天使その2
「ここは…お前らはだれだ。」
困惑をした様子を見せたかと思ったら、こちらを見て敵意を向ける。
ここまで連れてきた経緯を話すべきだろうか。
彼は真剣に観察しているようで暫くにらみ合いが続く。
空気が死にかけたころ、彼から声をかけた。
「俺はこういうものだ。お前は何者だ?」
そう言って警察手帳を天使に見せる。
「なぜ、私が名乗らなければならない。」
敵意を隠そうともせずに、それでも返答はしてくれた。
少なくともこっちの世界の住人ではないことが確定した。
警察を知らなそうなところを見るに、こっちの世界について詳しくないとみてもいいだろう。
「今日、そちらの世界から攻撃を受けた。明らかな侵略行為に当たると思うのだが?
敵対行為があった以上、お前の扱いは捕虜となる。」
彼が話を切り出した。
「何を言っている?そっちが先に攻撃を仕掛けてきたんだろう?」
どこかずれているようでいて決定的な返答があった。
僕たちからしたら急に空に幕ができたかと思ったら空が裂け、それを消そうとしたらさらに事態が悪化した。
これが真実だ。
だが天使の証言もまた真実だとするのであれば、あくまで防衛及びカウンター攻撃だとするのであれば膜を消そうとした行為が攻撃に見えたのだろうか。
とりあえず攻撃を受けた大まかな時間を聞いてみる。
「なんでそんなことを聞くんだ?まあ、お前と会うだいたい1時間前だよ。」
最悪な予感と推理が当たっていた。
彼もまた同じ結論まで行きついたのだろう、彼が部屋の外に行こうとサインを送ってくる。
「お前、どう思う?」
推理したことを説明する。
「やっぱりか。あっちもまた被害者だった可能性は考慮していたが、人的被害が出ている以上威圧的に接するしかなかった。だが、態度を改める必要があるな。」
とりあえずお互いのために事情を説明することにした。
「主張はわかった。そうなると私の扱いはどうなる?門は閉じてしまってるし。」
「とりあえずのところは、難民扱いになるだろう。その手続きはしておく。」
彼と天使が事務的な話を始めた。
ひと段落したところで僕はかねてより気になっていることを天使に聞くことにした。
なぜ、顔を持っているのか。
なぜ、彼は彼女と言っているのか。
その質問をしたところ意外な返事が返ってきた。
「この体の持ち主が女性だからじゃない?」
天使の答えに驚く僕とは正反対に彼は知っていたかのような反応を見せた。
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