96.スプラ・ブルーウェブの迷走①
モブキャラになるかは未だに不明。
会場内の一角。
選手が待機する中で、青髪の少女は一人で準備運動をしていた。
彼女の名前は、スプラ・ブルーウェブ。この学校でも随一の魔術師と、噂は広がっていた。
「さてと、そろそろスタンバイしておきましょうか」
スプラは綺麗に整った長い髪を、さらりと撫でていた。
指先が、透けていく。
空は快晴で、絶好の日和でした。そう、彼女は目立ちたかったのです。
「こんなに多くの観衆の前で、私の実力を披露できるなんて、何て光栄なことですこと。これは頑張らないといけませんわね」
スプラは明らかに楽しんでいた。
それもそのはず、ここまでの観衆の前で、自分の腕を披露できるなんて、そうないことです。
しかし、一つモヤモヤすることがありました。
「如何してこんなに、浮かばれないのでしょうか?」
「如何したの、スプラさん」
すると同じクラスの女子生徒が話かけてきました。
彼女は、スプラの友人です。
「フロストさん。いえ、なんでもありませんことよ」
「そんなことないですよね。スプラさん、何か迷っていますか?」
「迷う? 何をでしょうか」
「この間、ルカさんに負けたと聞きました。それ以来、何処となく意識をしていますよね」
「意識? 私がですか!」
「気づいていなかったのですね」
フロストはそう言った。
それを聞いてハッとした。確かに最近の自分は、ルカの動向が気になることが多くなっていました。
しかしただ負けただけが全てではない。自分でもわからないが、自分の中にはない、何かを持っている気がして、それに凄い引き寄せられてしまいました。
「あの時私は、初めて悔しい負けたくないと思いましたね」
「その悔しさが突き動かしているのではなくて?」
「少し違う気がしますわ。高揚感にも似ているのです」
「高揚感? 私にはそこまで引き寄せられるようなものはありませんね」
「あの時、私は完敗でした。でも彼女は終始楽しそうで、それに……私を助けてくれました」
スプラはそのことを覚えていました。
その理由は、あの日ボウガンに撃たれかけた自分を助けてくれたこと。
それが何よりも引っかかっているのでしょう。
「それって、高揚感じゃなくて、もしかして……」
「ばかばかしいですわ。私に限って、そんなことあるはずがありませんことよ。ましてや、女の子と……」
「発想が飛んでる気がするのは、私だけかしら?」
フロストは考え込んだ。
未だに面識のない、トキワ・ルカと言う少女は何者なのか。
そこまで想うほど、トキワ・ルカと言う人物には、人を惹き寄せる何かがあるのか。それが少しではあるが興味の矛先となった。
「フロストさん、私行ってきますわ」
「う、うん。期待しています」
「安心してください、私は負けませんから」
フロストに対し、スプラはそう返した。
何処までも頼りになる友人だ。フロストはにこやかになる。
仲間の思いを一身に背負っているのは同じ、ここで負けるわけにはいかないのです。
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