第九話 新しい日常の形
俺は神代レン。
普通の高校生――だったが。
スキル《神核生成》でソレイナという擬神を生み出し、
そして気づけば、生徒会に入ることになった。
「……はぁ」
朝の教室。
机に突っ伏しながら、ため息をつく。
「主様」
当然のように、隣にソレイナが立っている。
「ここ、授業中だぞ……」
「問題ありません。周囲に敵意はありません」
「そういう問題じゃないんだよなぁ……」
もう誰も突っ込まない。
というより、怖くて突っ込めないのかもしれない。
「ねぇ、あれ本当に生徒会のやつらと繋がってるんでしょ?」
「昨日も一緒にいたらしいよ」
ひそひそ声。
完全に“普通の扱い”ではない。
「……目立たないって決めてたんだけどな」
誰にともなく呟く。
「主様の選択は正しかったです」
ソレイナは真顔で言う。
「……どういう基準だそれ」
午前の授業は、正直ほとんど頭に入らなかった。
そして昼休み。
「神代」
教室の扉の前に、見覚えのある人物。
「氷室……」
生徒会の監視役――いや、今は“仲間”のはずの女。
「来て」
一言だけ。
「どこにだよ」
「生徒会室」
即答だった。
――数分後。
生徒会室。
扉を開けると、すでに全員が揃っていた。
「来たか」
天城修也がこちらを見る。
「早速だが、話がある」
「……昨日の続きか?」
「そうだ」
空気が少しだけ重くなる。
「神代レン」
天城の視線が真っ直ぐ刺さる。
「お前の《神核生成》は、まだ未解明だ」
「だろうな」
「だが一つ分かっていることがある」
少し間を置いて。
「お前が生み出す“擬神”は、通常の異能とは明らかに違う」
「……ソレイナみたいな?」
「そうだ」
朝比奈が腕を組む。
「普通の召喚系とは格が違う。自律、戦闘力、判断力……全部異常」
「褒めてるのか?」
「半分はね」
軽く肩をすくめる。
「問題はもう一つある」
月影が静かに口を開く。
「擬神の“出現条件”が不明です」
「ランダムって聞いてる」
「それが危険なのよ」
氷室が言葉を続ける。
「制御不能な力は、学園にとってもリスクになる」
「……まあ、そうだろうな」
否定できない。
「だからこそ」
天城が立ち上がる。
「お前にはこれから、“実戦訓練”に参加してもらう」
「実戦……?」
「擬神の運用と制御を、実際に行う訓練だ」
朝比奈がにやりと笑う。
「ようこそ、非日常の本番へってやつ」
「主様」
ソレイナが静かに一歩前に出る。
「問題ありません」
「……いや、問題しかない気がするけどな」
「だが、逃げるつもりはない」
自分でも意外なほど、そう思えた。
もう、巻き込まれている。
だったら――中途半端はやめるべきだ。
「やるよ」
そう答えると。
天城が小さく頷いた。
「よし」
「では詳細は明日伝える」
時計を見る。
「今日はここまでだ」
こうして、会議は終わった。
放課後。
廊下を歩きながら。
「ほんと、普通ってなんだったんだろうな」
「主様」
ソレイナが隣で言う。
「今の主様も、悪くありません」
「……そうかよ」
少しだけ笑う。
夕日が廊下に差し込む。
その光の中で。
俺の“新しい日常”は、確かに動き始めていた。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




