第二十話「にぎやかな帰宅と新しい日常」
俺は神代レン。
普通の高校生――だったが。
スキル《神核生成》で炎の擬神ソレイナが現れ、
さらに自然の擬神ユシルも加わり、
そして生徒会に入ることになり――
今日、初めて“戦い”を経験した。
――そして。
「ただいま〜……」
玄関のドアを開けながら、ぐったりとした声が漏れる。
正直、体も頭も限界に近い。
だが。
「……って、なんでいる」
視界に入った光景に、思わずツッコミが出た。
「念のためよ」
当たり前のように立っていたのは――氷室凛。
「念のためってなんだよ念のためって」
「あなた、初任務帰りよ?何があるか分からないでしょ」
「いやまぁ……そうだけどさ……」
理屈は分かる。分かるけど。
なんで家にいるんだ。
「あらおかえり〜……」
奥から母さんの声。
そして、こちらを見た瞬間。
「……まあ!」
ぱっと表情が明るくなる。
「また増えてる」
「増えてるって言うな」
「お母様〜〜〜」
その瞬間。
ふわぁ〜っと、ユシルが前に出る。
「はじめまして〜〜自然の擬神『ユシル』だよ〜〜〜」
ゆるっゆるの自己紹介。
「まあまあまあまあ!」
母さん、テンション爆上がり。
「ふわふわしてるし可愛いし増えてるし最高ねぇ!」
「評価の基準どうなってんの!?」
「よろしくね〜お母様〜……」
ユシルはそのまま、ふよ〜っと近づいていく。
「まあまあ、ちゃんとご挨拶できてえらいわねぇ〜」
なでようとして――
「あら?浮いてる?」
「うん〜……浮いてる〜……」
「すごいわねぇ〜!」
順応が早い。
一方。
ソレイナは一歩下がった位置で、静かに頭を下げる。
「改めまして、お母様。本日も主様をお守りできたことをご報告いたします」
「まぁ〜、ソレイナちゃんは相変わらずしっかりしてるわねぇ」
「当然です」
きっぱり。
対照的すぎる二人。
「……で?」
レンは視線を横に向ける。
「氷室はいつまでいるんだ?」
「状況確認が終わるまで」
「まだ終わってないのかよ……」
「それに」
凛が少しだけ真面目な顔になる。
「今日の件、軽く見ないほうがいいわ」
「……」
その言葉に、空気が少しだけ引き締まる。
「オーバーロードが発生したってことは、何か原因があるはず」
「自然発生とは考えにくい……」
「つまり?」
「誰かが関わってる可能性があるってこと」
「……マジかよ」
さっきまでのゆるい空気が、一気に現実に引き戻される。
「でも今は!」
母さんがパンッと手を叩く。
「ご飯にしましょう!」
「切り替え早いな!?」
「だってレン、疲れてるでしょ?」
「それはまぁ……」
「栄養は大事よ〜!」
「……確かに」
否定できない。
「ユシルちゃんは食べられるの?」
「ん〜……食べなくてもいいけど〜……ちょっとなら食べる〜……」
「まあ!じゃあいっぱい作らなきゃ!」
「私は不要です」
ソレイナは即答。
「でも見てるだけでも楽しいでしょ〜?」
「……それは、否定しません」
「氷室ちゃんも食べていくでしょ?」
「……いただきます」
普通に受け入れた。
こうして。
なぜか増えたメンバーでの夕食が始まった。
「……なんかさ」
レンはぽつりと呟く。
「普通じゃないよな、これ」
向かいには生徒会のメンバー。
隣には擬神。
そして、母さんはいつも通り。
「でも〜……」
ユシルが、ぼんやりと笑う。
「たのしいよ〜……」
「……」
その一言に、少しだけ肩の力が抜ける。
「……まぁ、悪くないか」
そう思えた。
戦いも、謎も、不安もある。
けど――。
こうして笑える時間があるなら。
それも、悪くない日常だ。
だがその裏で。
確実に、“何か”は動き始めている。
レンたちの知らないところで――。
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次回もお楽しみに




