第二十五話 「超越因子研究局(トランセンド・ラボ)」
俺は神代レン。
普通の高校生――だったが。
スキル《神核生成》で炎の擬神ソレイナが現れ、
自然の擬神ユシルも加わり、
そして生徒会に入ることになった。
路地裏の奥。古びた倉庫の中。
そこには――
黒い靄をまとった“異能暴走状態”の男。
そして、その周囲に立つフードを被った複数の影。
「……なんだよ、あれ……」
レンの声は自然と小さくなる。
影のひとりが、ゆっくりと一歩前に出た。
顔はフードに隠れて見えない。
だが、その視線だけは確かにこちらを捉えている。
「……見られてしまったか」
低い声。
「おい……お前ら、何してる」
レンが一歩前に出る。
ソレイナがすぐ横で構えを取る。
ユシルも、珍しく少しだけ真剣な目をしていた。
月影は無言でノートを開き、何かを書き留めている。
「……答える義務はない」
別のフードの男が言う。
「ですが――」
最初の男が、わずかに口元を歪める。
「せっかくだ。教えてやろう」
空気が、冷たく張り詰める。
「我々は――“超越因子研究局”」
その名が、静かに響いた。
「……研究局?」
レンが眉をひそめる。
「何の研究だよ」
フードの男は、淡々と答える。
「人為的に異能を発現させ――」
「人為的に強化する」
その言葉に、ソレイナの目が鋭くなる。
「……人の限界を、越えさせるための研究だ」
「……ふざけんな」
レンの声が低くなる。
「さっきのあいつ、どう見ても普通じゃなかったぞ」
「当然だ」
男はあっさりと言う。
「不完全な個体だからな」
「不完全……?」
「完成すれば、より高次の存在へと至る」
「だが――」
ほんのわずかに肩をすくめる。
「実験には失敗もつきものだ」
その瞬間。
レンの中で、何かが切れた。
「人を……実験台にしてんのかよ……!」
「“進化”のためだ」
男は一切の迷いなく答える。
「……理解できません」
ソレイナが一歩前に出る。
「主様を守る存在として、その思想は看過できない」
「そうか」
男は興味なさげに言う。
「なら――」
その瞬間。
フードの男たちは、一斉に後退した。
「ここまでだ」
「なっ……逃げるのか!?」
レンが叫ぶ。
「我々の目的は達した」
「データは十分だ」
そして――
「後は、処理を任せる」
男が軽く手を振る。
次の瞬間。
「ガァァァァァァァ!!」
異能暴走状態の男が、咆哮を上げた。
黒い靄が、一気に膨れ上がる。
「……っ!」
レンたちが構える。
気づいた時には――
フードの男たちの姿は、すでに消えていた。
「チッ……!」
レンが歯を食いしばる。
「主様!」
ソレイナが叫ぶ。
「目の前に集中を!」
「……ああ!」
目の前には、完全に暴走した存在。
先ほどよりも、明らかに“濃い”。
「……さっきより強くなってる……」
月影がぽつりと呟く。
「……あふれてる……」
ユシルの声も、わずかに緊張を帯びる。
「来るぞ!」
レンが叫んだ、その瞬間――
ドォォンッ!!
オーバーロードが、一直線に突っ込んできた。
「――迎え撃つ!」
こうして――
“人為的に作られた暴走”との戦いが、始まった。
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次回もお楽しみに




