第十九話「雷と森の共鳴」
俺は神代レン。
普通の高校生――だったが。
スキル《神核生成》で炎の擬神ソレイナが現れ、
気づけば生徒会に入り――今、目の前には“異能暴走状態”がいる。
「グォォォ……!!」
異形が咆哮を上げた瞬間、地面がビリビリと震えた。
「来るぞ!」
天城修也の声が飛ぶ。
次の瞬間。
――ドンッ!!
黒い影が一気に距離を詰めてくる。
「っ、速――」
言い終わる前に。
「任せて!」
朝比奈咲夜が前に出た。
その瞳が、一瞬で戦闘の色に変わる。
「――《雷装展開》」
バチィィィッ!!
彼女の全身に、雷が走る。
髪がふわりと浮き、電流が空気を裂く音が響く。
「これが……」
レンは思わず息を呑む。
「咲夜の異能……」
「――《閃雷駆》!!」
瞬間、姿が消えた。
――いや、“速すぎて見えない”。
ドォンッ!!
次の瞬間、オーバーロードの横腹に衝撃が走る。
「グッ!?」
異形の体が大きく吹き飛ぶ。
「うおっ……!」
レンが目を見開く。
「なにあれ、速すぎだろ……!」
「雷による加速」
月影詩乃が冷静に説明する。
「身体能力を一時的に極限まで引き上げてる」
「……化け物かよ」
「味方でよかったでしょ?」
「まぁな……!」
しかし。
「ガァァァァァ!!」
オーバーロードはすぐに立ち上がる。
黒い靄が膨れ上がり、傷が再生していく。
「再生してる!?」
「厄介ね……」
凛が眉をひそめる。
「なら――焼き尽くします」
ソレイナが前に出る。
だが――
「まって〜……」
その時。
ユシルが、ふわりと前に出た。
「ユシル?」
レンが声をかける。
ユシルは、ぼんやりとした目のままオーバーロードを見つめていた。
「……くるしい、っていってる……」
「え?」
「このひと……ちから、あふれて……こわれてる……」
その言葉に、一瞬全員が黙る。
「……なるほどな」
天城が低く呟く。
「ただの敵じゃない、か」
「じゃあさ」
咲夜がにやっと笑う。
「抑えればいいんでしょ?」
「……できるのか?」
レンが思わず聞く。
「やるしかないでしょ!」
その言葉と同時に、再び雷が弾ける。
「ユシル、いける?」
レンが声をかける。
「ん〜……やる〜……」
ふわり、とユシルの周囲に緑の光が広がる。
「――《翠樹結界》……」
地面から、木の根のようなものが伸びる。
それは優しく、しかし確実にオーバーロードの動きを絡め取っていく。
「グォッ!?」
動きが鈍る。
「今だ!」
修也の声。
「――《雷穿連撃》!!」
咲夜が一直線に突っ込む。
バチバチバチィィィッ!!
雷が連続で叩き込まれる。
その衝撃を、ユシルの植物が逃がさない。
「ぐぅぅ……」
黒い靄が、徐々に薄れていく。
「効いてる……!」
レンが叫ぶ。
「もう一押しです!」
ソレイナが剣を構える。
「主様、許可を」
「……やれ!」
「――《紅蓮断》」
炎の一閃。
ドォォォン!!
爆炎が巻き起こり、黒い靄を完全に焼き払った。
静寂。
そこには――
気を失った、一人の生徒が倒れていた。
「……戻った、のか」
レンが呟く。
「ええ」
凛が頷く。
「とりあえずはね」
「ふぁぁ……おわった〜……」
ユシルはその場でふわっと座り込む。
「ねむい……」
「おつかれ」
レンが苦笑する。
「いい連携だったわね」
凛が言う。
「雷と自然……悪くない組み合わせだ」
「でしょ〜?」
咲夜が得意げに笑う。
その光景を見ながら。
レンは、静かに思った。
――これが、自分の“戦い”。
そして。
まだ見ぬ力が、この先にあるということを。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




