95.とは言っても、されど二組
今回も閑話回です。
ゆるくいこうぜ!
二組はニッカに言われて驚いた。
しかしそれ以上ではない。と言うか、何故このタイミングと思う方が多かった。
新しい仲間が増えるのに越したことはないし、強い仲間が増えればそれだけで楽しかった。それぐらい、呑気で愉快だった。
「と言うわけで、その子に任せることにしたから、到着まで耐えてよねー」
「いやいや、流石にきついでしょ」
「いくらお墨付きとは言っても、向こうは一組の担任からの推薦ですよ」
「流石に校長先生からと言っても、いやされど校長先生なのかな?」
「そう、だから何とかなると思うけどなー」
「うーん。ち・な・み・に、男子? 女子?」
「女子だよ」
「「「おっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」
「ん?」
男子たちが吠えた。
ニッカは首を傾げるが、興味なしと言って具合で、欠伸をする。
女子達も「どんな子が来るのかな?」や「またルカちゃんみたいに、ぶっとんだ子だったら、面白そうだねー」と明るい会話だった。陰惨な光景とは程遠いクラスで安心するニッカだった。
「とは言ってもさ、次って確かブルーウェブだろ? 時間を稼ぐとは言っても……」
「僕で出来ますかね?」
そう、クラスの中で男子の中心人物の一人、マサタカは不安そうな顔をする。
流石にブルーウェブに勝てるとは思えない。しかし、そんなマサタカに親友のギルレスは言った。
「お前ならいけるだろ、水何て封じ込めてこい」
「そうだよ。マサタカ君ならきっと勝てるよ」
ツェイファンが追い風を送る。
すると、マサタカも乗り気になった。ここで負けられないというわけだ。
「そうだね。転入生には悪いけど、ここで終わらせてもらうよ」
「よーし、行って来いマサタカ。骨だけは拾っておいてやる」
「ちょっと、それって僕が負ける前提じゃないか!」
「頑張ってね、当たって砕けろだよ」
「皆んな、僕がいくら怒らないからって、そんな言い方するならここで怒るよ」
「それは困るなー。私の給料に響くからー。ふはぁー」
完全に眠たかった。
眠気に勝るものはなかった。ニッカは今にも眠ってしまいそうなほど、今日の限界時間を尽きかけていた。
※※ ※ ※ ※ ※ ※
一方その頃、特別な観客席では女王陛下自らが会場の様子を眺めていた。
その隣では何とか取り入って貰おうと必死な様子で、パニラ教頭とマンダー教頭が必死に解説していた。
「いやぁー、今年のせいともまずまずですね」
「そうですね。特にこれから登場する、スプラ・ブルーウェブはかなり優秀な魔術師なんですよ、女王陛下」
「ブルーウェブ家はご存じです。王国でも高く評価されている名家ですね」
「ご存じでしたか。いや、全く女王陛下は本当に聡明な方だ。それに美しい」
「ありがとうございます。それで、二組の生徒は」
「二組ですか? シルヴィア・リューネラと言う生徒がおりますよ」
「リューネラ。なるほど、リューネラさんでしたか。それは杞憂ですね」
女王陛下はにこやかな笑みを浮かべた。
それもそのはず、シルヴィア・リューネラの噂は耳にしている。
目標が高く、努力家であると。そして魔術省に入りたいという噂は、彼女のご両親から聞かされているのです。そのことを、女王陛下は羨ましく思っていました。それはダリアのことがあるからです。
「ダリアも、何か目標があるのでしたら、少しは私のことを見てくれるでしょうか」
「如何なさいましたか、女王陛下?」
「気分が優れないのでしょうか?」
「いえ、お気になさらずに。私は大丈夫ですから」
そう言いながらも、空席になった席を見た。
そこに座るはずだった少女は、今ここにはいない。やはり居た堪れない気持ちがあるのでしょうと思うと、胸が張り裂けそうになりました。唯一、本当の意味で繋がった娘からのその行為は、なんとも言えない悲しみになった。
そんな姿を黙って見届ける、メイドに騎士、それから顔を隠した魔術師だった。
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