第三試合・二
距離を置いて立て直そうにも水晶はすぐそこにあるので守らなければならない。
兎に角、時間と余裕が足りない。
時間を稼ぐために水瀬くんにやってもらう予定だった水による押し流しを試みる。
予定とは変わったが雨雲はすでに準備が出来ている。
イメージするのはナイル川の氾濫。
古代エジプト文明より続いた有名な現象であり仕切り直すならば十分な威力を発揮することができるだろう。
相手もこちらが大きな魔法を使おうとしているのを察したのか防御魔法を展開する。
だがこちらの魔法は防御魔法ごと相手を押し流した。
いったん立て直すことはできたものの、橘くんは魔法を使うまでの時間を稼いでもらっていたから限界が来たようで膝をついていた。
橘くん自身はまだやれると言ってはいるものの、体のほうは魔力切れと疲労で限界が来ているようで立ち上がるのも厳しそうだ。
本人にも了承をとってリタイアさせる。
さて、一人になった訳だが相手が攻めてくる前に手を打たなければ同じような展開になるだけだろう。
加えて相手はこちらの陣地を正確に把握しているハンデ付きだ。
こちらの手札で一番出力を確保できるのは水魔法。
最も出力を出せるイメージは…
ーーー
丘の上に立つ。
相手を視認する。
豪雨により池ができ始めている。
条件は十分だと判断する。
上空に大きく魔法陣を展開する。
魔法に乗せられるイメージは大きく分けて3種類に分けられる。
1つ、経験や知識からイメージできること。
1つ、状況からイメージできること。
1つ、共通認識からイメージできること。
2000年以上にわたり積み重ねられてきた共通認識というのは魔法の触媒として十分に巨大なものである。
ノアの方舟
神が大洪水によって世界をリセットする話だが、水に関連するものでこれ以上のものは仮設段階の恐竜に終わりをもたらした隕石衝突時の津波などが挙げることはできるものの魔法に乗せるにしてはイメージの強度が足りないように感じる。
魔法を発動する。
イメージした通りにフィールドを埋め尽くすほどの水球を生成する。
相手に向けて水を射出する。
自分が立っている丘の頂上以外が沈没する。
より確実な勝利のために水を通じて水晶を把握し、圧力をかけて破壊する。
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