■と□
バーに入る。
中は照明ランプに灯る火だけでとても暗い。
壁には高そうな酒の瓶が並んでおり、夜には客足が多そうだと思う。
目が慣れてきてよく見るとカウンターの奥には、初老のいけてるおじさんがグラスを磨いている。
「マスター、ただいま」
彼にマスターと呼ばれた人物は反応を返す事なくグラスを磨き続ける。
彼が奥に入っていくのでそれに続く。
奥には狭い階段があり、上がると扉がある。
扉の先は広い部屋で、2人で暮らしても広く感じるほどだ。
誰も使っていないことはものが置いてないことからわかるものの、手入れが行き届いており塵一つ見当たらない。
ベッドや椅子、机など一通りの家具は揃っている。
椅子に腰掛けて、取り出したポットで湯を沸かしながらあの少女について話を聞く。
「さて、どこから話そうか。長くなるなぁ」
そういいながらも彼は話し始めた。
「この国の生い立ちについて話すとしよう。
この国は見た通りの竜の国だ。
人に見えるのも魔法でそうしてるからであり、本体は別にある。
とは言っても過ごしやすい人間体でいるものの方が多いだろうがな。
この国を最初にまとめ上げたのは、黒い龍と白い龍だった。それぞれが互いを補い合うことで全ての竜を支配下に収めた。
この国ができる前のこの世界には秩序なんてものはなかった。
二匹の龍はその実情が気に食わなかったのか、より強力な異世界が現れることを予知していたのか分からないが、一つの国として竜たちを統一した。
国として成立して間もなく、異世界の門がなぜか開いた。
原因は今でもわかっていないらしいが。外から来た侵略者がこの国を襲った。
竜は元々魔法を扱うことが得意な種族だ。当然侵略者を返り討ちにできる、そう結論付けていたのは当時の竜も同じだったんだろう。
だがそれは誤ったものだった。侵略者達は、魔法に対抗する何らかの手段を持っていたらしい。
竜同士における戦闘は魔法の優劣や相性など、魔法が基準となってその技術が確立されていた。
一方で侵略者側は魔法によらない技術も用いた戦闘、一方的な蹂躙に一時期はなったらしい。
もちろんそんなことを二匹の龍が許すはずが無い。
二匹は他の竜を下げさせて、自分達だけで解決を図った。
二匹の力は強大で相手の戦力の大半を削いだところで侵略者側が撤退したそうだ。
今でも龍を冠することができるのは二匹の龍、■と□だけだ。
日本語で言うと、黒と白それぞれの名前だ。」
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