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失敗
「この方向はまずいな。」
彼がそうつぶやくのでこの先に何があるかを想像する。
この先は確かオフィス街だったはず。
特にまずいものなんてなかったような…
「この国において、警察の権力が及ばない場所が二つある。これだけ言えばわかるだろ?」
ハッとする。
大使館に逃げ込んでしまえば治外法権で手出しができない。
だが犯罪者をかくまうような国があるとは思えないが。
「自国のスパイやマフィアの力が大きい国なら別だ。
最悪なことに追跡していた犯人が大使館に入った。できることなら現行犯で捕まえたかったがこれ以上は追跡は無駄だ。正式な書類を作ってからじゃないと外交問題になってしまう。」
追跡を中断して署に戻る。
彼はさっそく書類を作り始めた。
僕は今回の事件の報告書を書く。
初任務にして失敗をしてしまった。
もし彼だけだったら逃がすこともなかったのではないかそう頭によぎる。
出来上がった報告書を猫先生に提出する。
「ご苦労、初任務だったのに災難だったね。今日はもう上がっていいよ。」
言われた通り部屋に戻る。
いつもと同じ部屋のはずなのに暗いように思える。
誰もいない部屋に「ただいま」と呟く。
「お帰り。」
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