倉庫の天井に、光の線が広がる。
だが――
「……やっぱり、狭い……」
空間が足りない。
光の軌跡は途中で歪み、完全な形にならない。
「詩乃、大丈夫か!?」
レンが叫ぶ。
「……問題ない……」
月影は静かに言う。
「少し不完全でも……使える」
その瞬間。
「ガァァァ!!」
オーバーロードがソレイナを弾き飛ばす。
「ソレイナ!」
「問題ありません……!」
だが体勢が崩れる。
「ユシル!」
「……ん〜……」
ユシルがふわりと手をかざす。
「――《生命循環》……」
緑の光がソレイナを包み、瞬時に回復させる。
「助かりました」
「……いま」
月影の声が響く。
「できた」
空中に、不完全ながらも“星図”が完成する。
「……それ、何するんだ!?」
レンが叫ぶ。
「……導く」
月影はペンを振る。
その瞬間――
光の線が、一斉にオーバーロードへと収束する。
「――《星軌収束》」
ドォォォン!!
光が爆ぜる。
オーバーロードの動きが、完全に止まる。
「今です!」
ソレイナが叫ぶ。
「主様!」
「……決めるぞ!」
レンが拳を握る。
「ソレイナ!」
「はい!」
炎が剣に集まる。
「ユシル!」
「……あわせる〜……」
緑の力が、炎に重なる。
「――《紅翠断》!!」
炎と自然が融合した一撃が、オーバーロードを貫いた。
ドォォォォォン!!
黒い靄が、一気に吹き飛ぶ。
「……」
静寂。
そこには――
気を失った男が倒れていた。
「……終わったか」
レンが息を吐く。
「はい」
ソレイナが剣を下ろす。
「……つかれた〜……」
ユシルはその場でふよっと座り込む。
月影は静かにノートを閉じた。
「……やっぱり、狭いとダメ」
「いや十分すぎるだろ……」
レンが苦笑する。
「……もっと広い場所なら、ちゃんとしたの見せられる」
「いや今ので十分怖いわ」
レンは空を見上げる。
――超越因子研究局。
ただの暴走じゃない。
“作られた異能”。
「……厄介だな」
確実に、敵は動き出している。
そして――
この戦いは、まだ始まったばかりだった。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
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